第49話 お茶漬けは美味い! 警戒心も解いてしまう
ギューっと抱き付くと頬に柔らかい感触が返ってくる。これは間違いなくルナの胸だ。揉みまくったからまず間違いない。
寝起きの最初がルナの胸というのはなんと幸福なことか。ゆっくりと目を開けると案の定そうだった。流石にもうこの程度で反応はしないが。
普段から3人や4人で致してる俺だが今日はルナ1人で限界だった。そのくらい長時間愛し合ったのだから当然だろう。
乱れに乱れたルナの顔は本当にエロかった。またしたいな。
「しかし……何故俺は胸に顔を埋めてるんだ?」
確かに抱き合って寝てはいたが最後に何度もキスをしていたはず。ということは俺の顔はルナの真横にあるべきじゃないのか?
「まぁいいか……」
細かいことを気にしても仕方がない。俺の寝相なのか、もしくはルナが俺が安心出来るようにと胸に抱き寄せてくれたとかそんなところだろう。
「すぅ……すぅ……うぅん……ご主人様大好きですぅ……」
「女神かよ」
あ、女神だった。
まだまだ起きる様子がないルナをいいことに胸に顔を埋めて感触を楽しんだり、ルナの頬に手を添えたりと時間を潰す。そういや今何時だ?
「げっ……もう11時か。
もうお昼近い。どうしようか……昼ご飯の準備しないといけない。
今日はアスールやコウハの番だったのだが無しだな。まさかルナとのこれがここまでヒートアップするとは思わなかった。ルナが世話してくれた時間を考えると今からご奉仕されても不公平だろうしな。
起きなきゃいけないのだがルナとのこの時間が幸せ過ぎて動きたくない。ルナの身体はどこを触っても柔らかい。
「ん……んぅ……? ご主人様……?」
「あ、悪い。起こしたか?」
流石に胸に顔を埋め過ぎたか。ルナが薄く目を開けると寝惚けた様子で俺の顔を見つめる。
そしてパチリと目を開けた。そんなにすぐに意識はっきりするのか。ちょっと羨ましい。
「大好きです……」
寝言と同じことを言いながらルナは朝一の優しいキスをしてくれる。触れるだけのキス。昨日はもっと濃厚なキスをしたはずなのにこれだけで心が満たされる。
誰かと繋がるということ。愛し合うということはこういうことなのだろう。幸せだ……。
「おはようございますご主人様」
「あぁ、おはよう。勿体無いけど起きるか……」
「勿体無い、ですか?」
ルナがキョトンとする。あんまりそうは感じないのだろうか。
「いや……ルナとのこのひと時が終わっちまうだろ?」
「あ……ふふ、私との時間を大切にしてくださっているんですね」
「当たり前だろ?」
大好きな恋人との時間だ。他の何にも変えたくないし出来ればずっと味わっていたいくらいだ。
「はい、当たり前です」
嬉しそうに微笑むルナを見ていると俺も口元が緩む。ルナ可愛い。
「あ、もうこんな時間なんですね」
「そうだな。昨日はみんなに我慢させちまったからな。早く起きるか」
「はい。ですが最後に」
ルナは少し名残惜しそうに俺の背中に手を回して抱き着いてくる。俺はルナの頬に手を添えるとどちらがともなく少し長めのキスをした。
唇を離したルナは恥ずかしそうにしながらもそれ以上に嬉しそうだ。その魅力的な表情にやられて俺はもう一度キスをしてしまう。
「ご主人様……」
「も、もうやめよう。止まらなくなりそうだ」
「は、はい」
ルナとの時間は麻薬に等しいのかもしれない。依存性でもあるのだろうか、またしたいと思ってしまう。
2人で仲良く談笑しながら服を着て居間へとやってくる。案の定全員が既にいるわけだがそこにいつもとは違うメンツがいる。
「あ、おはよう刀夜くん、ルナさん」
「ん……今日はお楽しみだった?」
「アスール殿、直球過ぎやしないか?」
いつも通りのはずだがソファに座るクロとヒカリは俺を見つめる。その表情は読めないがヒカリの目は少し警戒心が見て取れる。
「おはようさん。お前らも起きたんだな」
「あぁ……」
魔人にとって角とはかなり重要な役割をしていた。それをへし折ったのだから当然数日くらい寝てしまうだろう。
「色々話を聞きたいところだがその前に腹減ったろ。簡単に何か作ろう」
「助かる」
キッチンへ向かうとルナが慌てた様子でやって来た。何だろうかと思いながら冷蔵庫を開けるとあまり物が入っていない。
「す、すみません。昨日使ってしまって」
「あー、そういやそうだな」
俺の飯だけ別に用意していたのだ。当然そうなるだろう。残っているのは野菜類が少量と大量の刺身、あとは薬味くらいか。
「ふむ……まぁ仕方ないな。これならお茶漬けくらいは出来そうだ」
「お茶漬け……ですか? どういった食べ物なんでしょうか?」
「それは作ってからのお楽しみってことで。すぐに出来るからルナは向こうでクロ達の相手をしてやってくれ」
「分かりました」
ルナが居間へ戻っていくのを確認すると入れ替わりでマオがやってくる。
「食材足りるのかしら?」
「まぁ俺の世界の料理……料理と言えるのかは知らんが。そんなのを作ろうかなと思ってな。それよりマオ、寝不足か?」
若干目の下にクマが出来ている気がする。
「寝てないのよ」
「何かあったのか?」
「ふふ……誰かさんが猛烈にルナちゃんを喘がせて、しかもお熱い言葉を何度も囁いていたもの。眠れるはずないでしょう?」
あ、笑ってるけどこれ笑ってない。流石にマオには全部筒抜けか!
