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第35話 疲れた時はイチャイチャ以外やることはない

 ゆっくりと目を開ける前、既に何やら物凄い良い匂いと柔らかい感触に包まれているのを感じた。これは……ルナか?

 ルナは寝ている途中に誰かに抱き付く癖がある。多分いつものだろう。いやでも匂い違うような?

 目を開けると青髪の美女が心地良さそうな寝息を立てていた。何だよ、アスールかよ。嬉しいじゃねぇか。

 やんわりとアスールを引き剥がすと上体を起こす。今何時だ?

 確認すると時刻は夕方。どうやら結構眠ってしまっていたらしい。昼寝ってこういうのがあるから生活習慣狂うよな。俺は元々狂ってるようなもんだけど。徹夜しまくりだしな。

 あいつらは多分別室か。いつもは俺の体調管理にうるさいルナもいない。勉強するのに持ってこいのタイミングだろう。

 勉強を始めようとしたその瞬間、部屋にノックの音が響く。も、もしやルナ?


「どうぞ?」

「あ、刀夜くん起きてたんだ」

「おはようございます、ご主人様」


 入って来たのはルナだけじゃなくアリシアもだ。まぁそうだろうな。


「アスールさんは?」

「そこで寝てる」

「ご主人様にやりたい放題と言っていたのですが……やはり冗談だったんですね」


 どうやら無駄な討論の末アスールが添い寝の権利を勝ち取ったらしい。うん、まぁ勝った時の台詞に関しては深くツッコミは入れないでおこう。


「それで刀夜くんはまた勉強かな?」

「ご主人様?」

「いや、これはその……」


 ルナの目付きが鋭く!?


「ご主人様はお疲れなのですからゆっくりお休みください」


 ほらやっぱり言われた。しかし危険は待ってはくれない訳だが。


「万全の体勢の時の方が効率が良いよね? 今はゆっくり休も?」


 アリシアにまで言われてしまった。仕方ない。今日はもう諦めるか……。

 勉強道具をしまうと身体を伸ばした。寝起きだからな、何もする気にならない。勉強はしないといけないという使命感が働いただけだ。


「ご主人様、やはりお疲れなのですね」

「いや、確かに疲れてるけどそんなに……」

「刀夜くん、ちょっとこっちに来てくれる?」


 ん? 何やらアリシアに呼ばれてしまった。よく分からないがとりあえず従った。

 するとアリシアは優しげに微笑んでゆっくりと俺を抱き締めた。え、何で?


「あ、アリシア様!?」


 あ、さらっとルナがアリシアのこと名前で呼んでる。仲良くなったんだな。


「頑張るのは良いことだけど頑張り過ぎないでね? 刀夜くんはただでさえ頑張り屋さんなんだから」


 お、おう? とりあえず子供扱いされてる感が否めないのは俺だけか?

 体調管理くらい自分で出来る。多分だが。努力しないと俺は強くなれない。自分が天才だとは思わない。だから努力して、無理をして。そうしないと最強で無くなってしまうから。


「とりあえず癒し系お姉さんが2人になると困るな……」


 ルナもアリシアも過保護過ぎる。アスールを見習ってほしい。ほら、今もぐーすか寝てるんだぞ?


「…………熱い抱擁」


 寝てなかった!? というか見られた!


「…………このままエッチ?」

「ちょっと待てアスール。これは違う」

「…………浮気を目撃された男」


 何だそのフレーズは!? というかこの世界に浮気という概念ないだろ! それ俺が教えたやつ!


「ご、ご主人様?」


 ルナも疑わしい目を向けない。というかそうですよね? 日本ではこれ思いっきり修羅場ですよね?


「ご、ごめんね刀夜くん……。でも本当に無理しないで?」


 そしてこの上目遣いである。こんなもん目の前にして耐えられる男がいるものか。いやいない。


「えっと……マジすんません……」


 もう謝るしか出来なかった。ひとまず俺は今日はもう何もさせてもらえなさそうだ。楽なんだがこう申し訳ない気持ちになる。

 何もすることがないと誰かに甘えてしまう。俺は後ろからアリシアを抱き締め、ボケーっとしていた。


「あ、あの、刀夜くん?」

「どうした?」

「暇なのは分かるんだけど……その、この体勢は」

「嫌か?」

「嫌じゃないよ!?」


 そんな慌てて否定しなくても。


「でもその、ルナさんとアスールさんの視線が……」


 2人の視線? 俺がアリシアの肩から顔を覗かせると2人が羨ましそうにこちらを見ていた。みんなして欲しいのか?


「お前らもして欲しいのか?」

「いえ、したいです」


 する方かよ。


「男がしてもらうとか変じゃないか?」

「…………逆なら問題なし」

「逆?」


 何だ逆って。どういう意味?


