空気の塊
小学三~四年の頃仲良くしていた長井さんという子の話。
長井さんは小学一年生頃まで
“空気の塊みたいなの”
が見えていたという。
具体的にはどんなものかというと
「しゃぼんだまをひらべったく押し潰したみたいなの」
と言っていた。
そういったものがポワンポワンとあちこちに漂い、あたりにいる人と重なって見えたりするらしい。
「でね、その空気の塊がそばに行った時、空気の塊が逃げ出したりパチンと割れちゃう様な人は死んじゃう人なんだよ」
空気の塊が逃げ出すのと割れるのでは何か違いがあるの、と聞くと長井さんはわからないと言っていた。
空気の塊が逃げ出したり割れたりするのがどうして死んじゃう人なのかというと、それは長井さんのおばあさんが病気で入院した時にわかったという。
「お母さんとお見舞いに行ったの。おばあちゃんの。そしたらね、空気の塊がおばあちゃんから逃げ出す様になってたの。で、しばらくしておばあちゃん死んじゃったんだ。おばあちゃんの他にも空気の塊が逃げ出したり割れちゃったりする人が病院に何人かいてね。その人たちも死んじゃったんだ。それでわかったの」
長井さんが小学二年生になった頃、空気の塊は次第に見えなくなったという。
一時期長井さんとよく遊んだが、ある時期から長井さんを見かけなくなり、以後はそれきりになってしまった。
急に引っ越しでもしたのかどうしたのか。わからないままである。




