幕間 ガールズサイド2
私たちは助けてくれた人・・・クロト様に連れられて地下牢から出ることになった。
ここはサルベスト城の中でも城壁に近く、ほとんど一日中陰になっているような建物だったはず。
何年も前に見た光景だったけど、最後に見た外の光景は色褪せることなく私の記憶に残っていた。
地下牢から地上へ出ると、予想外の光景が広がっていた。
まずその建物自体が一部崩れ落ちていた。
そして近くにあるはずの城壁がなくなっていて、サルベスト城の外が見ることができた。
さらに、お城に近い建物は跡形もなく消えていて、お城もほとんどなくなっていた。
なんていうか・・・うん・・・地響きがあれだけ起こるはずだよね。
カシスとクロト様が何か話していたみたいだけど、そんなことを気にする余裕もなく、ただただ驚いていた。
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今私は「お風呂」というものの中にいる。
この「お風呂」というものはクロト様の世界では普通にあるものらしい。
「蛇口」というものを回せばお湯が出てくる。
私のいた村では井戸が一つしかなくって、くみ上げるのも大変だったし、火で沸かさないとお湯はできない。
魔法に詳しくない私でも、これが普通じゃないことがわかる。
こんなものをパッと用意できるクロト様は本当に素晴らしいお方なのだろう。
一通りクリス様とカシスにお風呂の使い方を教えてもらい、お互いに体を洗う。
私はセイラの体を洗っていたのだけど、何この凶器。おおきすぎる・・・!!
隅の隅まで洗いつくして満足した私はそのまま湯船につかる。
「はー・・・癒されるぅ・・・」
「こんなに体を綺麗にできたのは産まれて初めてかもしれないですわ」
湯船に入ってきたカリンがそう語る。
ごく普通の村人だった私はともかく、城主の娘だったカリンでもこんな経験はないらしい。
「クロト様は~、なんて素晴らしい方なんでしょうか~。」
「そう・・・ですね。私たちみたいな慰み者になってしまった者たちにも分け隔てなく、それ以上にこんな風に優しくしてくれるなんて、本当に素敵な人です。」
「素敵・・・」
大きな凶器をたゆわせながらセイラが湯船に入ってくる。
いつの間にか真横にミストが入っていた。
普通、一度魔人族に捕まってしまえばもう助かる術はなかった。
仮に助かったとしても同族にも気味悪がられて、結局は同じ目にあうことになっていたかもしれない。
でもクロト様は違った。
私たちを一人の人間として見てくれる。
そのことだけでも心が幸せで満ちていた。
ほかの面々の顔を見ると、湯船の気持ちよさの幸せとは別の幸せが浮かんでいた。
きっと私と同じように幸せをかみしめているのだろう。
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お風呂から出てきたら料理が用意されていた。
クロト様が作ってくれた「ビーフシチュー」というものらしい。
一口食べた瞬間に口全体に美味しさが広がっていく。
お風呂の中で感じた幸せのように噛みしめようと思ったけど、噛む前にお肉がとろけていった。
ほかの野菜も柔らかくって噛まずに飲んでも簡単に呑み込めてしまうくらいだった。
美味しくって美味しくって私は産まれて初めておかわりをした。
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一度与えられた部屋に入っていた私たちだったけど、クロト様の部屋に集まっていた。
数年間一緒にいた私たちは一人の部屋に落ち着かなかったのだ。
ほぼ同時に部屋から出て、顔を見合わせると頷きあい、そのままクロト様の部屋に入った。
クロト様の部屋にはすでにクリス様がいた。
そのままみんなで雑談をする。
「思い出しただけでも~ほっぺたが落ちてしまいそうですぅ~♪」
「いったい何をしたらあれだけ美味しくなるのでしょうか?」
「すごく・・・美味しかった・・・」
「流石マスター。」
「ふふ、私もクロト様の料理にはびっくりしました。この世界にはない美味毎日出てくるんですもの。」
さっき食べた料理の話を皮切りに、クロト様中心の話題になっていく。
盛り上がっていく最中、ふとみんなと目が合う。
そしてみんながクロト様が好きであるということに気づく。
「独り占め・・・ダメ・・・みんなで・・・」
ミストが言った言葉にみんなが頷く。
王女とか村人とか、人族とか獣人族とか、そんなの関係なくみんなでクロト様に尽くそう。
そうみんなで決めたとき、部屋の扉が開いた。
「ん?誰?」
「えっとー、誰もいない部屋だとちょっと眠れなくって・・・」
もしかしたら部屋に追い返されるかもしれない。
クリス様から聞いた話だとお城を壊すほどの戦闘を行ったのはクロト様たった一人らしい。
疲れているからさっさと出て行けと言われるかもしれない。
「そっか。じゃぁ、みんなで一緒に寝ようか。」
クロト様は優しい笑みを浮かべながら指を鳴らす。
6人で乗っていたベッドがさっきまでは手狭だったのに、とても大きなベッドに変化した。
「いろいろ大変だったよね。少しは甘えていいからね?」
優しい声に心が蕩けてしまいそうになる。
「では、お言葉に甘えさせて・・・いただきます」
無意識に舌なめずりをしながら、私はクロト様をベッドに引っ張り込む。
余談だけど、
クリス様とセイラは大きくてたわわな凶器を武器に、
私とカリンは魔人族に叩き込まれた技術で、
ミストとカシスは愛でられながら、
クロト様に尽くした。
初めて魔人族に感謝した瞬間だった。
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まだまだ精進していきたいと思うので、
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