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シャイニングフール ~SF異世界希望したのにこれじゃない感なのは一体……?~  作者: 葉巻シガー
とりあえずこの世界に慣れろ! 編
9/15

異世界人の目標が微妙なのは一体……? #3

「ねぇ、私、別のパーティーからお誘いあるからそっちに行きたいんですけど」


 いつものクエスト終了後の食事会。定着しつつあるこの時間だが、俺たちの戦闘ぶりを体験したメアリスがパーティーから抜けたいと言い出した。


「おいおい、たった一回で根を上げたのか? 俺なんか、この世界に来て3日目、3日連続でこれだけど我慢してるんだぞ」


 まあ、メアリスが抜けたがるのもわからなくもない。

 結果としてイエティはすべて討伐できたわけだが、その内容があれではね。


「そうですよ、私たちはまだ草原でのクエストしか受けてないですけど、洞窟系のクエストになったときシーフがいないのは痛手です」


 いや、二コラ。そういう問題じゃないんだけどね?


「私は別に構わないわよ。洞窟の中って、湿気があってあまり好きじゃないんだけど」


 まあ、こんな二人を抱えていたら、嫌になるのもわかる。


「ほら、やっぱり、相性とかあるし、いろいろ組み合わせを試してみたいなって。それに私、もっとちゃんと王道なファンタジーの世界を体験したいの。初心者パーティーっぽいからそんな感じで行けるかなって思ってたんだけど……そういう事だから、じゃあね!」


 と、食事に手を付けずに足早に去って行ってしまった。

 そこまで嫌がるか? いや当然か。


「なあ、改めて聞くけど、お前らのそのスタイル、何とかならないのか?」


「あ、私が年齢の割りにあまり成長してないことに触れましたね!? い、いいんです別に、このほうが小さい見た目に意外な魔術! っていうウケがあるんですから!」


「あら、あまり自慢することじゃないと思ってたけど……私、普通の人よりは大きいと思うわよ……?」


「そっちじゃねぇよ! 戦い方だよ!」


 二コラがこの小柄なほうがいろいろ都合がいいんですと弁明し、ロザリオが着痩せするほうなんだと説明する。

 そうじゃない。


「いや、二コラは魔法使えるんだから魔法で援護してくれよ! ロザリオも、え、なんで金とるの!? 正直、自分の仕事すればそれなりに引っ張りだこじゃない? 君!」


 正直、ロザリオの支援魔法は大したものだと思う。

 ほかのプリ―ストがどうなのかという基準がないから解らないが、筋力速度防御と三拍子そろった上昇効果に、きちんと回復も使えるのだ。

 前衛もこなしてくれるというのは、場合によってはかなりの長所でもある。

 しかし、メアリスに聞いたところ、やっぱり支援魔法で金をとるのは異常らしい。


「だから援護してるじゃないですか。私の大魔術でイエティの戦意は完全にそがれてましたよ?」


「だってぇ、そういうので困惑したりする表情って、すごくいいじゃない」


 どうしよう。俺のパーティーメンバーが頭おかしい。

 これは俺も、本格的に別の仲間を探したほうがいいかもしれない。

 と、その時である。


『緊急、緊急。ギガントベヒモス接近。ギルド員は至急ギルド前広場に召集せよ。繰り返す……』


 街中へと張り巡らされた拡声器から、魔法でつながったアナウンスが発せられる。


「ん? ギガントベヒモスってなんだ?」


 やたら慌ただしくなりつつあるギルド内の動きを眺めながら、二コラとロザリオに質問する。


「ああ、この混沌とした民衆の表情、いいわぁ……」


「ああ、ギガントベヒモスですね。とてつもなくでかいベヒモスです」


 いや、わからん。


「何年かに一回、どこからともなく現れる、一つの都市に匹敵する大きさのベヒモスです」


「おい、それってやばいんじゃないのか!? そんなもん、突っ込まれただけで一貫の終わりじゃないか! 早く俺たちも集まったほうがいいんじゃ……」


「まあ、何とかなるんじゃないですか? この街には英雄ロクさんがいますし、何とか追っ払ってくれるでしょう」


 だから何者なんだよロクさん! というか、なんとかできるものなのか?

 たしかロクさんってのは魔法剣士じゃなかったっけ。火力に特化した魔法職とかならわかるが、どう対抗するんだよ!


「何年か前にも襲撃があったんですけど、その時も撃退してたし、私たちの出番はないかと」


「でも、とりあえず話だけは聞き行こうぜ。大丈夫ってんなら、見学したっていいわけだし」


 そんなわけで、俺たちはギルドの外に出た。

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