表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/190

第18話 朝は誰しも無防備なものである

 翌日の朝、全くもって一睡も出来なかった俺だが見事に耐え抜いた。流石俺。伊達にハーレム作ってない。

 ルナは程なくして眠ってくれたのだがその後が問題だった。

 寝相で甘えてくるのだ。抱き付いてきたり胸を押し付けてきたり。しまいには服がはだけて胸の谷間見せて誘惑してくるしで本当に色々と限界だった。

 とにもかくにも寝たのが遅かったこともあり俺の部屋で熟睡しているルナは置いてきてキッチンで朝食を作る。


「おはよう刀夜くん……早いね……」

「おはようさん。早いっていうか寝てないだけだけどな」


 寝惚け眼を擦りながらアリシアがキッチンへやってくる。朝食の準備をしに来たのだろう。


「今日は俺が用意しておくから居間で待っててくれ」

「ありがとう刀夜くん……」


 無防備な笑顔を見せたアリシアは居間へと向かって行った。あれはまだ寝ぼけてるな。普段なら手伝うと言うしな。

 それから続々と起きてきて残すはルナのみ。まぁルナはしばらく起きないだろう。普段から生活習慣が良かったはずだ。深夜に寝たから起きるのは昼頃だな。


「ほら、出来だぞ」

「え、えぇ。ルナちゃんは?」

「俺の部屋で爆睡中」


 みんなルナがいないことに戸惑っているようだ。まぁあいつはエッチの後も普通に朝起きてきたりするしな。


「…………刀夜、眠れないくらいしたの?」

「何もしてねぇよ。悩み事があって眠れなかったらしい。解決して添い寝してたら勝手に寝たぞ」

「そうなんだ。ルナさんが悩む事って言ったら……刀夜くん絡み?」


 そんな認識になるんだな。まぁ今回は俺が原因でもありルナの師匠が原因でもある。なんとも言えないところだ。


「何でも俺のせいにしないで欲しいんだが?」

「違うの?」

「…………当たらずとも遠からず」


 そういう表現が一番適切だろう。ひとまずそれだけルナが俺のことを考えているということが再認識出来た。

 あいつの悩みくらい可愛いものだ。とりあえず満足して今寝てるならそれもいいんだろう。


「話は変わるがルナも起きてきてからなんだがちょっと時間もらえるか?」

「何かするのか?」

「ガウ?」


 不思議そうにする一同に昨日考えていたことを話す。


「武器を作るにしてもちょっと俺1人じゃ判断出来ない部分があってな。その意見を聞きたい」

「と、刀夜くん!?」

「…………頭平気?」


 いきなり何失礼なことを言われているんだが。俺何か変なこと言ったか?


「刀夜さんが私達をこうも真っ直ぐに頼ってくれるなんて……」

「今日はもうこれだけで充分だ……生きていて良かった……」

「…………嬉し過ぎてコウハが昇天しそう」

「仕方ないと思うよ」


 そんなに言われることかよ。というか俺だって普段からこいつらに頼りっぱなしだろうに。何でそんな反応なんだよ。


「はぁ……」


 つい溜息を吐いてしまう。流石に俺もちょっと疲れてきた。昨日から色々と耐え過ぎていてもう駄目っぽいな。

 肉体的には平気だがやはり昨日のルナの色香は精神的に効いたらしい。気疲れしてしまっているのだろう。


「かなり疲れているわね。大丈夫?」


 マオが心配そうに顔を覗き込んでくる。冗談も程々に本気で心配され始めたか。


「頼ってくれるのは嬉しいけれど無茶を重ねないでよ?」

「あぁ……」


 確かに自分の相棒である武器を作ろうというのだ。万全の状態で作った方が性能も高いに決まっている。

 話をする前にちょっと仮眠を取らせてもらうか……。ルナの分の朝食はもう用意してあるしな。


「悪い。飯食い終わったらちょっと横になるな」

「えぇ。体調崩していたら大変だし、気を付けないよ?」

「…………お前めちゃくちゃ過保護だな?」

「そ、そんなわけないでしょう!?」


 そんなに動揺されても困る。というか普通に過保護だろ。どう見ても。


「そんなこと言うならお仕置きに膝枕するわよ!?」

「それお仕置きになってなくないか?」


 どう考えてもご褒美の一種なんだが。怒られて提案されるような罰じゃないのはまず間違いないだろう。


「そんなことを言ったら刀夜さんがよくアスールちゃんの頬を引っ張るのもお仕置きになってないじゃない」

「あれはお仕置きだろ」


 頬を引っ張ってお仕置きじゃないとかあり得ないだろ。こちらの認識ちょっとずれてないか?


「と、とりあえずちゃんと寝ること。膝枕してあげるんだからいいでしょう?」

「お、おう……」


 やはりお仕置きになっていないがマオが強引に進めてしまって断り切れなかった。


「…………私もしたかった」

「私も……。でももう決まっちゃったね」


 どうやら他にも俺を膝枕したい奴らがいたらしい。やっぱりお仕置きになってなくないか?

 朝食を済ませるとソファでマオに膝枕される。何というか、恥ずかしいんだが。

 なるほど。これがお仕置きの内容ということか。確かにこれはキツイ。でもどちらかというと嬉しい方が優ってるんだが?


