夕飯
「お兄ちゃん起きて、ご飯出来たよ」
勉強机に伏せて寝ているお兄ちゃんの肩を優しく揺れば、寝ぼけた目が開き私を見る。
だけどその時の目が可愛かった。妹である私でさえドキッとしちゃった。
「お兄ちゃん、ご飯だよ」
「あれ、いつの間に……。今行くよ」
お兄ちゃんと一緒に一階に降りれば、お姉ちゃんがテーブルの上に料理を並べてくれた。
「兄さんおはよう……っていうのも可笑しいかな。とりあえず座ろうか」
「だな、おぉ極夜これって……」
「そう、お兄ちゃんの大好物のオムライス。もちろんデミグラスソースだよ」
その瞬間、お兄ちゃんの目が見開いた。それもそのはず、私の作るオムライスはお兄ちゃんの大好物だからだ。
「い、いただきます!」
トロトロの半熟卵とケチャップライスを救い、デミグラスソースを付けて一口。
「旨い! 極夜のオムライスはやっぱり最高だよ」
「ありがとー、おかわり分もあるから沢山食べてね」
「おう! 旨い! 旨いぞー!」
頬にデミグラスソースを付けながら掻き込んでいく。
「こんなに喜んで貰うとこっちも腕がなるから嬉しいよ」
「また、よろしくな極夜」
「うん! 任されました」
再びオムライスを満面の笑みで食べる。その笑顔に癒されつつ、自分をスプーンを口に運んでいく。
夕飯後は、三人で食器を洗うのがルールもなっているために、私が食器を洗いお姉ちゃんが拭いてお兄ちゃんがしまうという流れ作業になる。
「んん……ふわぁぁ……なんだか眠たいや」
まだ夜の8時というのにあくびが止まらない。
「お風呂入る? 後は私と兄さんで片付けるから」
「うーん、じゃーそうしようかな……。ごめんね、後よろしく」
「うん、いいよ」
一階にあるパジャマ用のタンスから取り出して、風呂場に向かう。
「風呂場で寝るなよー」
「分かってるよー、その時はお兄ちゃんよろしくねー」
ゆったりと体を暖めて風呂場から出る。いつもここから本を10時まで読むのが日課だが、今の眠気だと内容がしっかり頭に入らないために、しぶしぶ今日は寝ることにしよう。
リビングですくつろぐお兄ちゃんとお姉ちゃんにおやすみと言い、二階に上がる。
「ん? あれこのノートこんなところに」
それは、苦手な数学を猛勉強するために買ったノートだ。それを拾うとページの隙間から紙が落ちる。
「こ……これ」
お兄ちゃんの文字で書かれた問題だ。確かこれ中1の問題だっけ……、
「公式……忘れてる。あっ、まさか」
中身を急いで確認すれば、赤ペンでミスしているところにヒントを書いてくれていた。そして更にページをめくれば、応援のメッセージが書かれていた。
「ありがとうお兄ちゃん、お姉ちゃん。私絶対に受かるから見ててね」
部屋に入り、布団に入り明日の授業も頑張るぞと気合いを入れて眠りについた。