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第3話 自分自身のことを整理してみた結果

空いた口がふさがらない。

本来の私の姿は

・金色の瞳

・金髪のウェーブのかかったロングヘア

・自分でいうのもなんだけど、所謂絶世の美女と言われている容姿

のはずだった。

でも部屋の隅にあった姿見の鏡を見る限り、そんな要素はこれっぽっちもなく、

・黒い瞳

・黒髪のボブにもならない短い髪

・少年から青年へと変わろうとしてる途中の男の子の姿

がった。


そして何よりも、私のあるべき(もの)がなくて、私にないべきモノがついていた!!


混乱する頭で自分の能力で答えを導こうとして、自分の能力がうまく使えないことに気づく。

恐らく先ほどの『蘇生魔法』と同様に自分の本来の力がこの世界のスキルに変換されているのだろう。


使おうとしていた全知全能の神(God Knows)の代わりとなりそうなスキルを探す。


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女神が持つ100の能力

No1.全知全能の神(God Knows) 変換先:不明

女神が知りたいことを全自動で解釈・解析し、世界の理から隣人の性癖まで、

ありとあらゆることが瞬時に100%理解できる。

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まずは自分のことを知るために、自分の情報が見れるスキルを探そう。

テンプレ的には『鑑定』とか『ステータスオープン』だろう。

『鑑定』に反応があったので自分自身を鑑定してみることにした。

そういえば自分が持っていた能力にユグドラシルの栞(ブックメーカー)という鑑定能力があったのをすっかり忘れてた。


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女神が持つ100の能力

No2.ユグドラシルの栞(ブックメーカー) 変換先:『鑑定』

女神が指定した物・人物・事象を解析し、文章化する能力。

全知全能の神(God Knows)と比べると遥かに下位互換の能力であり、

女神は試しに使った時以来全く使っていない。

ちなみに、変換先の『鑑定』スキルはこの世界では数百年に一人このスキルを持ってる者が

いるかどうかという超スーパー激レアスキルである。

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自分を鑑定した結果は以下の通り

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基本情報:

  名前:(名前を決めてください) 

  年齢:15歳 

  性別:男

  称号:勇者 地球の女神 最上位神

ステータス:

  レベル:1

  HP:15609 MP:16875

  筋力:9260

  魔力:13008

  素早さ:6827

  防御力:8764

スキル:

  『鑑定』『火魔法』『水魔法』『風魔法』『土魔法』

  『聖魔法』『聖神魔法』『蘇生魔法』

  『剣術』『格闘術』『射撃術』『騎乗術』...

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うーん、ツッコミどころが満載すぎる!!

まず基本情報から・・・


性別はしっかり男になっているし、年齢が15歳になっている。

本来の年齢は大体150億歳なので10億分の1になっていることになる。

名前はそもそもが書かれていなくって、うっすらと「(名前を決めてください)」なんて書かれてるし・・・

って、そうか、今まで自分の名前なんて考えたこともなかったし、他の神にも「地球の女神」とか「地球の」とか呼ばれてたし、自分の名前が存在しないのか。

そして称号には「勇者」と「地球の女神」と「最上位神」の三つが入っている。

これ誰かに見られたら相当やばいんじゃなかろうか・・・ステータスの隠蔽ってできるのかしら?


そして、ステータスの項目は・・・まぁ、この世界の基準がわからないからはっきりしたことは言えないかなぁ。

後で目の前の少女・・・クリスにでも聞いてみよう。

けど少なくともこの世界の標準を大きく上回ってはいるだろうと思う。


最後にスキルはっと・・・うわぁ、ステータス一覧からはみ出て、表示されてないし!

推測だけど、もともと私の持っている能力は100あって、それが統合・分割しながらこの世界のスキルに適用できるものを適用していってるのだろうと思われる。

能力から統合・分割されずに単純に変換された『鑑定』『蘇生魔法』については思い浮かべるだけで使えるが、全知全能の神(God Knows)は強力すぎる能力で、分割しないとこの世界のスキルに適用できなかったため、思い浮かべても使用まではできなかったのだろう。


また、スキルにはレベルの概念があるらしく、所持者の熟練度に合わせてLv.1~Lv.MAX(10)の表記がある。

すぐそばにいた兵士を『鑑定』してみたところ、『剣術』Lv.2と『槍術』Lv.3を持っていた。

自分のスキルの横に記載されているレベルは・・・すべてLv.EXだ。MAXではない。

これも推測だけど、統合・分割してもこの世界のスキルに適用しきれない、想定外の使用方法ができるためEXになっているのだろう。


という感じで自分を鑑定したものの、何も解決できないままである。

表示しきれないスキルは色々と試して使えるようにしていくしかないけれども・・・うーん、そもそもなんで男として召喚されたのだろうか。


「私の夢が叶いましたわ・・・」


すっかり自分探しに夢中になって放置されていた少女は、自分自身の行った偉業に恍惚な顔で満足げにつぶやいた。


「夢・・・?」

「はい、私の夢は黒瞳黒髪の(・・・・・)ニホンジンの(・・・・・・)勇者様(・・・)を召喚することだったのです。」


その言葉を聞いて思い出した。

私はこの世界の神とエンカウントする直前にこの少女の祈るような声を聞いたのだ。

きっとこの少女は本当の意味でのチートなのだろう。

通常の異世界召喚では理想の相手を召喚することなど難しい。

可能な限り確立を上げることはもちろん可能であるが、ほとんどの場合が能力を重視する。

そして確立を上げるためには様々な犠牲が必要だ。

生贄であったり、超特殊なマジックアイテムであったり、術者が数百人で作り上げる膨大な魔力そのものであったり。

それらの犠牲をもとに可能な限り強い勇者を求めるのだ。


あたりを見る限り、生贄の死体もなく、マジックアイテムの類もなく、術者はこの少女一人。

そう、この少女は何の犠牲も払わず(・・・・・・・・)地球で(・・・)最強の(・・・)存在を召喚(・・・・・)し、願望に(・・・)沿った(・・・)容姿へと(・・・・)変化させた(・・・・・)のだ。

もっとも、召喚後に天へと召されそうになってはいたが、もし命を犠牲にするなら本来であれば国の7割以上の民の命が即座に消し飛んでいただろう。

これをチートと言わずに何をチートというのか。あ、私は存在自体が神だからチートとかじゃないよ?



直感的に思い至ったわけだけど、恐らくこの直感は間違いじゃない。

そして、クリスを『鑑定』してみたところ、称号に答えが載っていた。


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基本情報:

  名前:クリス・アルトルージュ 

  年齢:16歳 

  性別:女

  称号:王女 魔導士 召喚を成功させし者 女神を変質させし者

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つまるところ、女神として召喚されるはずだった私は、クリスの願望によってこの世界に適用できる形に変質させられたのだった。


「えっと・・・貴方様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


クリスにそう尋ねられて、困った私の眉は八の字になっていた。


女神(自分)の存在自体が変質させられていた。

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