第18話:『ラスボス登場♪』肝試し大会[その7]
一日考えた結果こうなりました。
では、どうぞっ。
―ガサッ―
「今度は何だ?」
どうせまた変態コスプレ野郎だr――
「ドギャース!!!!!」
『キャー!!!』(女性陣)
今のがさっきからの変態コスプレ野郎(あ、兄の命令でやってんだっけ、すまん)だったら、また、怖がってる綾は可愛いんだけどなぁ…とかって、ほのぼのしていたことだろう。……けど…うん、ほのぼのなんてしてらんないや、こりゃ。
八岐大蛇というのをご存知だろうか。
8つの頭と8本の尾を持ち、目はホオズキのように真っ赤で、背中には苔や木が生え、腹は血でただれ、8つの谷、8つの峰にまたがるほど巨大とされている、日本神話に登場する伝説の生物だ。
ええと、神話によるとだな、
かなりはしょって説明するぞ――
まぁ、ヤマタノオロチっていうバケモンがいてだな、そいつが毎年村の娘を食ってたんだとよ。それで、なんだかんだで国を追放されたスサノオってやつが、最後に残った末娘のクシナダヒメを助けるためにオロチ退治にいったんだと。
それで、諸々あってオロチをぶっ倒して尻尾をぶった切ったら草薙剣っつう太刀が出てきたと。
――そんなかんじだ。よくわかんなかったやつは自分で調べろ。
え、なんでそんな詳しいのかって?…こういうの好きだったんだよ、悪いか。
でだ、なんで急にこんな話をしだしたかというと…
――いるんだよ。八岐大蛇が、目の前に。
「キシャー!!!」
「お、おい。ありかよこんなの…」
「ゆうくん…」
「なんだよ。今話しかけん――」
「じゃね」
「は?」
「行くぜみんな。あ、尋様しっかり捕まって下さい」
―シュンッ―
「………」
逃げたー!?
「お、おい。オレ一人でこいつ倒せっていうのかよ…」
「ユ、ユウ?俺もいるからっ…」
あ、颯太いたの?
「変態でもいないよりマシ…か。うおっ!?」
「おい、そりゃないだろ…。のわっ!?」
「なぁ颯太?オレ思ったんだけど…。っと…」
「何をっ?…危ねっ!」
「普通こういう戦闘シーンってさ、主人公たちが話してるときに敵攻撃してこないもんだよな…。うおっと」
「………たしかに。ぐほぁっ!!」
……………。
『やめろやオロチこらぁ!!!』
お約束だろそういうの。空気読めやバケモンが!
おわっ!やめい。こっちは二人、てめーは頭八つに尻尾八つで合計十六個だろ!ハンデとして頭七つ、尻尾七つ引っ込めろ!
―ボシュッ―
『引っ込んだ!?』
ていうか消えた?なにこいつ?空気くらい読みますよみたいな?つーかオレの心を読みましたみたいな?
それより、おい、これじゃただの蛇じゃん。
「…なんかわかんねぇけどこれで対等だ。行くぜ颯太!」
「お、おうっ」
<それでは幽魔たちの作戦を説明しまーす。まず颯太が囮になって食われます。食うのに夢中になってる隙に幽魔が攻撃!以上です♪>
≪バカやろ。それじゃ俺死んじゃうだろっ!≫
<ぬ、誰だ数少ない私の出番の邪魔をするのは>
≪俺はSOUTA。颯太の分身とでも――≫
<なんだ。YUMAのパクリか…>
≪ノーン!!それを言うなぁっ!!!≫
<では、本編に戻ります>
≪おい、俺はどうなr――≫
<強制的に戻します>
≪ノーン!!!≫
「行け囮!」
「へ?」
「飛んでけ」
―ドガッ!―
「うわぁぁぁ〜!!」
―パクッ…ガリガリガリ…―
うん、わかりやすく食われてる。
「うがっ…痛ぇってっ!」
でも死なないんだねぇ、これが。…おっとっと、攻撃すんだった。
「くらいやがれっ!!!」
「グギャァァァ!!!」
ふ、終わった…
八岐大蛇(頭、尻尾、各一個ずつの)は、シュゥゥゥ〜と音をたてて消えてい――
――れ?中から人が…
「う〜痛ぇなぁ弟よ」
「なんで私まで…」
「…」
兄(草薙の剣を所持)、大地さん、颯太(仮死状態)だった。
「おいっなぜあんたら…変身してたのか!?つうか兄何持ってんの!?」
「草薙の剣」
「いや、それは知ってる。なんでそんなのがここに!?」
「前に路上に落ちてたのを拾った」
「落ちてた!?」
「まぁ、深いこと気にすんな。というわけで兄らがラスボスだ。よろしく♪」
「気になっから!?アニラって怪獣の名前みたいだな、おい。…ラスボス!?ゲームかこれは…」
「いざ尋常に勝負!!」
「……しゃあない。戦うっきゃねぇか」
<意味わかりませんが、勝負開始!>
颯太は仮死状態になってるから、二対一か……圧倒的に不利だぁ…
無理だろ、尋と二人でやっと兄一人に勝てるっていうのにさらに大地さんまで…
そういえば、あの人にも何か能力あんのか?
