4人PT再び
「もしもし…ユート…」
彼氏のユート。
例の事件の巻き込まれの一人だ。
私の声に、ユートは苦笑した。
「あ~、やっぱりアオイのところも?」
おい…あの三葉商事三葉商事の社長のジイちゃん、もしかしてあの時の生き残りの全員に送ってるのか……。
「ユートの所も…なんだ。」
「うん。うちの親父殿の取引先ってのが三葉商事らしくてさ……」
うちと同じ手か……。
私のため息で、どうやら同じ状況になっていると察したユートは
「俺…これから姫んとこ行ってくるわ」
と、言った。
「なんでフロウちゃん?」
「だってどう考えてもコウ姫ん家の住人になってるから…」
あ~なるほど。
ちなみに…フロウちゃんとコウは例の事件の時の私達の仲間。
コウは頭がめちゃ良くて実行力もあるリーダー的存在。
トラブルが起こった時のブレインにして最終兵器でもある。
で、その名門私立の生徒会長まで務めた秀才で東大現役合格しただけじゃなく、剣道柔道空手など主な武道の有段者でさらにイケメンという出来過ぎ男は、溺愛中の彼女様のご両親にもとてもとても気に入られてて、お金持ちの彼女様の家で入り婿状態なわけだ。
もちろん、フロウちゃんはその彼女様。
「私も行く…。
とりあえずフロウちゃんとこ電話かけてから出るからうちの駅で待ってて」
言っていったんユートとの会話を打ち切ると、私はフロウちゃんの所に電話した。
「あ、アオイちゃん♪どうしたんです?」
相変わらず…可愛い声だなぁ…。
知り合った当初からヒロイン役の声優さん並みの可愛い声に、アイドルも目じゃないくらいの可愛い容姿、おまけにお育ちの良さが全身ににじみでている、そんなお姫様キャラがフロウちゃんだった。
「うん…ちょっと話があって…。
込み入った話になるからユートとそっち行っていいかな?」
そう言いつつ、フロウちゃんに断られない前提でもう支度を始めている。
「もちろんです♪なんなら…お泊まりします?」
話の内容によってはそうなるか……
「うん、そうする。ユートの分もお願い」
と、私は言うといったん電話を切り上げて例の封筒を持って部屋を出た。
「優波ちゃん家行ってくる。今日泊まらせてもらうからっ」
私が言うと、二つ返事で了承する親。
ちなみに、優波ちゃんというのはフロウちゃんの本名。
例の事件の後、彼女の別荘にご招待された時に親に引き合わせてるんだけど、もうお育ちの良さ全開のフロウちゃんに恐れ入った親は、彼女の関係でお泊まりというと何も文句は言わない。
むしろ迷惑をかけるなとさんざん注意されるくらいだ。
「姉貴ずり~!俺も行きたいっ!」
何度か自宅に来て頂いた事もあるため、弟の大樹も彼女の大ファン。
つか、男なら誰しも惚れるな、あの美少女っぷりは。
「ば~かっ!なんで弟連れてかなきゃなんないのよっ!」
ベ~っと舌を出すと、私は大急ぎでマンションを出た。
急いで駅につくともうユートが待っている。
大急ぎで改札を抜けて、そのまま二人して電車に飛び乗った。
「アオイ、そのキャミちょっとエロい」
電車が動き出すと、ユートが言って自分の薄い上着を私にはおらせる。
「だって急いでたし」
着替え詰めるの忙しくて、今現在の格好なんてきにしてなかったよ。
それを言うと、ユートは
「気にしなさいっ。マジ襲われるよ?」
と少し眉をしかめてみせる。
「え~(笑)
フロウちゃんみたいな超美少女じゃあるまいし、私なんて襲いたがるのユートだけだって」
その言葉に私が笑うとユートも笑って
「襲っていいわけね」
とふざけて肩をひきよせた。
二人ともあえて外では例のディスクの話はしない。
前回の事件で、誰がどこで何を聞いているかわからないというのは思い知ったからだ。
そしてそんな風にふざけてるうちに某高級住宅街の最寄り駅。
二人して電車を降りると、豪邸の建ち並ぶ街に飛び出す。
そしてその一角、見慣れたフロウちゃんの家の前に立った。
チャイムをならすとインターホン越しに可愛い声。
「いらっしゃい。今開けますね♪」
とインターホンでは言いつつ、ドアを開けてでてきたのは声の主とは違う、スラっと背の高いイケメン。
コウだ。
「やっぱこっちにいたわけね」
からかうように笑うユートに少し顔をしかめてみせると、コウは
「うるさいっ!ちゃっちゃと入れっ!」
と私達を中にうながした。