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シャイニングフール ~SF異世界希望したのにこれじゃない感なのは一体……?~  作者: 葉巻シガー
とりあえずこの世界に慣れろ! 編
2/15

要望といろいろ違いすぎるのは一体……?

 してやられた。

 目の前を闊歩するのは、とても近代的とは言えないような、マントを羽織ってる人間や馬車。露店が街並みを彩り、商人が声を上げている。

 そんな中には、とても人間には見えない、さりとて二足歩行をしている動物の姿もあった。

 どう考えても近未来SFじゃねぇ。


「あのアマ。こんど会ったら絞めてやる」


 恨みを口にしつつ、これからどうしたものかと考える。

 とりあえず、異世界に来たのは間違いない。となると、世界設定から考えると冒険者ギルド的な場所があるのだろうか。

 衣食住のこともあるし、まずはそこを探そう。

 そう思って、近場の商人に情報を求めてみる。


「あの、すいません。ギルド的な、仕事を斡旋してくれる場所とかってご存じないですか?」


 果物を売っている狐みたいな種族の亜人に声をかけると

「なんだい……!?」

 と振り返ると同時に、驚愕の表情を浮かべた。


「あ、あんた、どっかの兵士かい? 見たことない格好だけど……」


 恰好? そういえば学生服のままで転生させられたのかな。だとしたら、世界観に見合わない服装だし驚くのも仕方ないか。


「いや、そういうわけじゃないけど……。ちょっと遠くから来たばかりで、あんまりこの街に詳しくないもんで」


 なおも怪訝そうな顔をする商人。


「そういう事なら、このまま北に向かえばでかい建物……ギルドがあるから行くといいよ」


 と教えてくれた。

 さっそく向かってみると、なんか周りからの視線が痛い。なんだろう。そんなにこの服装目立つのかな。

 そう思って自分の体を確認すると


「なんじゃこりゃあああああああ!!」


 すごいメタリックだった。

 まず視線に入る両腕両手は白と青とピンクを基調としたメタリックな光り輝く構造。たぶんすごくリアルなガンプラを人間大にしたらこんな感じなのだろうか。

 右腕で左腕をたたくとガンガン音を鳴らしている。

 慌てて近場の焦点の窓ガラスを鏡代わりに全体像を確認してみると、


 全身セーラー服をイメージしたような外見をした、小さなロボットがいた。


 なんか、ノーベルガンダムとメダロットのセーラーマルチを足して二で割った感じの機械体が映し出されている。

 まて、これが俺なのか!?

 これじゃない。

 女性でチートロボットを希望したが、こうじゃない!

 待ってくれ、これじゃ、そのまんまドモン・カッシュがノーベルガンダムに乗ってるような感じじゃないか! そしてこれはガンダムですらない!


「あの野郎……これでどうやって生きて行けというんだ……!」


 頭……というか頭部パーツを両腕パーツで抱えながら悶絶していると、どこからともなく声が響いてきた。


『……-…あー……きこ…る? きーこーえーまーすーかー?』


 この人を小ばかにしたようなしゃべり方。間違いない、アマテラスだ。


「どこにいやがる! 姿を現せ!」


 路上で大声を上げる俺。よく聞いてみれば、声も男のときの感じじゃなく、女性の声をマイクを通したような声になっている。

 そして、周りの目が痛い。そりゃ商人も驚愕の表情を浮かべるわけだ。


『あー、やっとつながった。ごめんごめん。やっちった』


「やっちったじゃねーよ! おま、これどうすんだよ! 何一つ要望が通ってないじゃねーか!」


『いやー、それがさぁ。呪文ミスっちゃって……。何とか今からでも要望通り変えてあげたいんだけど、ちょっと他の神々にペナルティ食らっちゃってさ。しばらく使えないの、神様的パワー? ってやつ』


 絶望しかねぇ。


『まあまあまあ、聞いて聞いて。とりあえず私が授けたその状態に対しては交信が可能だから、アドバイスはできると思うわ』


「じゃあさっそく聞くけど、これ脱げないのか? 正直このままじゃ目立ちすぎてどうしようもないんだけど、何とかならないのか?」


『そんなの簡単よ。何か外すような言葉を言えば元に戻るわ』


 なんだそれ。変身解除とかでいいのか?


