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第6話 一時退却! これは3人ではどうにもならない!

 そこからは壮絶だった。ゴブリンが数体入って来ては槍の餌食になり、また数体入って来ては槍の餌食になりという無限ループ。時折ルナが魔法で更に援護して効率を上げていく。

 あっという間に殲滅されていくゴブリン達。それを傍目に俺はというと。


「…………暇だ」


 そう、暇をしていた。2人の動きも充分見れたし、何回もリプレイ動画を見ているようでつまらなくなって来た。


「こんなことならルナの胸もっと堪能しておくべきだった」


 そうすればこう、なんというか。思い出して幸せな気分に浸れたのに。


「何を言ってるんだキミは……」

「ご主人様……私の胸、そんなに気に入ってくださったんですか?」

「何ですと!? 聞こえてる!?」


 結構距離があったんだが。恥ずかしくなってきた。

 ゴブリンをある程度掃討し終わると危機を悟ったのかゴブリン達は森へと戻っていく。それを傍目に俺は2人に駆け寄った。


「お疲れ様」

「はい」

「キミのお陰で生き残れた。あのまま森の中にいたら本当に死んでいたかもしれない。ありがとう」


 お礼を言われてしまった。でもあのゴブリンの数は俺も予想していたわけではないし、あの作戦も普通は思い付くようなものだぞ?


「でも3人では流石に無理だよ。撤退してギルドに報告しよう」

「え、依頼って確か巣の破壊だったよな?」

「はい、その通りです」


 それって報酬金が貰えないんじゃ。ど、どうすれば!?


「あ、先遣隊ということで報酬は幾らか入るから心配しなくて大丈夫だよ」

「ま、マジか。良かった……」

「でもその……あまり貰えないかもしれないけど。ああ、そうだ。これは全部キミ達にあげるよ」


 そう言って指を差したのは何かの山である。何それ?


「あ、これはゴブリンの素材ですね」


 見ると爪やら牙やら色々あった。何だろうか、牙はちょっと汚く感じてしまう。


「これを売れば結構なお金になると思うよ?」


 確かにこれだけあればいけそうだけど。どうやって持って帰るんだ? どう考えても鞄に入らないだろ。


「すみませんランケア様、私達は魔法の鞄を持っておりませんので」

「あ、そうだったんだ。えっと……それじゃあ一緒に街まで戻ろう」


 魔法の鞄ってこれのことか? こんなのに全部入ると?


「刀夜くん、その鞄ありがとう」

「いや、本当に戦闘で俺は全く役に立ってないからな。ルナの胸に顔を埋めてたくらいだ」

「本当何してるんだキミは……」


 いや、あれは俺別に悪くないだろ。ルナも悪くない。不可抗力だ。


「あの……ご主人様がお望みであればこれからもさせていただきたいです」

「逆だろ普通? 俺の方が頼む立場だろ?」

「そ、そんな……。私の身体は全てご主人様の物ですよ……」


 そんな照れながら言われても。恥ずかしいだろ。


「ふふ、2人は仲良しだね。それじゃあ転移魔法使うよ」


 リアが転移魔法の魔法陣を展開すると再び周囲は光に包まれた。転移魔法って楽だな。確かルナも使えるし、俺も教えてもらおう。

 街に戻ってきた俺達とついでに大量のゴブリンの素材。転移魔法って素材も転移させることが出来るのか。ということは家を持てれば素材を家に転送すればいいんじゃないだろうか?


「うお、ビックリした!? 何だその大量の素材は!?」

「すげぇ! 何だそれ!?」


 丁度街に入ろうとしていた人々が俺達を見るなり、いや、その素材の数を見るなり驚いていた。やっぱり凄いことだったんだな、あれ。


「それじゃあ刀夜くん、これはここに置いておくけど大丈夫?」

「あぁ、問題ない……よな?」

「はい、大丈夫です」


 とりあえずその魔法の鞄? というのがあれば大丈夫何だろうしな。その辺はルナに頼むか。


「それじゃあ僕はギルドに報告に行きます」

「あ、じゃあルナ」

「はい?」

「お前も報告にいって、そのまま報酬金を貰ってそれで宿を一部屋予約してくれ」

「え、は、はい! 分かりました!」


 ルナとリアを一緒に行かせるのは不安だ。何か寝取られそうだし。いや、そもそもルナは俺の物じゃないんだけどな?

