第13話 草原
「草原は同じか。森の名称が東西で違うみたいだけど……」
名称の違いがある。足を運んで行って見ないと違いを知る術がない。
そこが村から最短の採取場ではあるが。
村の者も立ち寄る森だが、まずは手始めに草原で採取をしようと。
ラスティは、まず傍の草原で適当に草をむしってみる。
手に取るとすでに道具として入手するようだ。
捨てることもできるが、せっかくだからこれは頂いておく。
『ミドリナガクサ』見るからに緑色で背の高い雑草だ。
一度鑑定で見たものはどんどん採取して【底名死】に溜め込んでいく。
この草は100本も抜いたら飽き飽きしてきた。
彼は随分と歩き回り、抜き取ったが同じ種類の道具の様だ。
この辺はこの種ばかりだ。
途中、石ころが落ちていたのでついでに採取。
『ミドリゴケ石』そんな名前が付いているが。
単に道端に落ちているだけの代物だ。
「金を出してまで誰が買うのか」とラスティの目はシラケていた。
クソ真面目に各100個も拾った後の彼の心の感想が顔に出る。
額の汗を袖で拭く。
曲げていた足腰を伸ばし、「はぁー」と背伸びをした。
遠くの木々の方に目が行く。
「やっぱり森だよな」
ラスティはそう呟くと誘い込まれる様に草を踏み分け、森の方へと足を運んだ。
木々の手前に来たのでマップを確認した。
「こっちは東方面だから、エンハの森だな」
ラスティは魔法収納【底名死】に手を入れる。
そして自宅から収納してきた手斧を取り出していた。
森へ軽く一歩を踏み出すと周囲を見渡し、手頃な細めの木の幹に向けて振り下ろした。
カツ──ンっ! と快適な音が小さく手元に響く。
木を切るのは幼少時にも手伝い程度の経験があり、コツを知っていた。
彼の表情は喜びに満ち、その後も爽快ないい汗をかいていく。