「へ、変身、解除」


 やや照れつつ、それっぽいことを呟いてみる。

 すると、アニメで見るような光に包まれて、元の人間だった姿に戻った。やっぱり女になったわけではないのな。


「なあ、それでこれから俺はなにしたらいいんだ?」


『………………』


「おい、無視すんな」


『…………』


 おかしい。さっきまで、脳に直接響いていたような声が全く聞こえなくなった。


「そういえば、変身状態に交信ができるとか言ってたな」


 だから声が聞こえなくなったのか。

 まあこれで、普通の人間らしく出歩けるようになったからいいか。

 とりあえず、冒険者ギルドを目指そう。SF世界ではなかったが、ここも異世界には違いないということを考えると、結構わくわくしてきた。









「すいません。働き口を探してるんですけど」


 ギルドにたどり着くなり、受付らしい場所に並ぶ。

 まさしくファンタジーの冒険者の集会所といった感じで、酒場ブースと受注ブースに分かれている。

 ちらっとどんなクエストがあるのかなとボードを見てみたが、文字が読めない。

 どうすれば読めるかと考え思い付きで「変身」と言ってみたら、またあの美少女型ロボットになれた。その視点を通すと、異世界の文字が翻訳付きで読めるということが解った。

 ……これがチート能力とか言わないよな?

 変身した直後、アマテラスがなんかくどくど言ってたけど気にしない。

 ちなみに、クエストはやはりモンスターの討伐とか採集任務とかだった。

 アマテラスの愚痴を聞いていたくない俺は早々に変身を解除して、受付譲に話しかけたというわけだ。


「お仕事の相談ですね? では、ギルド登録を確認しますので、手を拝借させてください」


「あ、俺こういうところ初めてなんですけど」


 なるほど、やはり何かしら登録しないと仕事にありつけないのか。


「では2番カウンターから、登録の手続きをお願いします」


 支持されたカウンターへ向かうと、いくつか質問された。よかった自分で記載するような奴じゃなくて。

 日本語で書いたらこいつ何者だとか思われそうだし、目の前でいきなり美少女型ロボットに変身されたらこの世界の警察的組織とか呼ばれかねない。

 あるのか知らないけど。


「年齢制限は17歳でクリアしてますね。変わったお名前ですね、違う国から来たんですか?」


 違う世界から来たんです。


「では、能力適性を確認させていただきます。手をこちらにかざしてください」


 言われる通り、水晶玉みたいなのに手をかざすと、ピリピリした感覚がしてどうやら何か読み取っているようだった。


「もういいですよ。……あの、こういっては何ですが、あまり能力のほうが優れないようなのですが……」


 スキャンされたであろう何かの資料に目を通したお姉さんが、眉をひそめて進言してくる。


「あ、たぶん大丈夫です。アテはあるので」


 そりゃ、今まで普通の男子高校生だった俺に特殊な能力などあるわけがない。

 でも特典でもらった能力があるから、たぶん何とかなるだろう。最初からやばいクエストに行くつもりもないし。


「そうですか……。では、一応パーティーを組むのだけはオススメしておきますね?」


「はい、ありがとうございます」


 そうしてようやく登録が完了した。

 なるほど、ギルド員か。ほんとにワクワクしてきたぞ。

 部活もバイトもしたことないけれど、この世界でなら俺、アクティブになれる気がする。


「それと、職業はどういたしますか? パーティーを募集するなら、肩書がないと大変だと思いますが……」


 え、どうしよう。

 俺、これに「ロボット」とか書けばいいの?

 この中世的なファンタジー世界で?

 それってどうなの。それだけで頭おかしい奴と思われそうなのに、変身したらロボメカ娘とか、生粋の変態じゃないか。


「えっと、普通どういうのにしてるんですか?」


「そうですね……。みなさん、オーソドックスなものなら剣士や魔法使い、盾持ちとかプリ―ストとか、自分の特徴を掲載していますね。変わった人なら踊り子とか無敵とか書く人もいらっしゃいますが……」


 なるほど、その職業を選んだらその職業に縛られるわけではなく、得意なことでそれに近いものを書くのか。


「じゃあ戦士でいいかな。あの姿、武器とかは見当たらなかったし、どちらかというとグラップラー向きの能力だろうし……」


「はあ。では、そのように登録しますね」


 

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