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第76話 最終決戦? お決まりなんて守る必要無し

「さて、行くか」


 完全武装し、新たな武器を大量に準備した。これで負けるようであれば人類に勝ち目などあるまいと言えるくらいに準備し尽くしたわけだが。


「メディシーナ・リーベの研究所の場所は分からなかったよね? 大丈夫かな」

「建物らしきもんはなかったけどな〜」


 やはり問題はその点だが……。恐らくだがある程度の目星は付いている。もちろんない可能性も大いにあり得るが。

 マオとリルフェンの気配探知に引っ掛からない隠れ場所。そんなものが存在するのかどうかというくらいだ。もしなかった場合はどうしたものか。


「まぁとりあえず行ってみてなければ退散だな」

「そうだね。それじゃあ転移魔法使うよ」


 ムイが転移魔法陣を展開、以前の森へと一気に移動してくる。

 転移先に来るなり人間と触手を混ぜたような化け物と目が合ってしまう。というか結構多いんだが?

 化け物が多いということはやはり発生源はここということだろう。移動していないのかもしれないな。


「邪魔はしないで欲しいかな?」


 アリシアが拳銃を抜いて引き金を引く。改良版の銃なのだ、撃ち出された弾丸は皮膚を貫いて体内へと侵入、固定されるようにしてある。そして……。


「ゔああああぁぁぁぁぁぁ!!」


 銃弾程度では死なないのは知っている。首を落としても死なないくらいだしな。しかし……。

 突如として化け物の上半身が破裂して消えていった。固定された弾丸が内部から破裂したのが原因だ。


「ま、またえげつねーの作ったな……」

「ビームだとアホみたいに破壊しちまうからな。ちなみにエルフの魔法だったりする」


 しかし難点がある。それは銃弾に仕込んだ魔法陣で爆破させるわけだ。当然銃弾が必要なことから弾のリロードなども必須である。リボルバー型にしており連続して撃てるのはせいぜい6発が限度だ。


「…………なんでさらっと他種族の魔法覚えてんだよ」

「あー、流石に向こうに警戒されると思ってお前らには声掛けなかったんだけどな。今はある程度仲良くなったから獣人族とエルフ族の技術を盗めるぞ?」


 獣人族には元から慕われてたか。まぁ別に細かい話はいいだろう。


「相変わらずだなぁ……」

「んじゃその武器も全部新作だったりするのか〜?」

「あぁ、やりたい放題出来るレベルには仕上げた。もっとも通じるかは知らないがな」


 多分なんとかなるんじゃないだろうか? 本当に多分だが。


「とりあえず着いたけどどうするんだ? 刀夜殿はある程度場所に心当たりはあると言っていたが」

「私達の気配探知に引っ掛からない場所よね?」

「ガウガウ」


 コウハ、マオ、リルフェンは期待したような目で見て来るわけだが。いや、そんなに期待されても困るんだが。


「まぁ行ってみるか」


 ということで向かったのは崖である。うん、マジで崖。


「…………自殺の名所?」

「そうなんですか?」

「ん……こういう所から飛び込むのが定番」


 呑気なもんだなおい。まぁ飛び込むんだけどな?


「そのつもりだぞ?」

「え?」


 全員からキョトンとした顔をされてしまった。そして慌て始める。


「し、しし、死ぬ気ですか!?」

「そ、そんな!? 刀夜くん何か嫌なことがあったの!?」

「早まらないでよ! ほ、ほら、私のおっぱい好きにしていいから!」

「マオ殿何を言ってるんだ!? で、でも……と、刀夜殿が望むのなら私もいいんだぞ?」

「…………エッチタイム」


 いや死ぬ気じゃないんだけど。というか施設はこの下かなと思っただけなんだけど。


「目視では無し、マオとリルフェンの聴覚、嗅覚でも確認は出来ない。なら答えは海の中じゃないかと思っただけなんだが」

「あ、自殺ではないんですね……よかったです」

「当たり前だろ……」


 なんで自殺すると思われたんだろうか。とひあえずさっさと済ませて帰ってイチャイチャしたいものだ。


「さて、ということでルナ。ひとまず海を凍らせてくれ」

「すっげー無茶振りだな〜」

「かしこまりました」

「え、了承する流れなのか」


 無駄な魔力消費は避けたいからな。ルナは俺の製作した武器を持っているので問題ない。

 ルナは白いリストバンドに触れると目を閉じる。青色の魔法陣が一気に展開され、巨大な氷柱が幾つも発生して海に向かって降り注いだ。


「ちょ、そ、そんなに魔力使って大丈夫なのか〜?」

「え? あ、こちらはご主人様が製作してくださった外気の魔力を使用する魔法ですよ? リストバンドにしてますので軽くて便利ですよ」

「お、おう……」


 なんでミケラはドン引きしてるんだろうか? そんなの今更だろうに。

 海に突き刺さった氷柱がどんどんと周囲を凍らせていく。さて、次の仕事だな。


「んじゃ穴空けるぞ」


 俺は旧型の銃を取り出すとビームを連射。氷を貫いて穴を空けていく。


「…………あれ」


 アスールが指を差す。そこには真っ白な建物の角が見える。どうやら崖の真下に作っているらしい。ということは入り口は海に面しているが実際の施設はこの崖の地面の下ということか。

 まだどの道正面突破する気もないのだ、問題ないな。


「で、突っ込むのかな?」

「いや、そんな面倒なことはしないぞ? とりあえず降りるか」


 ひとまず飛び降りると風魔法で落下の速度を調整し、氷の上に着地する。足場悪いなこれ、超絶滑る。

 氷の上から下を確認するとやはり建物が存在しているようだ。崖の株が抉られており、そこに研究所を作っているようだ。規模もかなり大きい。


「きゃっ!?」

「おっと」


 着地した際に滑ったルナを支える。確かに1人くらいは滑る人がいるだろうと思ってたからな。ミケラだったら顔面を強打してもらうところだが。


「あ、ありがとうございます」

「いや、気を付けろよ?」

「…………格好良いです」

「ん?」


 なんだって?


