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第65話 素直な気持ちに対して向ける素直な気持ち

 夕食を食べ、疲れてしまっていたのかゆっくりと自室で眠りについた僕。起きた時に自分の格好を見て目をパチクリとさせた。


「え、な、何で裸に!? それにどうしてルナさんが!?」


 いつの間にかルナさんもいるししかもルナさんも裸!


「こ、ここここ、これは致してしまった後!?」


 僕まだ子供なのに!? 既に大人の階段上ったの!?


「ん…んん……ふふ、ご主人様ぁ……♡」

「ひぅ!」


 いきなり後ろに手を回され、抱き締められる。む、むむ、胸が! 胸の感触が!


「んぅ?」


 ゆっくりと目を開けたルナさんは僕の顔を見るなりキョトンとする。そしていきなり女神の如き微笑みを浮かべた。


「もっとゆっくりしましょう……」


 ゆ、ゆっくり出来ない! そ、それにちょっと! ほ、本当にマズイです!?


「あ……少し硬くなってます……」

「え、ちょ、え?」

「ふふ……仕方ありませんね……」


 ね、寝ぼけてないですかこの人!? って本当に触ってきた!


「あ、ああああのルナさん!」

「いいんですよ……おっぱいも吸いますか?」


 マジですか!? る、ルナさんってこんなにも大胆な人だなんて! も、もしかしてもう僕童貞じゃないんじゃ……。

 朝から素敵な体験をした。といっても手だけで本番まではしなかったけど。

 初めてを奪われた気がした僕は居間でぽけーっとしてしまっていた。何やら大事なものも同時に失った気がする。


「す、すみませんでした! ね、寝ぼけてしまっていて……」

「いえ……いいんです」


 この人もやっぱり大人の僕とそういうことしてたのかな。それにしても今は何時なんだろう?


「あ、お時間が気になりますか? 今は朝の5時ですので二度寝してしまう方がよろしいかと」

「そうなんですか。えっと……ルナさんはどうして僕のベッドに?」

「いえ……昨日衣服をお渡ししたと思いますがそちらは私の魔法によって成り立ったものですので。私が寝てしまうと魔法が解けてしまうんです。それを伝えようとして……」


 それを伝えようとしたのはいいけどそれでどうして僕のベッドに潜り込むことになるんだろう。


「その……寝顔がとても愛らしくて……」


 頬を赤く染めたルナさんは本気で照れたご様子だった。


「うぅ、またやってしまって……本当に申し訳ありません……」

「あ、い、いえ、僕にとってはその……嬉しかったです」

「ご主人様……!」


 男冥利に尽きる。僕の為にしてくれたことだったし。このくらいは……。でも人の手でしてもらうのってあんなに気持ち良いんだ……。


「あ、あの、ご主人様がよろしければまた添い寝をしてもよろしいでしょうか……? あ、こ、今度は寝ぼけてしまわないように致しますので!」


 寝ぼけるって努力次第で何とかなるものだっけ?

 でもこの人達から向けられる感情はどこか日本のそれとは違う。暖かさがあるというか……。


「は、はい……」

「い、いいんですか?」

「は、はい。お世話になってますのでそのくらいは……」


 僕はこの人達にとっては恋人。ならそうしないと。


「…………無理をされていませんか?」

「む、無理なんて……」

「…………ふふ」


 ルナさんは突然にっこりと微笑んだ。


「ご主人様は小さくなっても変わりませんね」

「え、そ、そうなんですか?」

「はい。誰かの為に動けるとても素敵な方です」


 僕は将来はそうなるのかな。分からないけどそうだといい。

 日本の人達、施設の大人達も気にしているのは給料や周囲からの評判だけ。まともに僕に向き合ってくれていたのはその施設の管理人のおじさんおばさんだけだった。でもそれすらもどこか信用出来なかった。

