第21話:入れ替わりin夏祭り[その3]
うーん……とりあえず読めー。四の五のいわずに読めー。
『えぇぇぇーー!!!』
……何?なんでオレの目の前にオレが!?……じゃあオレはオレじゃないということか!?いや、でもオレはオレだ。実際さっきまでのオレの記憶が残ってる……え!?じゃあこのオレは何者!?…実はオレは偽者でした、みたいな!?てことはこの目の前のオレが本物か?…いや、でもオレはオレだよな……オレはオレであいつもオレで―――
「ぐぁぁぁー意味がわからん!」
「ねぇ…ちょっと聞いてもいい?」
「なんだ、オレ」
「オレ…ってことはあんた幽魔よね?」
「あぁ…たぶん。…おまえ誰だ?オレの姿をした者よ。…あ、わかった、あれだろ。ドッペルゲンガーってやつか?」
「…バカじゃないの?私よ、綾」
「そうか…じゃあ、おまえは綾だった、けどオレになったと。…そういうことか?」
「そういうことだと思うわ」
………………
「…あのさ、ひょっとして今オレっておまえ…いや、綾になっちゃった…とか?」
「見た感じ私に見えるけど…」
………………
「………なぁ。ちょっといいか?」
「…ん?」
「広場にいるみんなー!今みんなの体に異変はあるかー?」
『はい。大有りでーす』
………うん、今確信した。薄々気づいてたけど再確認したぜ。
では皆さんもご一緒に。さん、はい――
『えぇぇぇぇぇぇーー!!!』
『うんうん、みんないい反応だねー。ぐっどぐっど』
む、出たな自称神め。
『自称じゃないよ。ホントホントー』
「オレの心を読むな。……はぁ、なんでオレっていつもろくな目にあわないのだろう?神様ーなぜですか?」
『じゃないとつまんないからだよー』
てめぇじゃねぇよ。
『それじゃーゲームのルールを説明しますー』
もうどうにでもなりやがれ。
『みんな誰かと入れ替わっちゃったと思うけど、その体のままで金魚すくいをやってもらいますー』
なぜに!?
『一応祭りだしさー』
あ、そうですか。
「おいっそれならユウが得意じゃんっもらったなこりゃ!」
楓の体をした…たぶん颯太だな。じゃあ楓は…。
「うぅ…」
いた。見た目は颯太、中身は楓。……そりゃ泣きたくなるわ。…でも悪い、はっきり言ってキモイわ。
『ただの金魚すくいなんかじゃないよー。…それっ!』
その声が聞こえたのとほぼ同時に世界がぐるうりと回った。
「うわっ」
………えーっと、何事?
オレたちってこんな馬鹿でかい湖の辺にいましたっけ?…え、意味がわからない?…簡単にいうとだな――
『ここどこ!?』
うん、その通り。みんな息が合ってること。
「おい。なんだここは」
『湖』
「いや、見ればわかる。もっと詳しく言えや」
『また,みんなが良い反応をしてくれることを願うよー』
…ねぇ、なに言う気?
『今みんあがいるのはー。中生代のここ、夏祭り会場だよー』
……つまり、タイムスリップ!?
『あれ?どうしたのさ。…………あ、わかった。さんはいっ』
『えぇぇぇぇぇぇーー!!!』
しまった。ついつられて…。
<ちょっと、やり過ぎだってHIR――>
『引っ込め』
なんだ今の?
『で、みんなには、この広大な湖に住む主をすくってもらいますー』
ノーリアクションかよ…って主!?
「え、主ってなんなのよ?」
綾さーん。男の声で「なのよ」とか言わないで欲しいなぁ…。
『秘密ですー。見てのお楽しみってことでー』
怖ぇえな…なに、主って?
『そこに特大ポイ(金魚すくいの金魚すくうやつ)があるからみんなで協力して主をすくってくださいー。すくえたら元に戻してあげようー。でも、出来なかったら…ふふふー…』
出来なかったら何!?
『では、レディー……ゴー!!』
…はぁ。どうしよっかなぁ。
「どうする幽魔?とりあえずポイ持ってきなさい。それと私の体なんだから大事に扱いなさいよ。変なことしたら殺すわよ」
…しねぇよ。オレが颯太みたいなことするかよ。
「キャー!!!何してるんですか!!!」
「何だ!?」
「最低です颯太君…」
えーと、状況説明。なんとなくわかっちゃったやつはわかっちゃったかも知らんが、言ってるそばからあの変態がな、………その…楓(今は颯太の)の……あれだ…む、胸をだな…うん、まぁ…な?察してくれたよな。…もういいだろ?