「…………向かい合う」

「それはただの抱擁だろ?」

「…………騎乗ぃ」

「それ以上はやめておけ」


 若干アウトな気はしたが。まぁいいか……。


「…………後ろの方が好み?」

「いや、どちらかというと顔を見ながらする方が……ってこんな話お前と俺くらいしかしないぞ」


 時折感じるのだがアスールは実は中身おっさんなんじゃなかろうか? 当たり前のようにエロ話振ってくるから俺も男子と同じノリでエロ話してしまう。

 ルナとアリシアは顔を真っ赤にしていた。アリシアは分かるがルナはそろそろ慣れようか。何回してるんだよ。


「…………大人のお話」

「大人なら羞恥心も重要だと思うぞ……?」


 アスールはその辺抜けてるからな。当たり前のように接してくるのが難点だ。俺も当たり前のように返してしまう。とんでもない話なのに。


「そ、そうだったんですね。えっと……メモを」

「ルナさーん? 何メモしてるんですかね?」


 そんなことメモしないで。何、俺の好みに合わせようとしてくれてる? 良い子かよ。良い子だったな……。


「わ、私も初めては顔を見ながらの方が……」

「お前もちょっとは遠慮しろよ」


 まさかのアリシアまで乗ってきた。初めて奪っちゃうぞこら。あ、実は誘ってるのか?

 しかしこうやることがないと暇だな……。アリシアの頭を撫でるくらいしかやることがない。


「あ、あの、刀夜くん?」

「どうした?」

「その……私も逆の方が良いんだけど……」

「…………騎乗ぃ」

「だからやめろっての」


 またかよ。アスールには少し教育が必要らしい。


「アスール、次エロ用語言ったらお仕置きな?」

「…………SM?」

「早速かよ」


 速過ぎてツッコミ入れちまったよ。


「…………刀夜になら何されてもいい」

「え、マジで?」

「ん…………マジ」


 マジかよ。これはお仕置きと称して色々出来そうだな。というかお仕置きじゃなくても色々出来そうだな。


「わ、私も! 私もお仕置きして欲しいです!」

「お仕置きを立候補するやつ初めて見た」


 ルナは何言ってんだか。まぁそれだけ俺のことを信用してくれてるってことなんだろうけど。素直に嬉しいな。


「わ、私はお仕置きはちょっと……。あ、愛して欲しい……かな」

「…………それは当たり前」


 まぁそうだろうな。お仕置きされるよりは大多数が愛される方が良い。俺もそうだしな。でも世の中にはMっ気がある人もいるんだぞ?


「とりあえずアスールはお仕置きだ」


 アスールの頬をムニッと摘む。柔らか。


「…………こへはおひおひ?」

「あぁ、これがお仕置きだ」


 何やら不服そうなんだけど。何を期待してんだ?


「あまり痛くなさそうです。それどころかご主人様に頬を触っていただけるなんて……」

「お仕置きがご褒美みたいな言い方になってんだけど?」

「…………ほうははいほ?」

「何言ってんのか分かんねぇ……」


 ある意味これが罰な気がしてきた。


「私はどうして後ろから抱き締められながら別の人とイチャイチャしてるところを見せられてるんだろう……」

「確かに変な光景になってきたな……」


 何でこんなことになったんだろうか?


「ひとまずアリシアが柔らかい」

「そ、それって太ってるってこと?」

「いや、程良い肉付きで抱いてて気持ち良い」


 女性らしいというか何というか。スマートというよりはムッチリしてる。胸も大きいしな。何でこんな人を男だと勘違いしていたのだろうか? 俺が童貞だったからだな!


「なっ! わ、私はどうですか!?」

「そりゃあルナも気持ち良いけど。もちろんアスールもな」


 女の子の身体はそういうものなのだろう。それかこいつらが外見がパーフェクトなのか。ひとまずはここにいる全員俺のどストライクなので問題ない。


「…………アリシアだけズルイ」

「そ、そう……だよね?」

「私もご主人様と触れ合いたいです」


 みんな俺と触れ合いたいらしい。幸せだな。俺はモテモテだ。リア充とはこういう感覚なのだろうか?


「うぅ、アリシアが離れるのは仕方ないが……名残惜しい」

「あ、あの……ま、また今度しよ?」

「あぁ。でも最後にこれだけ……」


 俺は離れようとするアリシアを抱き寄せるとギューっと抱き付いた。柔らかいし良い匂いだしで凄い落ち着く。


「と、とと、刀夜くん!?」


 反対にアリシアは顔を真っ赤にして恥ずかしそうだった。これが未経験の反応である。焦らせてごめんね?


「…………私も抱擁を所望」

「私もお願い致します!」


 お、おう。そんなつもりでしたんじゃなく普通に寂しかっただけなんだが。

 ひとまず2人にも同じように抱擁する。全員柔らかいし気持ち良い。特にルナの胸はヤバい。潰れて変形するのが目に見える。他の2人も大きいけどやはりルナは圧巻だな。

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