 でもこの人達は違う。今を本気で生きていて、そして好きなものに真っ直ぐだ。


「あの……もしよろしければ続き……しませんか?」

「え? 続きですか……?」

「た、確かに僕は今は13歳ですけど。中身は20歳なんですよね?」

「は、はい……」


 なら問題ない……と思う。というか日本の法律で裁けない上にここは異世界。そういった法律に縛られることもない。


「な、ならその……ぼ、僕もお姉さん達のこと、もっと知りたいです」

「ご主人様……」


 恥ずかしいけどそれでも大人の僕がそういう道のりを歩んでいるんだ。それに彼女達は本気で、そして真剣に僕と向き合ってくれている。

 なら僕もその気持ちに応えたい。日本とは違う。嘘なんかじゃない本当の気持ちを向けてくれる相手に対して自分だけ隠し事をしたくない。


「は、はい……ではゆっくりと……愛し合いましょう」

「…………はい!」


 照れて顔を真っ赤にしたルナさん。大人の僕が惚れる理由も分かる。本当に綺麗だった。

 子供の姿で色々と致してしまい罪悪感と背徳感、加えて幸福感を同時に味わっているとルナさんはにっこりと微笑みながら僕の頬に手を添えた。


「やっぱり本当にご主人様ですね……」

「そ、そうなの?」

「はい。性癖も一緒でした」


 それは素直に喜べないなぁ……。


「ふふ、それではゆっくりとお休みください……」

「あの……もう多分朝だと思うんだけど……」


 時計は相変わらず読めないけど多分配列は日本と同じ。なら今の時間は8時くらいだ。


「あ、ほ、本当ですね。す、すみません。私が長引かせてしまって」

「ううん。ルナお姉さんがいっぱい抱き締めてくれて嬉しかったよ」

「ご主人様……!」


 ルナお姉さんが僕のことを抱き締めてぎゅーっとしてくる。う、うん、胸がね? 流石にもう勃たないけど。


「僕も手伝うからご飯の用意しよう?」

「い、いえ、ご主人様にそんなことをさせるわけには……」

「もっとルナお姉さんと一緒にいたい。…………駄目?」

「もちろん大丈夫です!」


 あ、あれ。何でいきなりそんなにテンション上がったんだろう?

 居間に向かうとアリシアさんが優雅にコーヒー? を飲みながら読書をしていた。


「あ、おはようございますアリシア様」

「おはようございます」


 2人で挨拶をすると本から顔を上げてくすりと微笑んだ。


「おはよう。2人とも朝から一緒なの?」

「は、はい」


 う、うん。あれは言えないよね。


「ご、ご主人様にその……そ、添い寝を……」「え、そ、そんなことしてたの!? 私も呼んで欲しかったよ……」


 やっぱりそんなこと思ってくれるんだ。ルナお姉さんもそうだけどみんな僕のことを好き過ぎないかな。


「アリシアさんも今日は一緒に寝ませんか?」

「い、いいの?」


 本当は嫌だ、などとは思っていない。この人達とは正直に。そして、しっかりと自分の気持ちを示していきたい。だから自分の意思でしっかりと接したい。


「はい、もちろんです」

「刀夜くん!」


 突然アリシアさんに抱き締められてるしまう。な、何で?


「刀夜くん可愛い……」

「あ、あの……」


 アリシアさんは嬉しそうに、そして頬を少し赤く染めて僕を抱き締めている。その表情も魅力的でつい僕も赤面してしまった。

 美人で性格も良い人って実在するんだ。もっと歪んでるものかと思ってた。いや、ルナお姉さんも優しいんだけど。


「それじゃあルナさん、私達は朝食の用意をしないと」

「はい。ご主人様も手伝ってくださるそうです」

「そうなの?」


 意外だったのかキョトンとされてしまう。大人の僕は料理をしなかったのかな?


「僕は孤児ですから。自分の分くらいは料理をしていましたし、何か手伝えることがあると思いまして」

「刀夜くんは良い子だね」


 アリシアさんが優しく僕の頭を撫でる。優しい手付きがくすぐったくて同時に気持ちも良い。


「あ、ご、ごめんね?」


 しかし突然何かを思い出したのか少し寂しそうに僕を離した。


「えっと……」

「刀夜くんにとっては私達は初対面だもんね。いきなりごめんね」

「い、いえ」


 そんなに気を遣わないで欲しい。えっと……こ、この場合は僕の方から抱き付けばいいのかな。


「あの、アリシアさん」

「うん? どうかした?」

「え、えいっ!」


 僕は思い切ってアリシアさんに抱き付いた。


「と、とと、刀夜くん!?」


 驚かれた!? し、失敗しちゃったかな……。


「刀夜くん大好き……」


 あ……抱き締め返してくれた。それだけなのにこんなに嬉しくなるんだ……。

 アリシアさんからも良い匂いがする。でもどことなくルナさんとは違う。ルナさんは優しい香りがするけどアリシアさんは甘い香りというか。

 それに人の肌ってやっぱり人によって触り心地が違うみたい。ルナお姉さんもアリシアさんもモチ肌っていうのかな? ルナお姉さんは優しく包み込んでくれる感じでアリシアさんはすべすべしていて気持ち良い。


「刀夜くんは大丈夫? 無理とかしてない?」

「大丈夫です。アリシアさん優しいですし美人ですし。男としては喜ぶべきかなと」

「そ、そんなに褒めなくても……」


 本当に恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに頬を染めて笑みを浮かべているアリシアさん。こういう表情が可愛いってことなのかな。


「ご、ご主人様、あとで私もお願いしてもよろしいでしょうか?」

「え? な、何を?」

「その抱擁です。羨ましいです……」


 ルナお姉さん、さっきまでずっとこうしてたよね。いや、それとこれとは話が違うのかな。よく分からない。


「ご主人様に抱き締められて優しくしたいです」


 優しくされたいんじゃなくてしたい方なんだね。ルナお姉さんは優しい。それに加えて世話好きだ。


「う、うん」

「ひ、ひとまずみんなで朝食を作ろ? アスールさん達が起きちゃうよ?」

「そ、そうですね」


 どんな料理にするんだろう。異世界の料理か。ちょっと楽しみ。

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