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第54話 心の傷を癒すには仲間の無防備な一面が効果的である

 朝食を手早く食べた後の少しの空き時間。何故か俺はアスールに自室へと連行されていた。俺何か怒られるようなことしたっけ……?


「アスール、何か怒ってるのか?」

「…………怒ってない」


 怒ってないらしい。後いい加減着替えてくれないだろうか? 俺の服気に入り過ぎだろ。


「…………ベッドに座って」

「こうか?」


 言われた通りベッドに座る。しかしそうでないらしい。


「…………上に座って」

「上に? こうか?」

「ん……そう」


 ベッドの上で胡座をかいて座る。アスールが何する気なのかは分からないが今日は忙しいのだからあまりのんびりし過ぎるのもよくない。

 俺の対面で膝立ちになったアスールはいきなり俺の後頭部に手を回して自身の胸に抱き寄せて来た。


「ちょ、アスール!?」

「…………よしよし」


 何故か子供扱いである。頭を撫でられ、頬にはアスールの柔らかい胸の感触。なんというか、幸せだな。

 普通ならこんなことをされれば落ち着かないものだが何故だろうか? アスールだからだろうか。なんか落ち着く。


「…………まだ変な夢見た?」

「え?」

「…………起きた時ちょっと変だった」


 あ、だからこうして慰めてくれてるわけか。しかしルナ達には何も言われなかったんだがな。


「…………刀夜は隠すの上手だからちょっと心配」

「悪い……でも昔の夢を見ただけだから大したことないぞ?」

「……そうなの?」


 本当に大したことはない。俺は未来への分岐点を間違えたという部分だったろう。あれがなければ恐らく浅野とはそれ以上でもそれ以下でもなかったはずだ。

 その先のことはあまり思い出したくない。何故いきなり浅野が積極的になったのか。その理由を知ってしまったから。

 そう考えると確かに傷心してしまっているのかもしれない。辛いことの中にこれは充分含まれているから。


「…………なぁアスール」

「ん……」

「…………なんか色々人生って疲れるな」


 本当に色々あり過ぎて疲れる。俺の人生だけなのか?


