第0話 能力とナオヤ
「今日は天気がいいなぁ」
僕が外に出て雲一つない、とは言い切れないぐらいの空を見た。
あの人里での騒動から2日たった。
人里は現在復興に力を入れている。少しずつだが、人里はもとの形に戻っている。
僕の体はまだ全快ではないが、家事や刀の扱いの練習とかには支障がないぐらいには回復した。
そして、前借りていた家はなぜか全焼していた。そう、跡形もなく。
ある人によると、燃えた。というより、爆発して吹き飛んだ。と言っていた。
確かに加熱性の高い物とかは貸家(というより物置小屋)だったからまだ置いてあったけど、それも大量ではない少しだった。それぐらいで高威力の粉塵爆発が起きるであろうか。
まぁ、とにかく今は霊夢の住む博霊神社に住んでいる。そして、何でも屋的なこともやっている。という現状だ。
そして、今から朝ごはんを作ろうとしているところだった。
とりあえず、霊夢を起こしに行く。
到着した、現在霊夢の部屋の前。
ドアの前で大声で言った。
「霊夢ー。朝ですよー」
霊夢を起こす。
「………スピー」(眠
コケ。
実際になった気がしたが、今の僕の心でそんな効果音がなった。
「仕方ない先にご飯を作るか…」
そんなこんなで、朝食を作る。
すーふーんご
「よしできた」
ご飯と味噌汁という質素な感じになった。
まあ、材料が少なかったというのもあるが、実際はめんどくさかったの方が強い。
ご飯と味噌汁を運んでいると、
「あら、できたのね」
「……いつから居た」
「あなたが味噌を使い始めた頃から」
ちゃぶ台に朝ごはんを置いて、お決まりの言葉を言う。
『いただきます』
電化製品なしで作ったはじめてのご飯は、意外とおいしかった。
「へぇーナオヤってお兄さんいたんだ」
「まぁね、諸事情ではなれて暮らしてたからずっとあってないけど」
「どんな人だったの?」
「まぁ、僕が今8歳だから、少なからず僕が6歳のときはかっこよかったよ。大切な人のためなら人を殺す、いや世界を消してでもやりとげるようなひとだったよ」
「なんかすごいわね……」
今はやることがなくなったから、普通に喋っている。
暖かい気温で少し眠いが、喋る方が楽しいからそちらに集中する。
「そういえば、霊夢は友達とかいないの?」
「まぁ、いるけど変なやつらばっかよ。一人は魔法使いだし、また一人は妖怪だし」
なんだそりゃ、霊夢自体博霊の巫女なんていう危険な役やってるのに。
しかし、魔法使いか…いよいよ、なんでもアリだな幻想郷。
「そういうナオヤは外の世界に友達いるの?」
「いや、いなかった訳でもなかったが、過去形でいうなら『いた』」
「現在は?」
「死んだよ。理由は事故、事故原因は『僕』。つまり『もういいわ』うんわかった」
君の友達は、事故死だった。
その事実は覆らない。
この言葉は友達の両親に言われた言葉だった。
まぁ、そのときの記憶は刷りきれてうまく思い出せないのだが。
「ねぇツグナイ」
「ん?なに霊夢」
「今は友達欲しい?」
「………」
迷った。
多分、また失うのが怖いのだろう。それこそ、心の底から。
思い出すのは昔失った、たった一人の友達。
そして、その子の死んだ顔。
また、自分は世界を呪うことになるのではないか、と
また、失って傷つくのではないか、と
「まぁ、そんな重要なことでもないし今答えを出さなくてもいいわよ」
あぁ、また気をつかわれてしまった。
自分が臆病なせいで気をつかわれてしまった。
やっぱり、まだ僕は過去をずるずると引きずっているのか?
いいやちがう、疑問形じゃない、この場合は、「引きずっているのだ」なんだ。
そうまだ、引きずっているんだ。過去を。
ずるずると、ずるずると、ずるずると。
「そんな引きずっているならすてればいいじゃない」
夢だ、なんだまた来たのか。
僕はドアの向こうにいるだろう彼女にいい放つ。
「お前、僕の心読むなよ。てか、そんな簡単に捨てれる物じゃないんだ」
「まぁ、捨てるも捨てないも自分次第だしね。そんなことより、」
するといきなり、ドアがドンドンッと叩かれる。
僕は少々ビクッとする。しかたない、チキンなんだから。
彼女は少々怒ったように僕へ言った。
「そろそろ私もいれてくれない?」
「え、お前ここに入れるの!?」
知らんかった。
だって、僕ここに望んでこれる訳じゃないし、そもそも僕でさえここがどういう所かわからないし。事実彼女の正体でさえ知らないわけだ。
しかし、ここで一つの疑問が浮かび上がる。
「どうやって入るの?」
「え?ドアを普通に開けるだけよ?」
「でも、前々回開けたら現実に戻ったじゃん」
「あれは、あなたが帰りたいって意識したからなったのよ」
なるほど、要は意識のしようということか。
それじゃあ早速、
「開けるぞー」
「ふぇ!?ちょ、ちょっとままって」
ガチャリと、ドアらしい音がする。
そこには、
「は?」
昔死んだ友達の姿をした僕と同い年ぐらいの少女がいた。
「はは、お前嫌がらせかよ」
「まぁ、これには深い事情があるのよ」
まっとにかく、と話を切った彼女は、いい放つ。
「私は神様よ」
「はぁっ!?」
だめだいきなり過ぎて追い付けない。
うん、だめだ一回死んでみよう。
そんなことをふとおもいつき近くにあった(何故)縄を手に取る。
「なんであなたは縄を持っているの」
「止めるなよ神様」
天井に吊るして、
「別に止めないわよ
そして、椅子を台にして縄を掴み
だってあなた
縄に首をかけて椅子を
自殺できないもん」
蹴り体か浮きながらも地に足がつかない状態になった。キュッと首がしまり呼吸が困難になる。
そして、それから三十秒で意識が消えた。
しかし、次の瞬間バチンッと音と共に意識が覚醒する。
「あ、起きた。おはよう首吊り君」
「あぁ、おはよう。てか、なにこの状況」
現在僕は首が吊ってはいるが、呼吸ができているというよくわからん状況だった。
僕は縄を掴み首を浮かせて、首を引っ込めてそのまま落下した。
ドタンという音を鳴らし着地するが、僕は問いかける。
「僕の能力はなんなんだ?」
不敵に笑う少女。
そして答える。
「あなたの能力は
この能力は僕に似合ってはいるが悲しい能力だと思う。
だって、
自殺行為で力を増幅させる程度の能力だ!!」
僕は相手に殺されないと死ねないのだから。
「あぁ、くそったれが」
僕は世界に吐き捨てた。