57、男エルフ、再び誘ってくる
クルイはやや疲れた体を引きずって畑から戻り、長年連れ添った鍬をドアの隅に立てかけた。彼は腰を伸ばし、無意識に手で自分の腰を叩く。その顔は、思わず痛みに歪んだ。連日の農作業に加え、若い頃からの古傷のせいで、彼の腰は時折、鈍い痛みや張りを感じることがあった。
「おかえり」
シェリスの声がリビングの方から聞こえてきた。その声色は平坦で、何の感情も読み取れない。彼女は灯りの下の機織り機の前にきちんと座り、針と糸と布を手に、ローランに約束した新しい服を縫い続けている。その動きは手慣れていて、集中しており、まるで周りの全てが彼女とは無関係であるかのようだ。
「ああ、ただいま」
クルイは返事をすると、リビングに入り、いつも座っている古い肘掛け椅子に腰を下ろした。体を後ろに預け、長く息を吐き出すと、同時にまた、軽く数回腰を叩いた。
シェリスの手元の裁縫の動きが、わずかに止まる。彼女は目を上げ、彼を一瞥した。
「また痛むのか?」
「ああ……まあな。いつものことだ。少し休めば良くなる」
クルイは妻に心配をかけたくなくて、わざと気楽そうに笑ってみせた。
シェリスは手元の針仕事を置き、立ち上がると、ゆっくりとクルイの後ろへ歩み寄った。
「うつ伏せになれ」
彼女の口調は相変わらず起伏がなく、それが気遣いなのか、単なる命令なのか、区別がつかない。
「え?」クルイはその言葉に一瞬戸惑い、意味が分からなかった。
「ベッドにうつ伏せになれと言っている。揉んでやろう」シェリスは繰り返し、そっとクルイの肩を押し、そうするよう促した。
「あんた…ローランの服、縫い続けないのか?」
「もうすぐ完成だ。このくらい、どうということはない」
「わかった…」
クルイは心の中で疑問に思いつつも、素直に立ち上がり、普段はソファとしても使っている簡素な木製のベッドへ行き、うつ伏せになった。考えてみれば、シェリスが自らクルイの腰を揉んでやろうと言い出したのは、これが初めてだった。
だが、思い返してみると、それも無理はないとクルイは密かに思った。何しろ、まだシェリスと別居する前の頃は、自分の体もまだ非常に頑健で、今のように長年の労働で体を壊しているわけではなかったのだから。エルフ族の年齢からすれば、クルイもまだ若者の部類に入る。だが、三人の子供を抱える大家族を支える男が背負うプレッシャーと労苦は、決して常人の比ではなかった。
シェリスは、直接ベッドの端に腰を下ろすと、その、見た目には細く白く、力などなさそうな手を伸ばし、クルイが痛みを感じている腰に置いた。彼女の指は、見た目にはか弱いが、押し込む力は非常に的確で、クルイが最も不快に感じているツボを、見事に捉えていた。
「おぉ……おぉ……」
クルイは気持ち良さのあまり、思わず満足げな低い声を二声漏らした。シェリスのマッサージの手際は、それほど専門的とは言えず、むしろ少し適当でさえある。だが、不思議なことに、いつも彼の腰の疲労と痛みを効果的に和らげてくれるのだ。彼女の力加減は絶妙で、軽すぎることもなく、かといってクルイを真っ二つにへし折ってしまうほど強くもない。この手が、本当は世界さえも滅ぼせるほどの強大な力を持っているとは、とても想像できない。これもまた、彼らが長年の夫婦生活を経て培ってきた、言葉を交わさずとも通じ合える、一種の阿吽の呼吸なのだろう。
「何度言ったらわかるのだ。畑仕事をする時は、自分の力をわきまえろと。いつも無理をするな。もし本当にこの腰を完全に壊してしまったら、お前はこれからどうやってこの大家族を養っていくつもりだ」
シェリスは、軽すぎず重すぎず揉みながら、彼女特有の、あまり感情の起伏が読み取れない口調で、夫をたしなめた。
「へへへ……わかってる、わかってるよ…。ただ、少しでも多く働けば、子供たちの暮らしが少しでも楽になるかと思ってな……」
クルイは少し気まずそうに笑い、その声は枕にこもった。
「フン、お前のその僅かな農地の収入では、どれだけ死に物狂いで働こうが、たかが知れている。お前が財を成すのを期待するより、ローランが将来、騎士団長にでもなって、その高額な俸給をもらってくる方が、よほど現実的だ」
「そんな言い方しなくてもいいじゃないか……」
クルイは小声で呟いたが、それ以上は反論しなかった。彼は心の中で、妻の言うことは直接的だが、紛れもない事実だとわかっていた。自分が農業で稼ぐ金は、かろうじて家族を養うのが精一杯だ。家を豊かにすることなど不可能だ。これが、ローランが騎士団のメンバーになることに固執する理由の一つでもある。彼女は口が悪く、言葉に容赦がない子供だが、確かに家族を深く愛する、素直な娘なのだ。
二人の間には、束の間の沈黙が訪れた。空気中には、シェリスが揉む時に指の関節が時折立てる微かな音と、クルイが心地よさから漏らす満足げなため息だけが響く。この沈黙は気まずいものではなく、むしろ、年季の入った夫婦特有の、多くの言葉を交わさずとも心で通じ合える、馴染んだ、穏やかな空気が漂っていた。
しばらくして、シェリスの手の動きが次第に緩やかになり、彼女は不意に口を開いた。
「クルイ」
「ん? どうした?」
クルイは目を閉じ、この得難いリラックスの瞬間を味わっていた。
「私……二日後くらいには、またここを離れなければならない」
