第一章 第二話 気まずい僕と罪償い
人生とは、いかに自分のことを理解できるかで、いろいろ変わるのかもしれない
「…………」
「…………」
うわぁ、きまずいなぁ……。
そんなことを思いながら、僕は長い白髪の女の人、藤原妹紅という人の後について行った。
現在僕は、藤原さんに永林という薬剤師の元に連れて行ってもらっているところだ。なんでも、この竹林は『迷いの竹林』と呼ばれる程の迷宮的なところらしい。なんで霊夢は先に言ってくれなかったのだろうか。
そして、この藤原さんは人間相手のこの『迷いの竹林』案内人らしい。そして僕は運良く藤原さんに出会ったというわけだ。
しかし、この人の髪かなり長いなぁ。
そんな感じで藤原さんの髪を見ていると、
「ん?どうした?」
「ッ!いや、ごめんなさい、何もないです」
だめだ、こういう初対面の大人の人とは会話は難しい。
やはり、未だに父親とのことを僕は引きずっているのだろうか?だとしたら、まだ僕は過去のことを引きずっているのか。
考えれば考えるほど、自分に嫌悪感を覚える。
僕の顔も、自然と暗くなる。
それに、気づいたのか、藤原さんが僕のことを心配するように聞いてきた。
「大丈夫か?なにか、嫌なことがあったのか?」
聞かれた僕は、反射的に答える。
「いえ、何もないです」
そんな僕を見て、藤原さんは『はぁ…』と、ため息をついた。
「大丈夫だったらそんな暗い顔しないよな?」
「これがいつもの顔です」
僕は嘘をついた。
今度は自分への嫌悪感と罪悪感に襲われる。
「それは嘘だな」
「ッッ!!」
何故、ここの世界の人たちはこう勘がいいのだろうか。
「お前今、ここの人たちはなんで勘がいいだよって考えたろ?」
目の前に移動した藤原さんが、まるで、顔に書いてあったかのように、ニヤリと笑って僕に言った。
僕は無意識に一歩後ずさる。
「お前、顔に出てるんだよ。バレバレだ。嘘つくなら、もうちょっと隠せよ」
「ごめんなさい」
「あーあー謝んなくていい。その代わりに、教えろよ。お前がなんであんな顔をしたのか」
めんどくさく謝罪を拒否した藤原さんは、一転顔を変えて質問してきた。その顔はまるで、刑事ドラマで出てくる事情聴取をする刑事のようだった。
かっこいいと思ったが、逆に恐いと感じた。
僕は勇気を振り絞り、拒否を求めた。
「言わなくちゃだめですか?」
「あぁ、だめだ」
「本当にだめですか?」
「あぁ、だめだ」
「あなたに必要なことですか?」
「あぁ、必要なことだ」
「なん「そんなに拒否するような大事なことなんだな?」……」
僕は藤原さんの言葉に詰まってしまった。
だめだ。僕は口喧嘩に弱いらしい。
負けたからには話すしかないか。
僕は父親のことを話す。
「実は……」
しかし、話すことはできなかった。
グシャァ
「え?」
いきなり、藤原さんの頭が吹き飛んだのだった。
そして、これが僕の罪を償う話のプロローグの幕開けだった。