第8話:さようなら颯太。颯太よ永遠なれ…
うぅ〜颯太が、颯太がぁ〜
――飛び込み(颯太の場合)
前からうすうす気づいてたけど…兄バケモンか?
え、なぜ綾じゃないんだって?いや、だってさオレ一応主人公だし…ねぇ?
というわけで悪いけどオレ、幽魔がお送りします。…早速ですが気になることが一つ。
「…綾、何してんの?」
「わっ!何もっ」
さっきから気になってたんだけど…
綾がメモ帳片手に兄、颯太の方を見、何かを書き込み、うんうんそれで?と呟き、また兄、颯太の方へ視線を戻し(この文の始めに戻る)…を何度も繰り返してんだけどホント何してんだろ。気になる…。
あ、綾がまたなんか始めた。兄を見、うーんと唸り、メモ帳のページを一枚破り捨て…
「さすがにあんな人間離れした技は無理よ。これは颯太の行動を観察した方が良さそうね…」
…はい、謎は深まるばかりです。かなり気になるが、ここで前回のあらすじをちょっと。
兄 :「ズギューンドガーンブスッ!!!」
幽魔:「あにはははっ!」
以上です。
…ここだけ見たら意味わかんないなぁ。まぁこんなもんで十分だと思う(わかるよな?)。
いやぁホント兄やってくれたよ。ツッコミどころ満載だったけど、オレ目線じゃなかったんだよなぁ……とっと、いろいろぶっちゃけすぎた。
では本題に戻る。
「じゃ、あにさんはうけたけどあんまり参考にならなかったから、次、颯太GO!」
「俺!?参考がどうのって何なの綾ちゃ…」
「気にすんな。とっとと行きなさい」
「いや、俺こういうのマジ無理だから…勘弁っ!」
『……………』(一同)
「わー!みんな『こいつ空気読めよ…』みたいな目はやめてくれー!!」
ちょっといじめてやろ。
「お、わかってんじゃん颯太。じゃGO!」
「どうでもいいから早く行きなさい」
「颯太ーこのへんずるずる引きずると僕が出てくるとこ無くなって、また僕忘れられるんだよー。だからGO」
「颯ちん。ここは男として…な?」
「私も同意です…」
みんな同じこと考えてたっぽい。…でも尋何言ってんだ?目が、目が死んでるぞ?
「うぅーわかったよぅっ」
泣くな、キモイ。
ゆっくりと梯子を登る颯太。
「下を見ちゃダメだ、下を見ちゃダメだ、下を見ちゃダメだぁぁぁー」
なんか言ってる。哀れな。
「颯太ー面白くなかったら殺すわよー!」
女の子が殺すとか死ねとか言うもんじゃありません。<お前が言うな>
「なんで面白くなきゃ…のわっ!」
―ゴスッ!!―
「ぼべろっ!!!」
…うっかり下を見てしまったらしい颯太は、早く視線を上に戻そうとして梯子に熱々キッスをかました。
…おーい。生きてるかー。
「颯太ぁー。おーけーおーけーその調子よ!」
何が?
「颯太ー早く登ろ?とっとと」
尋。どしたのホント。
―ドドドドドッ―
颯太は、怖いやら痛いやら尋の口調が怖いやらでびびり、今までの何倍ものスピードで梯子を登りきり…
「のわっ!あ〜れ〜!!!」
そのまま落ちた。
<ここで一旦颯太目線で>
うわぁ〜時間がすごくゆっくり感じるよー。あーあ、楽しかったなぁ俺の人生。ユウや綾ちゃんに『お前バカ?』って言われたり、先生に『こんな問題も解けないのか、お前はバカか』って言われたり、母さんに『なんであんたはこんなにバカなんだろうねぇ』って言われたり…
あぁホントに楽しい人生だった(注、過度の恐怖により判断力が衰えています)。
<再び幽魔にお返しします>
―だっぼーん!!!―
兄よりやや控えめな音を立て、颯太は水面にだっぼーんした。
…落ちてくとき微笑んでた気がしたんだけど気のせいか?
―ぷかぁ〜―
『あ、浮かんできた』(一同)
「ウニ、刺さってないわね…」
刺さってなきゃならんのか。
「ダメだなぁ颯ちん。落ちたら即座に全身にウニを刺さなきゃ」
あんた自分でやってたんすか!?どうりでありえない刺さり方だと思った…
いや、そんなことより…
「颯太くん動きませんね…」
嘘だろ?まさか…
「颯太…バカだったけどいいやつだったわ…さようなら」
「うぅっ颯ちん…」
「………(泣いてる)」
「颯太…時間とりすぎだよぅ…」
オレたちは颯太のことを忘れない。そういつまでも…。
「よし、一通り感動のシーン楽しんだから兄、あれ取ってきてくれ」
「OK」
こんなオチです。
すんませんね。死にませんよ、颯太は。
まぁ…コメディ仕様って便利ですよね。