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特別編マオ視点第5話 語尾にはにゃを付けよう

「本当に大丈夫か!? 普段言わないようなこと言ってるぞ!?」

「むぅ……もっと構って欲しいだけよ」

「そ、そうなのか……?」


 刀夜さんは鈍いのだからはっきり言わないと気付いてくれない。けれどはっきり言っても気付いてもらえない時はどうすればいいのかしら。


「構って欲しいって今以上か。どうすればいいんだ?」

「そこは刀夜さんが考えてもらわないと困るわ」

「お、おう……」


 なんて無茶振りかしらね。すでに特別視してくれている刀夜さんにそれ以上を望むだなんて。

 少し困ったように考えた刀夜さんだったけれど何か思い付いたようだった。


「もしかして可愛いって思われたいとか?」

「…………」


 先程の話も思い出して正解に辿り着いたみたいだった。鈍いのにあまり気付かれたくないところは気付くのよね。流石よ……。

 アピールしてるのには気付かないくせに……。本当にこの人は変わってるわよね。天然ジゴロだもの仕方ないわ。


「言ったろ? ほぼデレデレのツンが可愛いって。マオはそのままで充分可愛いぞ?」

「恥ずかしいこと言わないで……」


 それに刀夜さんは野良猫の方が可愛いって思ってるじゃない。口には出さないけれど……。


「でももっと可愛くなる方法がある」

「本当?」

「あぁ。語尾ににゃを付けてくれ」


 本当にそんな要求されるとは思わなかったわ。刀夜さんも意外とマニアックなところがあるわよね。

 軽く咳払いすると私は羞恥心を捨てる。こういうのは羞恥心を持っていたら駄目だとよく聞くもの。思い切りやった方が恥ずかしくないはず。


「構ってにゃ……?」

「…………」


 どうして何も言ってくれないのかしら。恥ずかしくなってきたのだけれど。


「刀夜さん? 何か反応がないかにゃ〜?」

「マオ可愛い……」


 刀夜さんがうっとりしてる……!? 普段私達が刀夜さんのことを可愛いって思う時あんな顔してるのかしら。


「可愛い? 本当に可愛い?」

「あぁ。あと語尾ににゃを付け忘れてるぞ」

「あ、可愛いかにゃ?」

「最高だ」


 私を抱き締めた刀夜さんは可愛いがるように頭を撫でてくれる。刀夜さんのこういう反応は本当に始めて見るわね。これはこれでいいわね……。


「刀夜さーん。にゃにゃ〜ん♪」

「にゃ〜ん」


 刀夜さんも鳴き真似で返してきたわ!? こ、これが夜のテンションというやつね。明日恥ずかしくて2人とも悶えてそうなのだけれど。

 ここまで可愛がってくれるのだからあんな野良猫なんかよりもよっぽど私の方が可愛いわよね。


「ねぇ刀夜さん、野良猫と私、どっちが可愛いかしら?」

「ん? 野良猫だな」

「…………」


 どうして!? 私そんなに可愛くないのかしら!?


