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可愛さ以外の何か


「ある程度可愛かったよ、ビビちゃん」


冬服の上にコートを羽織る生徒が大勢を占めた時期。

私も学校から帰り、コートを脱いでいた。

パソコンの画面に映っているコンテストの結果を見て。


VIVIイラストコンテスト。

グランプリを取ったイラストは、可愛らしく、作品中での描写であるビビッドな髪色であり、そして見ているこちらも幸せになれるような、魅力があった。

確かに可愛い女の子で、私が大好きなもので―――そして、私が描いた子では、なかった。

私が描いたビビちゃんでは、無かったのだ。

選ばれたのは。


「―――()ぇな」


俯いた私が口にしてから気づいた。

あいつのが―――移ったのだろうか。

最近はコンテストに夢中で会わなかったけれど。

ああ、もっと会えばよかった―――出るんじゃあなかったコンテスト。

ちょっと思う、勝ち目はなかったって。


うん、悔しいよ。

無いよ、こんなの。

無いですよ。


でも、結果については満足している。

ああ―――満足ではなく、納得。


高校一年生の私が、初陣でいきなり一番になれるなんていうハナシはないだろう。

そんなの嘘だし―――そして、私が心の底から、思っていたのだ。

私が描いたイラストは、ある程度可愛い、と。


「『ある程度可愛い』女の子がグランプリを取れるわけ、ないよね………」


私の初めてのイラストコンテストは、そうやって終わりを告げた。

そして第一回が終わったし、そして終わりは始まりでもある。


不思議と清々しい気持ちだ。

やりきったし手を抜かなかったという気持ち。

言葉は―――何か浮かばない。

余計な何かは、言わない。

スポーツじゃないのにスポーツマンシップに目覚めたのだろうか。

目覚めたなら目覚めたで、いいけれど。


私のフォロワーには、感謝の気持ちを伝えた。

応援してくれたことは確かだから。

みんなは優しくて。

私の描いたものも可愛かった、良かったよと、言ってくれた。


「―――絵を描いたら、喜んでくれるんだ」


ああ。

あああ―――そういえば、そうなのか。

私が、一人で絵を描いて、描き続けて―――ひとりぼっちで。

でも喜んでくれる人って、実はたくさんいるんだ。

いるみたい。

不思議だな。





それからは、いつものように学校生活に戻った。

もちろん、コンビニにも立ち寄るのだ。

コンビニに向かう足どりは、以前よりも軽やかだった―――かもしれない。

なんならスキップしてた。


コンテストでは、負けたけど。

それでも上出来だった。

戦った―――よね。

絵が描けたこともそうだけれど、私の中の、何かが変わったことは確かだった。

ただ親に反抗するだけ、友達に嫉妬しているだけの人間から、私は抜け出せたのだ。

間違いなく変わった。


それは、ビビちゃんのおかげだよ。

私のビビちゃんは、やっぱりかわいく描けたと思うし。

可愛さ以外の何かを彼女からもらったんだ。




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