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甘やかさないで

作者: 千夜

ノリで書いて投稿してしまった

文章めちゃくちゃでごめんなさい


5/2誤字脱字をなおしました(^^)/

 




 受験に2回も失敗した。

 私には後がなかった。

 母にはもう出せるお金はないときっぱり言われ、私自身バイトもしていないので自由にできるお金がない。

 最後にあともう一度だけ、チャンスがあるのに。

 私の得意な教科で勝負が出来るのに。

 ああ、今まで努力しなかった自分が憎い。

 激しい後悔と、膝から崩れ落ちるような虚脱感。

 もう何も考えたくない。





「・・・・急に黙ってどうした?」





 電話越しに聞こえてくる、ミキの優しいけど強めの声。

 それを心地よく思いながら、私はベットの上で目を閉じた。

 元々、県外に出ようと思ったのは貴女がそう言いだしたから。

 県内に留まっても、行きたい大学もないし、習いたいこともない。

 かといって就職もしたくない。

 だから、県外のちょっとは興味のある大学に行こうと思ったのだ。

 なんて我儘なんだろうとは思うけれど、何もしないよりはましだと勝手に決めつけて自己解決している。





「あのさ・・・」



「うん?」







 ミキは既に推薦で合格している。

 私が一般受験で合格したら、ルームシェアをしようと言っていたのに、この様だ。

 これは、もう諦めて県内の短大か専門学校に行けと、神様が言っているのだろうか。

 いいや、そう言っているのはきっと母親だ。





「ルームシェア、無理かも」



「・・・まだ最後にチャンスあるんでしょ?それはどうすんの?」



「お母さんが駄目だって。受験料も高いし、交通費かかるし…」





 母は、未成年の私たちが一緒に生活するのは無理だと言って反対した。

 半年もしない内に相手の嫌な所ばかり気になって、終いには、どちらかが出ていくことになる。

 若い恋人の同居生活のような発想に、私は可笑しくなって母を笑った。

 私たちは恋人じゃないよ?友達なんだよ?





「大学に行きたくないの?」



「そりゃ、行きたいよ…」



「じゃあ、説得しなさい」



「…うん」





 女同士の友情なんて、たかが知れてるのよ。しかも、高校生のトモダチなんて一番信用できない。

 母は、何故か説得力のある声色で、言った。

 その時は受け流したけれど、実際考えてみるとそうなのかもしれない。

 だって、私はミキのことをトモダチだと思っていない。





「でもね、ミキ」



「なに?」



「どうすればいいか、分かんなくなっちゃった・・・」





 母の出した条件は、県内で1番頭のいい大学の偏差値よりも高い大学なら受けてもいい、だった。

 偏差値42の私に出来るわけない。

 だけど、ミキがいてくれるから頑張った。

 でも、駄目だった。

 もう、どうすればいいのか分かんないんだ。

 浪人すればいいの?専門学校に行けばいいの?

 私は、ミキを追いかけていていいの?





「どうしてお母さんに伝わらないんだろ?私、高校決めるときなんかよりもずっと真剣なのに」



「…あんた馬鹿?それを直接言えばいいんだってば」



「言えない」



「は?なんで?」



「だって、馬鹿にされて終わりだよ」





 私と母の間には、本人たちにしか分からない壁があった。

 どちらかといえば、溝かもしれない。

 埋めても埋めても埋まらない、底なしの溝がたった数か月の間に出来上がっていた。





「行ってみなきゃ分かんないじゃん」



「分かるよ。この前だってさ…」





 例を挙げればきりのない母との喧嘩話をつらつらと話した。

 意見はいつも正反対。

 私が良かれとやったことは、母にとっては眉間にしわが寄るような奇行なのだ。

 母がやることもそうだ。

 私にとっては、余計なお世話でしかない。

 こう言っちゃなんだけど、人生最大の障害物と私は思っている。





「なんでそんなに仲悪いかね?」



「さあ?なんでだろ?でも、嫌いだっていうのは確か」



「でもさ、私とチカのお母さんが似てるってこの前言ってたじゃん」



「うん、似てる」



「は?じゃあ、私の事嫌いなわけ?」





 母とミキは似てる。

 行動がそっくりなのだ。

 なのに、不思議と嫌な感じはしない。

 むしろ――――





「好き」



「…どうも」





 たとえ、母に見捨てられても、ミキがいると思うと安心できる。

 ああ、これは完全に依存してるな。

 ミキ中毒だ。

 きっとこのまま離れれば、発狂でもするんじゃないだろうか。





「ミキは?」



「…なにこの流れ、恋人設定?」



「かも」





 ミキは言い淀む。

 スパッと言ってくれればいいのに。

 でも、真剣に考えてくれてるんだと思うと胸が熱くなる。





「………まあ、それなりに好きなんじゃない?嫌いとまではいかないかな」



「なんだそれ。ミキは鬼畜なの?ドSなの?」



「ん?ドMではないけど?」





 ああ、好きだなと思った。

 私はミキ限定でドMになるのかもしれない。

 母に冷たくされると、どうしようもなくなって反発する。

 だけど、ミキに冷たくされても、楽しいとしか思えない。

 そうか、だから母とは仲良くできないんだ。

 穏便に事が片付いたことなんて一度もないのは、そのせいだ。

 ようやく分かった。



「私、ミキが好きすぎるんだね」





「………え、キモい」



 本当に嫌そうな声色に、私は少し笑った。

 ほらまた、幸せを感じてる。





「私、頑張る」



「何をがんばる気?え、なんか私寒気してきた」



「えへへ、ありがとね」



「なんで感謝してんの…ほんとあんた馬鹿?」



「またまたー、そんなこと言ってー。嬉しいくせに」



「うざっ!もう電話切るからね」



「えー、や……だ、ってもう切れてるよ」





 携帯電話の画面を見ると、通話時間は2時間32分55秒。

 昨日も電話して、このくらいだったのを思い出す。

 私の発信履歴は、ほぼミキで埋まっている。

 うん、幸せ。

 だからね。

 この幸せが続くように、頑張ることにしたの。

 大嫌いな母に、ちゃんと話してみようと思う。

 何言われたって、平気だよ。

 貴女だと思えばいいんだから。

 だからね、このまま。

 私を甘やかさないでいて。







拙い文章を最後まで読んでくださってありがとうございました!

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