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自己紹介

「この度は入学おめでとう。この3年間、勉学だけでなく友との仲を深めあい有意義な生活を送って欲しい。では……」




 アホ長い校長の話がやっと終わり、入学式が終了。それぞれのクラスに戻り、担任の先生が話をした。

「今日からこの1-3の担任を勤める藤本 正道(ふじもとまさみち)だ。よろしく」

 爽やかな笑顔とともに女子の興奮しているひそひそ話か聞こえる。高慎重に、さわやかなイケメン。間違いなく女子にモテルタイプ人間だ。

「さて、突然だが俺は君達の名前が全く分からないん。って事で簡潔な自己紹介をしてもらおう。まずは出席番号一番の青羽 悠くん」

 なんの緊張も無く、サクサクっと簡単に終わらせて席に戻っていった。何かしてくれないとつまらねぇぞとメッセージを込めた視線を送る。

 そこから次々に生徒がやっていき俺の番が来た。

「えーと次は、姫美夜 白夜さん?」

 そこで俺はまたかと思った。先生は男子はくんで女子はさんを付ける。俺はあの先生に女子と思われていた。流石に高校なら間違えられないと思ったが予想を裏切られ、ムスッとした表情を出してしまった。

「ごめん、ごめん。間違えてしまって」

「いいですよ、慣れっこだから。コホン。姫美夜 白夜で男です。えー……っとまぁ以上です」

 えっ、それだけ? と言わんばかりの空気が漂う。それだけでなく女子から受ける視線が強い。

「おーい、ヒメ~! 他はないのかー?」

 あんのバカ! その名で呼ぶんじゃねぇよ! そして回りは、あのバカが放った俺のあだ名でひそひそ話が聞こえる。なんか、ヤバい気がする……!早く弁解しなくては!

「ち、ち、違うんだ。これはあのバカがか、か、きゃってに………!!」

 言葉を急ぎ過ぎた俺は、噛みまくりで最後は、舌を噛んでしまい謎の言葉となってしまった。

 早くこの場から立ち去りたい……! 顔を隠したいが教壇の上ではどうすることも出来ない! ただ、真っ赤な顔を少しでも見せないように俯いている。

「か……かわいい……」

 小さな声が聞こえ、俺はゾッとした。だってその言葉を呟いたの……男だもん。しかも……なんか変な風にニヤついてて携帯のカバーは見たことないアニメの美少女だし。しかも見た目俺と全く同じだし……。だが、回りの生徒もその言葉に乗っかってきた。

「姫ー! ヒーメ! ヒーメ!」

 謎のコールが教室を埋めた。しかもそれは女子もやっていた。

 これじや中学の同じで女子扱いされるじゃんかよ! あのバカ……まじで殺してやろうか?

「なぁ、本当は女じゃね? 身ぐるみ全て剥がさないと分からないな」

「いや、本当に男だよ! 見ろよ! 胸とか無いだろ!」

「ぐぬぬ……確かに……」

 早く席に戻りたいのが一心で走って席に戻り机に伏せた。

「覚えてろよ……バカ」




 隣の隣のクラスから謎の姫コールが聞こえる。まぁ、間違いなく兄さんと簡単に想像が付く。

 女子の私から見ても兄さんの顔の可愛さは異常だ。だってあんなの男子に見えないよ。髪をもっと伸ばしたらもっと可愛いだろうなぁと姿を想像する。そういえば前に極夜と一緒に兄さんを着せ替え人形にしたけどあの時の極夜も可愛かったなぁ。あっ、危ない、これ以上想像すると鼻血が出ちゃう……。ダメよ。落ち着きなさい幻月。

「姫美夜さん? おーい、姫美夜さん」

「あ、はい」

「次貴方の番よ」

 いけない、つい兄さんと極夜の事を考えると回りが見えなくなる。確か今は自己紹介の時間だった気がする。席に立ったとき、廊下から風が強く吹いたとき金髪が靡くと、教室がどよめいた。そのまんまゆっくりと教壇に上がった。

「姫美夜 幻月です。特技は料理で、毎朝妹と兄の弁当を作ってます。苦手なものは暑いところです。よろしくお願いしみゃす……」

 やってしまった……! 最後の最後で言葉を伝える噛んでしまった。なんでこう兄さんと同じところで言葉を噛むのだろうか……。とりあえず頭は下げているので長い金髪で隠れてはいるが、恥ずかしくて死にそう……。

「めっちゃ……可愛いんですけど……」

 ボソッと聞こえたのは、私の前に自己紹介をした藍沢(あいざわ) 静華(しずか)

だ。清楚という言葉がピッタリな可憐な子だった。

「え、え……?」

 そしてその言葉は、徐々に広がっていき、兄さんと同じコールが響き渡っていた。

「う……うぅ~」

 教壇をすぐさま下りて、自分の席に急いで座ると、さっきの女の子が話しかけてきた。

「姫美夜さん? ちょっといいですか?」

「どうしたの? あっ、それと気を使わなくていいよ。クラスメイトなんだから」

「あ、ありがとうじゃ遠慮なく。明日、私の分のお弁当作って」

「……え? 静華の分を?」

「うん、私の夢なの。美少女が握ったおにぎりをたらふく食べるのが私、夢だったの」

 私の手を両手で握り、真剣な眼差しを送る静華にたじろむ。

「え、ええ。いいわよ味はおまかせでもいいかな?」

 作っていいよというと静華の顔が満開の花のようにパァっと明るくなった。

「なら、来週の月曜日持ってくるよ。この土日は楽しみにしててね」

「うん! ありがとう!」

 自己紹介では恥ずかしいミスをしたけどそのお陰で静華と友達になれてよかったかな。

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