「……どうした?」

「…………なんでもないにゃ」

「あからさまに落ち込んでるんだが……」


 それは仕方ないわ。これだけ頑張ってもあの野良猫には敵わないなんて。もう私にはどうすることも出来ないわ。


「あの猫と比べてるのか?」

「うっ……何よ? 悪いのかしら?」

「そんな開き直らなくても……」


 開き直りたくもなるわよ。せっかく頑張ったのに。恥ずかしいのも我慢したのに。

 私が不機嫌になったからでしょう。刀夜さんは強く私を抱き締めると耳元で囁く。


「あの猫はあくまで猫として可愛いだけだ。お前も可愛いけどそれ以上に好きだぞ。愛してる」

「刀夜さん……」


 もしかして可愛いと好きって全然違うのかしら? それもそうよね。けれど私は刀夜さんに可愛いって思われたいのよ。

 アリシアちゃんもそうだけれど私も刀夜さんのことを独り占めしたい。刀夜さんの一番じゃないと嫌だもの。

 刀夜さんが認める可愛い、美人、大好き、愛してるを全て私に向けて欲しいとさえ思ってる。


「あの猫を殺せば私の方が……」

「物騒だな……」

「だってそれ以外方法がないのだもの」


 私にとってあの野良猫は敵よ。女の敵。だから許さない、許す必要性がないわ。


「愛玩用の可愛いと恋人用の可愛いは別物だと思うけどな……。お前は俺のペットになりたいのか?」

「それは嫌だけれど……刀夜さんがそれがいいなら……」

「それは却下で。俺とお前は恋人同士だ」


 確かに一番になりたいけれど、本当に一番がいいけれど一緒にいられるならペットでも仕方ない。もちろん夜のお誘いはするけれど。

 けれどやっぱり刀夜さんね。好きというのに対しては本当に真っ直ぐ。私にこうして明確な好意を伝えてくれる。


「刀夜さんが可愛いって認めてくれるまでやめないんだから……」

「何をだ?」

「にゃ!」


 鈍い刀夜さんに軽く猫パンチ。目を大きく見開いた刀夜さんは私の頬に手を添える。


「…………喉撫でてみるか」


 刀夜さんはまるで猫にするように私の首元から顎に掛けてを指でさする。ちょっと気持ち良いわね……。


「にゃー」

「何か適当になったな」

「気持ち良いもの……。あ、いえ、気持ち良いにゃ〜」

「キャラぶれっぶれだな」


 確かにそうね。私のキャラじゃないものね。けれどそんなことはもういいのよ。


「いいからもっと撫でて欲しいにゃ」

「はいはい」


 刀夜さんは更に撫でてくれる。このまましばらく撫でてもらおうかしら。リルフェンにもたまにしてるのだし私にしてもらってもいいでしょう。

 刀夜さんにしばらく撫でてもらっていると身も心もほぐされてきて何もかもどうでもよくなりそう……。


「目がトロンとしてるけど。そんなに気持ち良かったか?」

「えぇ、もう何もしたくないわ……」

「駄目人間にするのか俺の手は……」


 本当にそうかもしれないわね。気持ち良すぎてもうあの野良猫のことなんてどうでもいいわ。


「刀夜さん……♡」


 刀夜さんに抱き付くと胸元に顔を埋める。刀夜さんは良い匂いがするし男らしくて本当に素敵よね……。


「今日はよく甘えてくるな。いつもは甘えるとか言いながら甘やかしてくるのに」

「嫌?」

「いや、可愛いと思うぞ」


 そ、そう。これが可愛さなのね。わざとだったらあざといとか言われそうなのだけれど。その辺りの一線が難しいのね。


「それじゃあこんなことしてもいいのかしら?」


 少しからかいたくなった。私は刀夜さんに頬擦りする。ふにふにとした頬が気持ち良いわね。流石刀夜さん、どこも素敵ね。


「別に構わないが……どうせならもう少し抱き付いてきて欲しい」

「え?」

「ほら、ぎゅーって感じで」


 な、何でそんなに急にキュンとするようなこと言うのかしらこの人は。けれど私もそうしていいならそうするまでよ。

 刀夜さんに強く抱き付く。それこそ胸の形が変形するくらい。あ、もしかして刀夜さん……。


「おっぱいを押し付けて欲しかったの?」

「…………なくはない」


 あ、それが全てじゃないのね。ならどうしたのかしら?


「ま、まぁその……いつもより可愛いがやっぱり慣れってのは怖いな。俺もちょっと甘えたくなったというか」

「そ、そうなの?」

「…………恥ずかしいからあんまり顔見ないでくれ」


 刀夜さんは頬を真っ赤にして視線を逸らす。可愛い……。

 こんな顔見せられたら本当にいじわるしたくなるわよね。何しようかしら?


「刀夜さん」

「ん?」

「語尾ににゃって付けてもらえる?」

「俺がか?」


 私にもさせたんだからいいわよね。それに刀夜さんの猫真似も見たいもの。


「恥ずかしいな……にゃ」

「…………」


 視線を逸らしながら少し不器用な様子が可愛い。可愛過ぎるわ。何この生き物……。


「マオ……何か言って欲しいにゃ」

「刀夜さん可愛いにゃ!」

「え、うお!?」


 私も語尾ににゃを付けて刀夜さんを胸に抱き寄せた。もう可愛い可愛い可愛い!


「ま、マオさーん?」

「にゃ〜ん!」

「…………にゃん」


 猫真似で返事を返すと猫真似で返事を返された。もう何を言ってるのか分からないけれど刀夜さんが可愛いから問題ないわ。


「ふふ、触って欲しいにゃ〜」

「え、そ、それは……」


 私が誘惑するように胸を持ち上げると刀夜さんは恥ずかしそうに耳まで真っ赤にしながらも視線は胸元に釘付け。

 いつまでも変わらない初心な反応で私の心は更に満たされる。とりあえず可愛さを学ぶなら刀夜さんを見習うべきよね。


「ほら、刀夜さん。ここも撫でて欲しいにゃ♡」


 刀夜さんの腕を掴んで無理やり私の胸で挟む。刀夜さんの少し冷たい手が熱くなった身体に丁度良い。


「ちょ、ま、マオ……」

「刀夜さ〜ん、にゃ〜ん♡」

「…………仕方ない。……にゃん」


 刀夜さんが胸に手を這わせてくれる。気持ち良過ぎてこれだけで声が漏れそうになってしまう。自分の指を咥えて我慢する。


「胸も敏感になってきたな」

「刀夜さんが開発したんでしょ……んぅ……にゃ、にゃお〜ん」

「まだ続けるのな……。仕方ないから今日は猫プレイだな」

「そうね」


 刀夜さんにもしてもらうけれどね。可愛いもの。私も高揚するわ。


「刀夜さん大好きにゃ〜ん」

「…………俺も好きだ。……にゃん」


 不器用に語尾ににゃを付ける刀夜さんが可愛くて仕方がないわね。もう駄目。この人に私の匂いが消えないようにマーキングしたい。

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