第30話:『日常の崩壊』
1. (起)
【爽やかな朝のダイニング。アランと香織が朝食をとっている。】
香織 「ねぇお父様。ヴァレットさん、いつもあの時間に裏の通用口から出かけてるみたい。昨日も村の人とお話ししてたわ」
【アランは怪訝そうに眉をひそめた】
アラン 「……ヴァレットが、村の者と……?」
2. (承)
【アランが思考を巡らせたのも束の間。静寂を切り裂く轟音が響く。】
(ガッシャァァァーン!!)
香織 「きゃっ!? お、お父様!?」
【エントランスの方から、ガラスが激しく砕け散る音と怒号が聞こえる。】
3. (転)
【立ち上がるアラン。そこへ、息を切らした様子のバトラーが駆け込む。】
アラン 「何事だ! バトラー、何が起きた!?」
バトラー 「村の者たちです! 何らかの理由で暴徒化し、エントランスのステンドグラスが破壊されました!」
4. (結)
【窓の外、屋敷を取り囲む松明の炎と、村人に扮した「鋭い眼光の男たち」の影。】
アラン 「……暴徒だと? そんな馬鹿な……っ」
バトラー 「ここは危険です。裏の非常口から避難して下さい。おい、キヨシ!ハル!」
【バトラーは近くにいる二人を呼びつけた。】
バトラー 「キヨシはご主人様を、ハルはお嬢様の側につき全力でお守りを!ヴァレットとハウスキーパーはお二人を先導しなさい!」
ヴァレット 「了解……致しました」
【絶望する親子を、冷ややかに見つめるヴァレットの眼鏡が、炎を反射して怪しく光る。】
(エヴァンス邸、陥落まで――残り30数分。)