「お前らがいなけりゃとっくに心が折れてるな」

「ん…………なら今はゆっくり癒されて」

「…………あぁ」


 アスールに撫でられるとやる気が削がれていく。あいつらからは散々気負い過ぎるなと言われているな。このくらいが丁度良いのかもしれない。

 俺はアスールを引きずりこむようにベッドに倒れる。膝立ちのまま長時間も疲れるだろう。


「……刀夜甘えん坊」

「嫌か?」

「…………可愛い」


 今の気分ならその言葉も受け入れてしまえる。アスールがここまで母性が強いとは思わなかったが。


「しかしこうしてもらってると欲情しないもんだな」

「…………魅力足りない?」

「いや、安心するっていう方が大きいのかもな。普段なら欲情してるかも」

「…………そう」


 何でそんなに嬉しそうなんだ。


「…………刀夜は生の方がいい?」

「ん?」

「……おっぱい」


 生ってことは服脱ぐってことか? いやいやいやいや、流石にそれは色々とマズイ気がする。


「それは流石にな。欲情しちまうぞ」

「…………そうなの?」

「あぁ。流石に服の上だとブラのお陰か柔らかいけどあんまり柔らかくないからな」


 というのは童貞時代には分からなかったことだが。流石に生で触ったらもうエッチ直行だろう。


「…………エッチしたいならしてもいい」

「何でだよ」

「……私は元々朝はそのつもりだった」


 そういやそうだった。こいつ朝立ちの処理しに来たんだった。残念ながら勃っていなかったみたいだが。


「昼から出ないと行けないだろ? エッチしちまったら体力が持たないぞ?」

「…………むしろエッチするから気力満帆になるんじゃ?」

「む……それは一理あるな」


 確かにそういう考え方も出来るのか。これは迷うな……。


「…………疲れると問題?」

「問題じゃない気がしてきた」

「ん…………なら……する?」


 アスールが少し身体を離して伺うように聞いてくる。危ねぇ、つい頷きかけてしまった。


「やっぱり夜にしようぜ?」

「ん…………」

「その代わり我慢した分盛大に抱くけど」

「ん……楽しみ」


 やっぱり恥じらいも何もねぇな……。まぁアスールらしいけど。


「…………なら今は別のことで癒される」

「別の事って、もう充分癒されたぞ?」

「ん…………だから次はルナで癒される」

「ルナで?」


 同じことをルナにさせるのか? しかしそれはな……あいつらは気付いてもいないのに余計な心配はかけたくない。


「…………平気、揺れるおっぱい観に行くだけ」

「発想がおっさんだな……。でも確かに癒されそうだが」


 主に思春期的な意味で。活力にはなるかもしれんが……。


「…………行こ」

「はいはい」


 アスールと手を繋いで居間へと向かう。ルナは洗い物をしていた。


「あら? どうかされましたか?」

「…………ルナは気にしなくていい」

「そうですか? うぅ、私もご主人様と手を繋ぎたいです」


 あ、これだけで癒されそう。ルナさん俺の扱い分かってる。


「…………今のはポイント高い」

「そうだよな?」

「え? な、何のお話ですか?」


 ルナが困惑している。洗い物からこちらに身体を向けるたびに胸が上下する。


「……刀夜、どう?」

「うん、眼福」

「…………そう」


 アスールと親指を立て合う。何してんだろ俺。別にいいんだけど。


「…………次はアリシア」

「え? ほ、本当に何の話ですか!?」

「…………内緒」

「ということらしい。悪いルナ」


 ルナに謝って次はアリシアの元へ。アリシアは真面目に色々な本を見返していた。全て特技や槍の扱いに関しての本だった。


「アリシアには何してもらうんだ?」

「え、私? 何か用かな?」

「ん…………刀夜を癒す為に脱いで」

「えぇ!?」


 それは直球過ぎるだろ。流石にアリシアもそんなの受けないぞ。


「と、刀夜くんが望むなら……」

「いやいやいやいや」


 何で俺が望むなら脱いでくれるんだよ。慌ててアリシアの手を掴んで何とか服を脱がないように阻止する。


「だ、だって癒して欲しいってことは何かあったんだよね?」

「ん…………ただの冗談」

「あ、冗談だったんだ。もう、あんまり勘違いさせるようなこと言ったら駄目だよ?」


 アリシアなりに気を遣ってくれたらしい。しかし俺が色々と弱っているとこうして行動に出てくれるわけか。そう思うとちょっと元気になるな。


「…………どう?」

「癒された」

「え、わ、私何かした?」


 困惑した様子のアリシア。確かに何がなんだか分からない状態だろう。


「俺とアスールだけの秘密の遊びでな」

「そ、そうなの? うぅ、ずるい……私も刀夜くんと何か秘密があればいいのに……」


 何この可愛い生き物。お持ち帰りしたい。


「…………恐るべし、姉」

「そうだな」


 アリシアはみんなのお姉さんみたいなもんだからな。ルナの包容力もだが。


「…………次はコウハ」

「そういやあいつはどこにいるんだ?」

「…………自分の部屋」


 何してんだろ? 着替えて準備してるとかな。

 コウハの部屋まで向かうとノックする。すると落ち着いたような声が聞こえてくる。


「誰だ?」

「ん…………アスール」

「アスール殿か。今開ける」


 コウハが慌てた様子でドアを開ける。やはり着替えていたのだろう。チャックが半開きになっており、胸元が大胆に露出していた。


「着替え中ですまな……え?」

「oh…………」


 とりあえず大袈裟にリアクションを取ってみた。しかしあまり意味はなかったらしい。

 コウハは顔をどんどんと真っ赤に染め上げると慌てて勢い良くドアを閉めた。


「い、いい、いたなら言ってくれ!」

「…………ごめん」

「なんか悪い……」


 でもなんというか、ラッキースケベもいいものだ。


「…………どう?」

「癒された」

「ん…………流石刀夜。……運が良い」


 本当にな。コウハには悪いが良いもの見せてもらった。

 少ししてドアが開いて恥ずかしそうなコウハが顔を出す。何この可愛い生き物?