「…………私の時もあれくらいしてくれないと許さないんだから」
「お、おう……。ん? もしかしてルナと俺が愛し合ってるのに嫉妬して怒ってるのか?」
「そ、そんなはずないでしょう!? 馬鹿!」
マオはプンスカと怒りながら居間へと戻っていった。ツンデレ可愛いなおい。
手早くお茶漬けを作るとそれらを居間に持っていく。さてと。
「ほれ、食ってていいぞ。俺はムイとミケラ探してくる」
あいつらも話を聞きたいだろうからな。流石に除け者には出来ない。ミケラもこいつらの話はよく聞きたいだろうしな。
「浅野さん、フレイさんソルティアさんに続いて……戦った相手なのにすぐに家に招いちゃうよね……」
「別にいいだろ……」
敵ってわけじゃないんだから。そもそもこれも偶然の産物だ。角をへし折っても操られていれば俺は今度は殺していただろう。
「んじゃ行ってくる」
「あ、私も行くわ。私も探した方が早いでしょう?」
「私も行こう」
コウハとマオが付いて来てくれるのならすぐに分かるだろう。
「ガウガウ」
「リルフェンも来てくれるそうよ」
「それは助かる」
ウチの探知の要3人が付いて来てくれるのなら問題なしだな。すぐに見つかりそうだ。
案の定気配や匂いでムイとミケラを発見すると転移魔法で家へと戻る。
「なぁなぁ刀夜」
「ん?」
「ヒカリちゃんって可愛かったよな」
「…………ムイ、そのおっさんに神速の一閃してやってくれ」
もっと状況に深刻さを持って欲しい。あと性欲はもっとわきまえろ。このおっさんはその手のお店にでも行っておけばいいものを。
「おいおい、ムイまで巻き込むなよ〜」
「じゃあマオ、股間のそれ矢で貫いてやれ」
「任せなさい」
「それはやめてくれ!」
ミケラのツッコミを無視しながら居間へと入るとテーブルの上に大量のお椀が置かれていた。ウチのお椀全部使って何してんだ?
「ご、ご主人様!」
「どうした?」
ルナが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「あ、戻ってきましたね」
ヒカリはコホンと喉の調子を戻すように咳払い。そして空になったお椀を突き出してきた。
「おかわりをお願いします」
「え」
おかわり? というか俺達短時間しか出ていないのにどんだけ食ってんだこいつら。
「もうご飯が残ってないんです!」
「…………緊急事態」
「ど、どど、どうしよ!?」
なんでお前らが慌ててるんだろうか。いや、まぁ割と緊急事態だが。
「はぁ……仕方ねぇからどこかで食いに行くか?」
魔人がいても浅野の時のように当たり前のように接すれば問題ない。というかあのいつもの海鮮丼なら問題ないだろうしな。サイン書けばいいんだろうしな。
「行きます!」
「お前には聞いてねぇよ……」
ヒカリが過剰に反応する。食いしん坊かこいつは。
「…………ヒカリがすまない」
「いや、お前が謝ることじゃなさそうってかお前も苦労してんだな……」
恐らくヒカリが大量に食っただけでクロは適量だろう。空のお椀が全てヒカリ寄りにあることから大体想像が付く。
しかし先程までの警戒心はどこへ? お茶漬け1つで警戒心が変わるって相当食い意地が張ってないと無理だぞ……。
「はぁ……食い終わったら色々と話してもらうぞ」
「もちろんです」




