表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国の策  作者: アキ
5年くらい前に執筆。あんまり面白くない。オリジナル小説。
1/5

策謀の戦国1

 隣国から美姫が送られてきた。

 王は初め、毎夜、姫の部屋へと足を進めた。私が大きく関係した政略結婚だったために、私にまで贈り物を届けるまでの熱心ぶりだった。その様子にほくそ笑んでいた。

「間者と疑われているのではあるまいか」

 私が同郷だと知っている姫から相談されたのは、それから二ヶ月経ったときのことだ。

 姫は、この頃、極端に足が遠のいた王のことで危機感を覚えているようだ。無理もない。まだ十五にならないにもかかわらず、両国のことから嫁がされたのだ。それでいて、王からもたらされる情報が収集できないでいた。

「大丈夫でしょう。心配は無用ですよ」

「しかし」

「姫様がここにいらっしゃるだけでも、意味は十分にあります。また、密使に伝えることが少なくなったとしても、それはそれで一つの情報なのです。それよりも、うかつな発言はご注意ください」

「わかっておる。わかってはおるのじゃが」

「他の女性の元にでも行っているのでしょう。疑いが蛇足になることもあります」

「わらわ以外の女?」

「そうです。男とはそういう生き物なのです。男の私が言うのですから、間違いありません」

「お前もそうなのか?」

「それはあなた様が感じてください」

 同じような会話を何度も繰り返した。その内、私と姫とが深い関係を持っているのではないかという噂が流れた。姫に会いに行っているところを誰かに見られていたのだろうが、それもこちらの計算どおりだった。

「お前とあの娘が噂になっているが?」

 王に朝から呼び出された。仕事のことだったが、最後の言葉だけは違った。私は今まで随分貢献してきたために、信頼を得ていた。ために、口調はそれほどキツイものではなかった。むしろ、噂を楽しんでいるとも思えた。

「何の根拠もない、好き者の作り話です」

「火のないところに煙は立たないというが?」

「相談を受けていたのです。姫はどうやら、寂しがっておられるようです」

「ほう? お前が解決すればよいではないか」

「ご冗談を」

 王の機嫌は良かった。

 その日の昼、王が来ることを姫に伝えた。

「今夜、王がここに来られます」

 姫は綺麗に整った眉を寄せた。

「ご苦労じゃった。しかして、何をしたのじゃ?」

「姫様が寂しがっておられると」

「ふむ」

「それと。王がここに来られない理由もわかりました」

 姫の顔が強張ったが、私は続けた。

「姫様は美しいと評判でした。なるほど、その髪の艶やかさ、そのつぶらな瞳の可愛いらしさ、その整った鼻梁、その腕のしなやかさ。なんと、狂おしいまでに魅力的な女性なのでしょうか」

 どうやら緊張は解けたようだ。変わりに、うっとりとした微笑を浮かべた。

「しかし、王の趣味は少し変わっておられるようでして。唯一、鼻の形だけが気に入らないらしいのです。つまり、王と会う際は必ず鼻を覆うのです。そうすれば、あなたと王の距離は縮まるでしょう」

 一ヵ月経った。

 王は私と競うつもりなのか、毎日のように通っているらしい。私がたまに訪れると、姫は安心した表情を見せるようになっていた。姫から相談されることが無くなった。

 今度は王から相談された。どうも、姫の様子がおかしいというのだ。

「何故か近寄ると鼻を覆うのだ。理由を聞いても笑うだけ。何か、聞いてはいないか?」

「鼻を覆う理由、でしょうか?」

「そうだ。お前なら、何か知っているであろう」

「知ってはいますが、しかし……」

 私は戸惑いを作った。

「答えるんだ」

「ですが」

 ついに王は声を荒げた。

「いいから答えろ!」

「……はい。その、姫が申されたのですが……、王の臭いがたまらないのだとか」

「貴様ぁっ!」

「あっ。姫が、姫が申したのです」

「……なんとけしからぬ娘なのだ。すぐに捕らえて、あの鼻を切れ!」

 仕事は終わった。その夜、私は第二の故郷へ密使を送った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