「…………それで何か用か? アスール殿は刀夜殿と手を繋いでいるし……」

「…………休憩しない刀夜を拘束中」


 あ、そういう理由にするのか。慰める為にしてくれてるんだろうけどな。咄嗟の言い訳にしてはかなり良いだろう。


「ついでに決戦前に全員の様子を見ておこうと思ってな」

「そういうことだったのか……。私は色々な意味で大丈夫ではなかったが大丈夫だ!」

「そうだな……。マジで悪い」

「いや、刀夜殿が気にすることじゃない。私がもっとしっかりしているべきだった」


 声を掛けたのがアスールだったから油断してしまったのだろう。悪いことをしてしまった。


「それじゃあ次はマオの所か?」

「ん…………部屋でリルフェンと遊んでるはず」


 そうなのか。あいつもあいつで面倒見が良いからな。子分みたいなリルフェンが可愛くて仕方ないのだろう。


「では私も着替えて剣の手入れをしたらすぐに向かう」

「おう。悪いな邪魔をして」

「いや、気遣い感謝する」


 コウハと別れてマオの部屋へ。恐らくマオのことださっきの会話は聞こえているだろう。咄嗟の言い訳をそのまま使用させてもらうことにした。


「マオ、今いいか?」

「えぇ、どうぞ」


 マオの許可をもらって部屋へ入る。かなり大きな猫じゃらしをリルフェンの目の前で左右に振って遊んでいた。リルフェンは猫じゃないんだから。


「それじゃあもう一回行くわよ」

「ガウ!」


 マオは猫じゃらしをバトンのように高速で回転させる。それはもう高速に。


「ガウガウ!」


 リルフェンは器用に前足を両方あげて真剣白刃取りのように猫じゃらしの先端部分を掴んだ。


「器用に先端を取れるようになったわね」

「ガウ〜♪」


 頭を撫でられて気持ち良さそうなリルフェン。うん……遊びがちょっと高度だった。


「それで私の様子が見たかったのよね?」

「あぁ。気分転換も兼ねてるけどな」

「コウハちゃんの格好どうだったのかしら?」


 こいつ……これは分かってて聞いてるな。


「…………こんな感じ」


 まさかのアスールが真横で自分の服をはだけさせて実演してみせる。流石にマオも予想外だったのか微妙そうな顔をしている。


「わざわざしなくてもいいじゃない。あと刀夜さんは見過ぎよ」

「仕方ないだろ?」

「そうね。それじゃあ私もサービスしてあげようかしら?」


 マオが胸元を引っ張って谷間を見せ付けてくる。そのくせブラは見えないギリギリの角度にしているのが上手い。チラリズムというのを心得てらっしゃる。


「なんかあそこに手を突っ込みたくなるな」

「…………刀夜バグった?」

「失礼だなおい」


 バグったって。男なら仕方のない感情だろう。


「今日の夜ならいいわよ」

「…………私先約」

「そうなの? 2人でご奉仕してもいいかしら?」

「ん…………問題ない」


 問題ないらしい。今日はアスールとマオだな。うん、良い感じだ。やる気も出てきた。


「ひとまず私もリルフェンも元気よ」

「ガウ!」

「そうか、安心した。それじゃあ今日は頑張りますか」


 癒された。本当にな。アスールには感謝しないといけないな。1人で塞ぎ混んでいたらこんな風に前向きにはなれなかっただろう。

 今日の決戦。恐らくどちらに行こうとも浅野との戦闘は避けられないだろう。本気で掛からないとな。

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