「どうかしら?」

「気持ち良いな」

「本当?」


 何やら嬉しそうな様子のマオ。これ絶対お仕置きじゃない。普通に俺の為にやってくれてる。


「刀夜さんは何か悩み事があって眠れていないの?」

「いや。ルナの色香がキツ過ぎただけだ」

「そ、そう。確かにあの子天然で色々やりそうだものね」


 マオもよく分かっているらしい。流石に付き合いが長くなってきたな。行動は読めるようになってきているようだ。


「そんな子が悩み事だなんてね」

「あいつも色々考えてるだろうしな。あいつ、普通に俺達より年上なんだぞ?」

「1000年以上生きてるものね。私達の比じゃないくらいに何か抱えてそうね」


 俺が聞いたのもその一端だったんだろうな。ルナのことを知るのには俺の生涯を掛けても足りなそうだ。


「それで昨日は何だったの?」

「…………それは本人に聞いてくれ」

「ふふ……今ここで答えていたらお仕置きでルナちゃんにビンタしてもらっていたところよ」


 危ねぇ! でも確かにあまり知られたくもないことだろうしな。俺は特別話してくれたがそれを俺の口から話すことは出来ない。当たり前の話だ。


「ルナにビンタされたら立ち直れなさそうだな……」

「その時は慰めてあげるわよ?」

「原因お前じゃねぇか」


 お前が余計なこと言わなかったら起こらない問題だろうが。そういうデリケートなことは聞くのはやめて欲しい。


「その場合はアリシアに泣きつくからいい」

「酷いわね。私だって刀夜さんを慰められるのよ?」

「何で俺が原因作った奴に慰められないといけないんだ……?」


 お前は慰める前に謝罪するべきじゃないのか? まぁこいつのこれはからかってるだけなんだろうけど。


「まぁいいや。別にルナに嫌われるようなことをした覚えはないしな」

「今私を馬鹿にしたわよね? ルナちゃんは駄目で私に嫌われるのはいいのかしら?」

「…………嫌いになったのか?」


 本当に……? あのやりとりだけで?


「そ、そんな泣きそうな表情を浮かべないでよ。キュンとしちゃうじゃない」

「な、泣きそうになんてなってない」

「ちょっと目元潤んでるじゃない。私が刀夜さんを嫌うわけないでしょう?」


 そういう心臓に悪い冗談はやめて欲しい。

 俺は顔を見られたくなくて上体を起こして反転、マオの胸に顔を埋める。


「もう……本当に可愛いわねあなた♡」

「…………」


 ちらりと見上げるとうっとりとした表情で俺の頭を撫でていた。なんという包容力。こいつにも母性があるとは思わなかった。

 マオによって負わされた心の傷をマオに慰めてもらうという不思議な構図が出来ていた頃にようやくルナが目を覚ました。


「あぁ、おはよ…………え?」

「おはようございます……」


 ルナの格好を見て衝撃を受けた。え、な、何で下着だけ? 何がどうなった?


「…………刀夜さん、あなた昨日はしてないのよね?」

「してない! え、な、何あれ!?」


 何が起こったんだ!? ルナがまさか露出狂に目覚めた!?


「る、ルナ殿!? 何という格好をしているんだ!?」

「ふぇ……?」


 ルナはボーッとした様子で自分の格好を見る。そのまま何かに気付いて目をパチクリ。

 そして物凄く冷静な様子で魔力装備生成魔法でバスタオルを作るとそれを巻いて隠した。


「…………」


 しかしどんどんと顔が赤くなっている。耳まで真っ赤になっていった。


「る、ルナ殿?」

「ふ、ふ、ふ……」

「ふ?」

「服を着るのを忘れました!」


 えー……。ルナは逃げるように居間を出ていった。何あれ。


「…………たまに天然というか普通に天然よね」

「あれは天然ってより寝惚けてただけだろ……」


 誰しも朝は無防備ということだろう。あのルナでさえこんな様子だ。


「…………今日は青い下着だったな」


 鮮明に思い出せるルナの下着姿。見慣れているはずなのにちょっとテンション上がってしまう。


「刀夜さん?」

「は、はい?」

「ルナちゃんのあれに反応しちゃうのは仕方ないと思うけれど今は私にもっと甘えて欲しいわ」


 お? 嫉妬か? 明らかに不機嫌そうなマオを見るとなにやらほんわかしてくる。


「どうして生暖かい目で見るのよ。私の今日の下着は黒色なんだからね!?」

「それは聞いてない。でもありがとう」


 意図せずマオの下着の色を聞けた。黒……黒……。駄目だ、思い出せねぇ!


「その下着でエロいことしたことあったっけ?」

「ないわよ。今日刀夜さんにその……してもらう為に買ったのだから」

「お、おう……」


 わざわざ新品のものを用意してくれていたらしい。流石はマオ、男の心を掴むのが上手い。


「それに今日はもう早く寝ちゃいなさい。ほら、早く」

「分かった分かった」


 少し身体に気だるさも感じるし、本格的に風邪を引いてるのかもしれない。もう大人しく休ませてもらおう。

 今度こそマオに頭を撫でてもらいながら俺はゆっくりと眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