「小ぶりの胸もナイス――」
―バチン!―
綾が颯太(外見は楓)にビンタした。
「なにやってんのよ颯太。そこまで変態だったとは思わなかったわ!」
「あ…綾さん…。私の体なんでほどほどに…」
「あ、そうだったわね。ごめんね楓ちゃん。じゃぁ言葉で殴りましょう」
言葉で…?なんだそりゃ。
「みなさーん。こいつ部屋のベッドの下に○○○っていうえっちな本隠してますよー!!」
「なぜそれを!?」
「しかも小4のとき×××を漏らし――」
「わぁーやめてーっ!!!」
なるほどね、見苦しいから周りがどうなってるかでも見てるか。
…うーん、みんなまだ動揺してるな。ま、そりゃそうか。…あれ?そういえば尋と兄と大地さんと忍者野郎は?
…………いない…な。どこ行きやがったんだあいつら。
うーん、股間に妙な喪失感を覚えるなぁ。それになんか体が重い…綾、ふとってんな。………それにしても…女か…。…よく見ると地味に胸はあるんだな……うわっ…何考えてんだオレ!これじゃあそこの変態と同じだろ!
―ぶんぶんっ―(頭振ってる)
うぅー…平常心、平常心。
…あ、ポイ持ってこなきゃ。えーっと…どこだ?…………あ、あれか!?
「でかっ!?」
軽く5メートルはあるぞこれ!?
「むぅー…」
ぷはぁ…綾の体じゃ無理だ。
「おーい綾ー!来てくれ!!」
○○がどうしたとか××がどうのとか言ってた綾がこっちを向く。
「どったのー?」
なんだそりゃ。
「オレじゃ無理だ。お前今オレだろ、お前持ってけ」
「えぇー…」
明らかにいやそうな顔で向かってくるオレ。ホント変な感じ。
「あんた私が幽魔だって言ったわよね?」
「あぁ。だってそうだろ」
「じゃぁ、私は幽魔のまねして喋るからあんたはあんたのイメージする私を演じなさい」
はい?
「おいっ!?なんでそうなる。いや、確かに女言葉で喋るオレなんて目を逸らしたくなるような、逸らしたくないような光景だが…」
「じゃぁ、オレ、ポイ持ってくぞ」
もう、実行するんですか…。
「あ、オレも手伝――」
―じろー…―
違う、「じろー…」っていう音がしたわけじゃなくて…綾がそんな音が聞こえてきそうな目でこっちを見ているのだ………オレにもやれと?
「わ…私も手伝ってあげるわっ!べ、べつにあんたのことなんかどうでもいいんだからっ!!」
や…やりきったぜ。
…あれ?綾の顔が真っ青になってる……あ、だんだん赤くなってきた。どうした?
「わ、私のことそんな風に見てたの!?ち、違うわよ。あんたなんか別に――」
「え?そうか。ちょー似てたと思ったんだけどな。実際今のセリフだって――」
「ち、違うって…………うぅぅぅ」
え、ちょ…なんで泣く?オレなんか悪いこといった?
あ、楓(外見颯太)。どしたの急に。え、なんでそんな怒ってんの?
「ちょっとは綾さんの気持ちも考えてあげてくださいっ!…………いこ、綾さん」
「うぅ…ありがと…」
颯太が泣いてるオレの肩をぽんぽんしている……どんな光景だよ。……にしても…
「なぁ颯太。オレなんかした?」
「さすがにオレもユウが悪いと思う」
……みんなー。オレがなにをしたと言うのでしょう?
うん、とりあえずゆうくん死ねば?って感じ?
というわけで、「ゆうくんへの死ね死ねメッセージ」随時募集中ー。
YUMA:やめい。あいつは鈍感なんだ。許してやってk――
君が言うな。
では、どしどしメッセージをお寄せくださいー。
――――――――――
1/6 (火)
えー…本物の作者です。ちょっと続きに行き詰ってしまい、更新が遅れてしまっています。
どうにか次話執筆ちゅうですが、いつ出来るもんだか…みたいな状況でして。
頑張って一月中旬には更新したいと思っていますが……。
あと、業務連絡です。
私、新作を始めましたので、よかったらそちらもお願いします。
タイトルは『可奈と愉快な仲間たち!!』です。
ほのぼの系ホームコメディです。『ぶっ飛び』とはまた違った感じでお楽しみ頂けるかと。
こっちは順調に進んでおりますので…。
それでは、頑張りますのでよければ新作でも、のほほ〜んと見ながらお待ちください。