 2人が並んで行く様はちょっとお似合いに思えてしまった。寂しい。


「ねぇボク? これどうしたの?」

「ん?」


 突然妙なお姉さんに話し掛けられてしまった。綺麗な人だが……こう、なんというか嫌な感じがする。はっ! この人痴女のパターンだ!


「どうしたもこうしたも取って来たに決まってんだろ? 何か用かよ?」


 ちゃっと強気に出てみた。歴戦の覇者のように。いや、鍛冶師だから底が知れてるんだろうけどな?


「ふふ、可愛い顔して強いのね? お姉さんと遊ばない?」

 

 ほーらやっぱり痴女だよ! どうする!? 童貞の俺にこういう時の対処法など分からん!

 いや、考えろ。人が嫌がることを。何かないか、何か……。くそ! ルナの胸の感触しか思い出せねぇ!


「あ? 俺がお前なんかと遊ぶわけないだろ? 舐めてんのか?」


 嘘ですすいません! 年上お姉さんとか超憧れてます! リードして欲しいとすら思ってるくらいです!


「あら、大きく出るわね。ふふ、必死な様子が余計に可愛い♡」

「キャラきっついなお前……」


 何この痴女。憧れ通り越して白けた。とりあえず早く何処かへ行ってくれないだろうか?


「ふふ、何なら今ここで……ヤる?」


 痴女はその魅惑的な身体をくねらせながら俺の顎に手を当ててくる。くそ! 俺が童貞でなければグーで殴ってるのに!


