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死にたがり少年と幻想郷  作者: そーだぜりー
3/14

プロローグ 忘れない言葉と消えない事実

今回はちょっと長いです。

あと、ちょっぴりグロいです

「妖怪が来たぞぉぉぉ!!!逃げろぉぉぉ!」


そんな野太い男の声で僕は飛び起きた。

妖怪が来た?まじで居たのかよ!!、とそんな感じのことを心の中で呟きながら、僕は寝間着のまま勢いよくドアを開ける。

すると、地獄のような光景が目を焼いた。


「なんだよこれ!!」


もえる家々、大量の男の死体、死体は内臓が口から出ていたり、顔が踏み潰されていたりと様々だった。

吐き気はしなかった。死体を見るのに慣れていたこともあるが、それより顔を知っている人が何人かいたからだ。

そのせいで、怒りと空虚感が身体を支配していた。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ッッ!!」


地獄のような光景に立ち尽くしていると、甲高い女の子の悲鳴が町に響いた。

その声で僕は我を取り戻した。

悲鳴が聞こえた方をみると、小さな女の子が妖怪に追い詰められていた。たぶん、あの不細工な姿見るに弱い方だろう(外見で判断)。

すると、僕の頭にあの父親の声がよぎった。


『君は強い。僕のいじめにこうやって耐えているんだから。だから、僕以外のやつを殺していいよ。僕がその許可を出そう。ただし、それは女の子とか、老人とか、まぁ、自分より弱いやつらを助ける時だけにしよう。約束を破ったら死ぬ事より辛いことをしてあげるよ。頭がいい君ならわかるよね。あぁ、お仕置きする日が楽しみだなぁ。ねぇ、逆に破ってよ。お願い、ねぇお願……』


最後なんか台無しにしていくれているような気がしないでもないが。

まぁ、今動く理由を作るには十分すぎる言葉だった。

僕はすぐにそこにあった刀を手にとった。

刀の柄を力強く握る。握った手から汗が吹き出た。

僕は足音をできる限り足音を消して、妖怪の背中に向かって走った。

そして、妖怪の背中に切先を向ける。

妖怪との距離はかなり近い、気づかれたら僕も彼女も死ぬだろう。

だから、気づかれる前に、


「死ね」


殺す


「☆+☆-☆~++☆+%-☆÷%+%☆☆!!!」

「今気づいたっておせーよ」


妖怪は僕が刺す前に発した声に反応したが、振り向く前に背中を刺した。

叫ぶ妖怪の背中に刺さっている刀を、横にねじって引き抜く。

すると、妖怪から大量の赤い血が吹き出る。


「じゃあな」


僕は最後に、前かがみに倒れる妖怪に言葉吐いて、女の子へ近寄った。


「大丈夫?立てる?」


彼女は首を横に振った。だめだ、完全に目が怯えきっている。そこで僕は閃いた。

「そうだ」と僕はポケットの中から飴を手に取った。

しかし、これはただの飴じゃない。

これは、外の世界の飴だ。銀色の小さい袋を彼女に差し出す。


「これは飴だよ。よかったらこれあげるよ」


そんなことを僕が言うと、彼女は震える手で飴の入っている袋を手に取った。

彼女はその袋を破くと、すぐさまその中の飴を口に入れた。

すると、彼女は頰緩めて言った。


「おいしい」


僕はそんな彼女の言葉を聞くと、少し微笑み彼女の手を取った。


「少し走るよ」

「うん!!」


元気がいい返事を聞いて僕は走った。





そのあとは順調に逃げ切った。

妖怪に出くわすことなく女の子を避難場所に送った。

しかし僕の不安は消えなかった。

なぜなら、


「いない……。あの 少女 がいない」


そう、『名の知らないあの少女』がどこにもいないのだ。

避難してきた里の人にも聞いたが、『知らない』と返答は全て同じだった。

そんな僕にある事が頭によぎった。

もしかしたら、と


「行かなきゃ…」


そして、僕は妖怪たちが今も暴れ続けている里へ向かった。




「なんでいないんだよ。なぁ、どこにいるんだよ」


僕は呟きながら、今も焼け続けている里をさまよう。

そんな僕は、右手に引きずりながら持っている刀しか持っていなかった。

そう、僕は刀『しか』持っていなかった。


「あぁ、ああぁ、あああああぁぁぁぁぁぁああぁああぁあぁッッ!!」


嘆いた。この世の理不尽を、

僕の抱える不幸を。

そして、人の死を。


「あああああぁぁぁぁぁぁああぁああぁあぁッッ!!ハハッ!!もういいや、疲れた。死んで終わろう」


そして、僕は右手の刀で首を「させないわよ」刺せなかった。


「ッッ!!誰だお前!!」


いきなり、自殺行為を邪魔をされた挙句に、腹を蹴り飛ばされた僕。


「自殺なんてしてないで手伝いなさいよ。まったく、こっちは妖怪を倒すのに忙しくて猫の手を借りたいってのに」


そいつは、紅と白の肩や脇などが露出している独特の巫女服を着ていて、黒い髪で、紅のリボンをつけている少女だった。

彼女が愚痴を垂らしていると、正面から妖怪が現れた。


「ほら来た。ちょっと手伝いなさいよ」

「いやいや。戦ったことないんですけど」


彼女が呆れたように言った。


「そんな、身体中真っ赤にして、しかも、物騒なもの握ってたら、ねぇ?」


まさしく彼女の言う通りだった。

そして、僕はまた刀を力強く握った。


「まだ、使える刀がたくさん転がってるんだから、適当に振り回してればいいわよ」

「死んだら責任持てよ」

「嫌よ、そんなもの」

「そんな身勝手なッッ!!」


その言葉を最後にして、僕は妖怪たちの群れに突っ込んでいった。

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