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アオイちゃん再来

「あ、じゃあせっかくですし…今からみんなでやりません?」

話がまとまったところでフロウちゃんが両手を合わせてニッコリ笑う。


「今からって?PCないよ?」

私が言うと、フロウちゃんはにっこりと

「うちのPC使って♪」

と、グレイトな申し出。


「使ってないPC何台もあるのでっ。

みんなでここで並んでノートPC使ってやりましょう♪」

もうフロウちゃんが言いだしたら、うちのパーティでは決定事項だ。


「私とコウさんはそれぞれの部屋の持って来て…

あとはコウさん、2階のPCルームから使えそうなのを選んで下さいっ。

私はよくわからないのでっ」

と、フロウちゃんが言うと、コウが苦笑して上へ上がって行く。

なんだか…色々な意味ですごいな。




そしてリビングに並ぶ4代のPC。


このゲームのウリは安心してできるネットゲーム。

定額課金にしてなんとアクセスできる時間すら制限されている。


一日4時間まで。0時で時間制限がクリアされるらしい。

お金を使いすぎる事もネットゲーに常駐してリアルで終わる事もないというわけ。

アイテム課金全盛、ネットゲーム中毒続出な中で確かに理性のない人間でも安心してできそうではある。


そのかわりゲーム外コンテンツというか公式HPでは各種掲示板やイベント等、ユーザー参加型コンテンツがいっぱいだ。

ちなみに…私達に送られたディスクのIDは特別に月額料金を取られないようにして頂けているらしい。

まあ…ほぼ強制のくせに金払えとか言われたらキレる。


「あ、ジョブも増えてるんですね~♪」

さっそくキャラ作成ではしゃぐフロウちゃん。

2年前にやった時にはジョブは7ジョブ。


ウォーリアを基準として

○ウォーリア: 攻守共にバランスの取れた近接アタッカー

○ベルセルク:攻撃特化の近接アタッカー。攻=倍、防=半分

○アーチャー:遠隔物理アタッカー。攻=倍、防=4分の1

○ウィザード:魔法アタッカー。攻=倍、防=10分の1、範囲攻撃可、属性によって得手不得手がある。

○プリースト:ヒーラー。治癒、蘇生魔法。攻=10分の1、防=5分の1

○エンチャンター:攻防命をそれぞれ倍加する魔法。攻=4分の1、防=半分

○シーフ:近距離&遠距離物理アタッカー。攻=半分、防=3分の1、回避=4倍


それに今回は以下のジョブが増えて全部で10ジョブだ。

○ガーディアン:防御特化盾ジョブ。攻撃=半分、防=倍

○ドラゴンウォーリア:ドラゴンが常にともない通常時は乗り物、戦闘時には武器防具になる。攻防各2.5倍。武器防具装備不可。炎耐性3倍、氷耐性3分の1。

○モンク:耐性装備を含む武器防具を全て外すと攻撃4倍。


「で?今回は人数制限はないわけだけど…何選ぶ?みんな」

ユートの言葉に当たり前にシーフを選んでいた私はハッとする。

そか…前回と同じじゃなくてもいいんだよね……。

でも愛着出て来ちゃって他ジョブ考えられない気が…。


「私はプリーストを♪やっぱり他は考えられなくて…」

ニッコリと可愛らしい笑みを浮かべるフロウちゃん。


「私も~。なんとなくジョブ変えちゃうと自分な気がしないくらいになってきてる…」

と、私もシーフ宣言。

そんな中でひたすら悩むコウ。


「何?コウ悩んでるん?」

ヒョイっとコウのPCを覗き込んで言うユートに、コウは難しい表情で言う。


「ベルセルクのままでもいいんだが…ガーディアンもなぁ……。

今回のは回復するだけでヘイト乗るらしいから盾がしっかりしてないと姫にタゲいきかねんから…」


はあ…そういう観点で選んでる訳ね。


「なんか…所詮ゲームなんだからそこまで真剣にならなくても…」

今回は別に賞金かかってるとかでもなくて、一般のユーザーもいっぱいいる本当の娯楽なわけだしと思って言うと、コウはきっぱり

「姫が殴られてたらそれこそ絶対に楽しめん」


あ~さようですか、ごちそうさま…って思ってたら、

「あ~それわかるな」

と、ユートの意外な言葉。


「俺もさ、アオイがシーフ選んだ時点で、アオイが殴られない様に回避あげるためだけにエンチャ再びよ?」


うああああ………

ユートってば、そういう恥ずかしい事を臆面もなく……。

真っ赤になる私にクスクスと笑うフロウちゃん。


コウはそこで

「あ~そうなのか、じゃあガーディアンて選択はできんな。ベルセルクにしとく」

と宣言した。


「なんで?」

関連性が判らず聞く私に、コウは

「火力足りんだろ、どう考えても。

最悪盾はなくても被ダメは薬でカバーできるが火力はどうしようもないしな」

と説明する。


なるほど、さすがコウ。考えてるね。



一応4人パーティが最高だった前回より二人パーティに入れられる人数が増えて、最高6人パーティが組めるらしいから、盾役は必要そうな時は他から探せばいいよね。

こうして結局全員前回のジョブのままキャラ作成を続け、それぞれ前回にそっくりな…つまりは…自分にそっくりなキャラを作って、キャラ作成を終えた。




こうして4人ほぼ同時にキャラ作成を終えて完了のボタンを押すと、画面が一瞬暗くなって、4台のPCからほぼ同時にプロローグの音楽が流れ始めた。


前回の時は12名しかやらない簡易版だった事もあって、中世のお城みたいなのをバックにストーリーが流れるだけだったんだけど、今回はさすがに凝っている。


柔らかな日差しの降り注ぐ礼拝堂みたいなところで祈りを捧げている美しいお姫様、フローラ姫。

サラサラの黒髪が金髪ウェーブだという点を別にしたら、なんだかフロウちゃんに似てる気もする。


その礼拝堂の日差しがだんだんかげり、お姫様は祈りを中断して曇ってくる空に目をやった。

雲は空を覆いきり、やがて雷鳴が轟き始める。

暗い空に出来た裂け目から魔物が現れた。

平和な国を蹂躙する魔物達。

「どうか…魔物から国をお守り下さい…」

再び祭壇に向かって祈りを捧げるお姫様。

光る祭壇……


天使のように背中に翼のある神様、イルスの像から光が放たれ、お姫様の後ろをたくさんの光の筋が照らす。


「聖なる姫よ。祝福されし神の兵を与えよう。この者達はいつか闇を払い、この世に完全なる平和をもたらすだろう」

光が人間の形を取って行き、自分が作ったアオイキャラもその中の一人として現れた。


姫が振り向いて口を開く。


「みなさん…どうかこの国をお救い下さい」

うるんだ瞳でそう言う姿は誰かを彷彿とさせたりはするんだけど…まあ深くは考えないでおこう。

こうしてアオイちゃんは再度イルヴィス王国へと降り立った。

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