あったとしたら死ぬな、オレ…。
…とりあえず、確実にヤバイ兄よりさきに大地さんに攻撃だ!
―ヒュンッ―
<幽魔の光速移動からのパンチ!>
「ふ…お見通しですよ」
―スカッ―
<しかし大地は見切っていた!幽魔の拳は空を切った>
「なっ…」
くそっ当たんねぇ…。じゃあ次は…
<幽魔は影分身を繰り出した!>
十人の分身の中で本物は右から三番目のオレ一人。当てれるもんなら――
「兄君。右から三番目のがオリジナルです」
「おっしゃ」
へ?なぜわかっt――
<兄は口からビームを出した!剣は使わないんですね。しかし、その威力は地球を十回破壊できる程のもので――>
解説せんでいい!うわっ…避けれないっ!!!
―ドグヮァ〜ン!!!!!―
――――――――――
「う…」
どこだここは…あ、オレ負けたのか?
「大丈夫?幽魔…」
綾が心配そうな顔で見ていた。
「あぁ………あ!兄と大地さんは?」
「今は森の中で負傷者の回収をしてるわ。もうすぐ帰ってくると思うけど…」
「そうか、ってなんだこの格好は?」
「え、いや、すごい怪我だったから…」
オレは全身包帯だらけで、そう、ミイラになっていた………オレも変態コスプレ野郎の仲間入りを果たしてまったぁ!…いや、この程度ですんだのを喜ぶべきか?
動揺しているオレのもとにバケモノ二人が帰ってきた。
「綾、さき戻っててくれ。すぐ行くから」
「え、あ、うん。動いてもだいじょぶなの?」
伊達に怪物の弟やってないぜ。
「おい、おまえら」
「お、生きてたか弟よ」
「死ぬかと思ったわい!」
「すまんな、あれくらいしないと弟君やられないからさ」
「いや、それはいい(よくないか?)。単刀直入に聞きますよ。大地さん、あなた人の心読めますね?」
「おや、ばれました?そうです、わたしの能力は人の心を読むこと、それと人の体を支配できることです」
さらっとすごいこと言った!?
「支配!?マジで?」
「ええ」
オレは最初からこの人たちにかなうはずがなかったのだった…。
<おまけ>
「あれ?豪華商品ってなんだったんだ?」
「草薙の剣」
……それかよ!?
「だから攻撃には使わなかったってわけ。血濡れの剣なんてやだろ?」
…怖いって。
「ま、勝者はいないわけでこれは兄のモノ♪」
かってにしやがれ…。
これで肝試し(?)大会編終了でっす。
雑談ですが、昨日、初の評価を頂いて喜びのあまり飛び跳ねておりました私、スガリーなんですが。面白いとの評価だったので、マジ?と思い、この小説を最初から読み返してみたんですね。
「……ふむ……ん?……面白い…かな?」
…はい、結果、自分で書いたもんなのでよくわからなかったのでした。
というわけで読者の皆様からの評価、随時お待ちしております!(これ言いたかっただけな人)