「ただいま戻りまし……え?」

「え? る、ルナ?」


 ルナが帰ってきた。まさかの転移魔法で。


「た、助けてルナ! こいつ痴女だ!」

「えぇ!? ご、ご主人様に何してるんですか!」


 ルナが慌てて駆け寄ってきてくれた。嬉しい。


「あら、あなたはこの子の何なの?」

「どれ……メイドです!」

「そうそう。ん? 今奴隷って言い掛けた?」


 朝方あんなに言ったのにまだ奴隷だと思い込んでいるのだろうか? ちょっと心配になってくるな……。


「はぁ……もう先約がいたなんて」

「いや、先約じゃなくてだな。とにかく今はお前に構ってる暇はないんだよ。ルナ、転移魔法でこの素材ごと俺達を宿屋に頼む」

「は、はい!」


 ルナが即座に転移魔法陣を展開してくれる。この痴女ともこれでおさらばだ。

 光に包まれて俺達は見慣れたような見慣れないような宿屋の一室へとやって来る。ようやく落ち着ける。


「はぁぁぁぁ…………」

「お疲れ様ですご主人様」


 疲れたように息を吐いてしまう。そういやもう日が沈むような時間帯か。ここまで1日がハードに感じるのも珍しいだろう。

 ベッドに座るとそのまま横になる。腹減った。


「ルナ、立ってないで座ったらどうだ?」

「は、はい。失礼致します」


 と言ってルナはその場で座る。何故に床。


「いや、床じゃなくてベッドとか」

「いえ、そこはご主人様が使用なさる物ですので」

「あー、もう。いいから座る」


 俺はルナの腕を引っ張って立たせると強制的にベッドに座らせる。


「あ、あの……」

「お前は俺を持ち上げてるみたいだが俺は対等としてしか扱わない。もちろんメイドプレイも捨てがたいがな」


 強制する気もなければ特に何もする気はない。もちろんルナから望んでくれるなら嬉しいけどな。


「そんな……私は…………」

「まぁすぐに改めろ、とは言わない。でもな」


 俺は上体を起こすとルナの頭に手を置いた。


「俺よりお前の方が凄いんだから自信を持てばいい。ほら、今日はお前のお陰で金が手に入ったろ?」


 俺は直接は何も出来なかった。ルナがいなければ間違いなく俺はもっと何も出来ずに終わっていたことだろう。


「…………はい」


 ルナは俺の手を両手で包み込むとそれを自分の頬にくっつけた。


「ありがとうございます……ご主人様」

「あぁ」


 ルナは幸せそうに微笑んでくれた。それだけで俺も嬉しくなる。


「それで金はどれくらい余ってるんだ?」

「はい、かなりいただきましたので素材と合わせますと10日は何もせずとも暮らせるかと」

「え、そんなに?」

「はい。ギルド側の不手際もございましたので謝礼金と、報告の報酬金がございましたので」


 それってかなり貰えたんだな。これなら俺の勉強時間も確保出来ている。ラッキーだな。


「それじゃあ何か食いに行くか。流石に腹減ったしな」

「は、はい。ですが私は食事を必要と致しませんので……」

「ん? 食えないのか?」

「いえ、食事は可能ですが必要がないので……」


 あぁ、そういうことか。


「食えるなら問題ないな。行くぞ?」


 ルナは遠慮ばかりする。ちょっと強引にする方がいいだろうな。


「で、ですが……」

「いいから来る。1人で飯食う方が悲しいだろ?」

「は、はい!」


 ルナを連れて宿屋の外へと出る。これを続けていればいずれは慣れてくるだろう。精霊である自分は奴隷ではないと思い込ませることが出来れば上々だ。


「ルナ、何か食いたい物とかあるか? 俺は流石に異世界の料理はどれが美味いのか分からない」


 ルナの好みも知っておきたいしな。こういう積み重ねで関係を築いていくのが普通だろう。


「えっと……で、ではお、お魚を……」

「それで行こうか。飯屋ってどこにあるか分かるか?」

「すみません、そこまでは」

「なら探すか」


 適当に散歩も出来、また街の散策も出来て丁度良い。この街のことを知っていればより知識を深めることが出来るしな。


「あの……」

「ん?」

「ご主人様はどうしてそんなにも優しくしてくださるのですか?」


 どうしてと言われてもな。そもそも優しくした覚えもないな。


「俺は別に優しくしてるつもりはないぞ。あぁ、あれじゃないか? ほら、心が綺麗ってやつ」

「…………確かにご主人様の心は大変綺麗です。納得致しました」


 冗談で言ったのに納得されてしまった。気恥ずかしいな、おい。

 少し歩いていると様々な店屋を見つける。魚料理はっと。


「あそこでいいか?」


 見つけたのは海鮮丼をしている所だった。もちろん海鮮丼っぽい絵柄が載っているだけだが。何の店なのだろうか? 読めないから分からない。


「美味しそうですね」

「それじゃあ入るか」


 中に入るとそこは見慣れたようなファミレスやら喫茶店を彷彿とさせる場所だ。異世界だろうとこういうのは変わらないらしい。


「2名様ですね。こちらへどうぞ」


 テーブル席へ案内されるなら俺はルナに切り出した。


「なぁルナ、明日からちょっと俺の勉強に付き合ってもらっていいか?」

「お勉強ですか?」

「あぁ。この世界で生きていく為にも文字を覚えたい。後は魔法とかな」


 それがなければ最低限の知識さえも身に付けれない。現状維持のままだ。


「はい、分かりました。ご主人様のお役に立てるよう精一杯努めさせていただきます」

「うん、そこも直そうな?」


 とりあえず色々と進んでいかなければならないだろう。俺のことや職業のこと。それに金やルナとの関係など色々と。

 ちなみにこの後やってきた海鮮丼の味は大変素晴らしく、ルナがかなりハマっていたのは見ていて面白かった。

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