「あ、す、すみません!」

「お、おう?」


 流石に今更照れたりはしないがこのタイミングはよく分からないな。


「私もつまずくべきだったかしら」

「いや、わざとはやめてくれよ。そんなことなら俺だって転ぶふりして胸に顔を突っ込むぞ?」

「いいわよ?」


 許可されてしまった。本当に実践してやろうか。


「っ!」


 イチャイチャしていると空気を読まずに建物から化け物が出てきたので遠慮なく銃口を向けて引き金を引く。


「おいおい、このままじゃジリ貧じゃねーか?」

「まぁこのままならな。実はこの銃で撃ってるのは上級属性魔法なんだよ。特級属性魔法になると銃が持たない上に反動も凄まじくて不可能でな」

「え、ま、またなんかするのかお前」

「硬化魔法って便利だよなって話なんだけどな」


 俺は懐から更にもう1つの銃を取り出す。

 昔から思っていたが例えば勇者が魔王城に侵入するなどがお決まりだが俺は多分そういうことをしない方がいいと思っている。

 何故敵の本拠地にわざわざ侵入する必要があるのだろうか? 当然敵側の方が有利に決まっているというのに。

 ということで俺が取る作戦はこうである。建物ごとぶち壊して全部殺せばよくないかということである。


「あ、私が撃ちましょうか?」

「あー、じゃあ頼めるか?」


 新作の銃はルナに任せて旋回してくる鳥型の化け物に銃を乱射して焼失させていく。その間にルナは銃を取り出すと銃口を真っ直ぐに白い建物に向ける。


「いきますね」


 ルナが銃の引き金を引く。超巨大な火の玉が撃ち出される。その太陽のような規模の弾丸は化け物を巻き込んで建物を一気に焼失させていく。


「流石に規模が大きいですと1発では無理ですね」

「そうだな。つーことでアリシアも頼む」

「うん、任せて♪」


 俺に頼られるのそんなに嬉しいのかお前……。満面の笑みで銃を取り出したアリシアはルナに次いで銃を撃つ。


「と、刀夜? このまま押し切る気か!?」

「そうしたいところだが……無理そうだな」


 自ら建物を破壊して襲ってきたのはドラゴンだった。翼が生えた赤いドラゴンで明らかに異常な存在だ。

 ルナが銃を撃って迎撃を試みたが無理だった。火の魔法に耐性があるのか、それとも魔法そのものが効かないようにされているのか。

 何にしても面倒な相手だな。物理的な攻撃であれば効くかもしれないか。


「強い敵ですね。氷も使いますね」


 ルナが銃を撃ちながら更に氷柱を発生させ、ドラゴンの飛行を妨げる。


「刀夜殿、私が行く」

「そうか。ルナ、氷柱は出しておいてくれ」

「はい!」


 コウハは氷から飛び降り、氷柱を足場にドラゴンへと迫る。その速度はライジンによりどんどんと上がっていき、あっという間にドラゴンに迫った。


「破壊の風撃!」


 コウハの特技に反応した大剣が強烈な烈風と共に振り下ろされる。その一撃は無慈悲にドラゴンの首を切り落とし、その威力にドラゴンが吹き飛んで建物を倒壊させていく。


「っ、まだ来るわ! 援護するわね!」

「あぁ。俺も行くわ」

「はい、お気を付けて!」


 にっこりと微笑むルナに見送られて俺も氷柱を足場にコウハの援護へ。更に現れたドラゴンの群れは俺達に襲い掛かる。


「双雷の矢!」


 マオが撃ち放った紫と青の雷を纏った矢がドラゴンの翼を的確に貫いてバランスを崩させる。

 マオの紫電の矢に製作した黄金の弓で発せられる雷魔法を混ぜたオリジナル品だ。


「グラァァァァ!!!!」

「おっと……撃ち漏らしか」


 多分氷柱や俺達に重なって狙えなかったんだろう。別に問題はない上にむしろ他のドラゴンはほとんど落としているので相変わらずマオの腕前は一流だ。

 氷柱を蹴ってドラゴンの側面へと回り込む。更に氷柱を蹴ると同時に風魔法を使用してライジンと併用しての超速移動。

 刀を抜くと同時に特技を使用する。


「神速の風刃」


 風を纏った刃がドラゴンの首を易々と切断する。ふむ……化け物相手は初めてだが問題なく通じるな。


「…………刀夜」

「ん?」


 アスールが飛行しながらやって来たので刀を氷柱に突き刺して固定する。


「…………暇」

「お、おう? なら防御魔法で援護してくれるか?」

「ん……」


 防御魔法は付与出来なかったので残念ながらアスールの武器は別のものだ。問題は今はそれが必要がないことだが。


「…………にしてもあいつら俺より強くなってねぇか?」

「ん……刀夜が作った武器強い」


 まぁ別にいいんだが。だからと言って俺も負ける気はないしな。


「んじゃとっとと研究所ぶっ壊してメディシーナ・リーベを引きずり出すか」

「ん…………ボスを引きずり出そうとする魂胆、流石」

「アホみたいなギルド長にも言ったが俺は態度が横柄な奴は嫌いだ。なんでわざわざこっちからメディシーナ・リーベに会いに行かなきゃならないんだ」

「ん……ごもっとも」


 別にRPGゲームじゃあるまいし、魔力を馬鹿みたいに消費するわけでもないのだ。これくらいが丁度良いだろう。

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