シェリスの声は穏やかで、まるで、とっくに決まっていて、これ以上ないほどありふれた事柄を述べているかのようだった。
うつ伏せになっていたクルイの体が、気づかないほどわずかにこわばったが、すぐにまた力が抜けた。彼はそっと「うん」と返事をした。
「……わかった。今回は……どれくらい行くんだ?」
「何とも言えん。一年か二年、あるいはもっと長くなるかもしれん」
シェリスは彼を見ず、その視線はクルイの腰を揉む自分の指に注がれていた。その口調は平坦だった。
「魔界の方で……溜まっている仕事があってな。いつも我が参謀に全てを押し付けるわけにもいかん。私が戻って、直接処理する必要がある」
これも、仕方のないことだった。何しろ、妻が家に帰ってくる時は、せいぜい一、二週間も滞在すれば、また戻っていくのだから。クルイは、具体的にどんな仕事なのかは追及しなかった。彼はとっくに、妻の身分が尋常ではないこと、彼女が、彼には想像もつかない責任を背負い、彼が決して足を踏み入れることのできない、彼女自身の世界を持っていることを知っていた。彼は、この現実を受け入れることを、とうに学んでいた。彼女が去ろうとするたびに、彼の心にはいつも、言葉にできない空虚さと寂しさがよぎるが、それでも彼は、どうしようもないことがあることも理解していた。寂しくはあるが、クルイにはとっくに、心の準備ができていたのだ。
「子供たちのことは……」
クルイの声には、気づかれにくい、わずかな躊躇いが混じっていた。たとえ自分が受け入れられても、子供たちを再び母親と別れさせることは、まだ未成年の三人の子エルフにとって、きっと非常に悲しいことに違いない。
「それこそ、私がお前に話そうとしていたことだ」
シェリスはマッサージの手を止め、その口調は先ほどよりいくらか真剣味を帯びていた。
「クルイ、私が去った後、お前はもっと注意深く子供たちを見守ってやらねばならん。特に、ローランとランシェには、くれぐれも注意を払え」
「ん? どうしたんだ? 何かあったのか?」
クルイはすぐに警戒し、腰の痛みを忘れ、身を起こして、真剣な眼差しでシェリスを見つめた。
シェリスはそっと首を振った。
「具体的なことは、今の私にも断言はできん。だが、どうも……近頃、この森はあまり平穏ではないようだ。先日、ローランとランシェが遭遇したあの仮面の襲撃者たち、お前もおかしいとは思わんか? 何の前触れもなく現れ、倒された後には忽然と消える。あのレストランのマネージャーの失踪事件も、奇妙なことばかりだ。それにランシェ……あの子はあの日帰ってきてから、ずっとただ道に迷って転んだだけだと言い張っているが、私が彼女の様子を観察するに、どうもそれほど単純な話ではないように思える。あの子の首の後ろには、奇妙な五芒星の印がある。見識の広いローランでさえ見たことがないと言っていた。出所がわからず、それが吉と出るか、凶と出るかもわからん」
シェリスが、これほど一度に多くの心配事を口にすることは滅多になく、しかもその口調には明らかな重々しさが含まれている。それが、クルイの心をも不安にさせた。
「つまり……」
「つまり、我々がまだ知らない何らかの勢力、あるいは……何らかの異常な力が、この森の闇で活動している可能性があるということだ。彼らの正確な目的が何なのかはまだわからんが、ローランは幼い頃から何者かに狙われているようだ。そして、ランシェの今回の遭遇も、恐らく偶然ではないだろう。私がここにいる間は、まだ彼女たちを守り、策を講じることもできる。だが、私はまもなく去らねばならん。その時、この家は、完全にお前に頼るしかないのだ」
クルイの表情も、非常に真剣なものに変わった。彼はシェリスを理解している。彼女は決して根拠のないことは言わない。彼女がこれほど真剣にこの話をするからには、必ず彼女なりの理由と根拠があるのだ。
「わかった。特に気をつけるよ。子供たちの面倒は、俺がしっかり見る。だから、安心してくれ」
「ローランは能力は優れているが、性格が衝動的で向こう見ずなところがあり、他人の策略にはまりやすい。ランシェは……あの子は性格があまりにも内向的で臆病だから、何かあっても一人で抱え込んでしまい、かえって問題を起こしやすい。ダッシュは性格は穏やかだが、何しろ男の子だ。女の子ほど、考えは繊細ではない。お前は、もっと彼らに心を配ってやらねばならん。特にランシェだ。普段からもっと話しかけ、何かおかしいところはないか、注意深く観察してやれ」
「ああ、そうする」
クルイは真剣に頷いた。彼は、シェリスが、家族と子供たちを守るという最も重い責任を、自分の肩に託していることを理解していた。
「それと」シェリスは付け加え、その口調は少し和らいだ。
「もし……あくまで、もしもの話だが、本当にお前たちでは対処できない危険に遭遇したら、決して無理はするな。お前も、ダッシュも、ランシェも、あまりにも弱い。ローランは私の魔王としての戦闘能力を受け継いではいるが、まだ成長の途中だ。一人で全ての問題を解決できるわけではない。何かあったら、逃げられるなら逃げろ。他人に助けを求められるなら、助けを求めろ。お前たちにとって、それは恥ではない」
「……わかった」
シェリスは、クルイが固く頷くのを見て、その真剣な表情も少しだけ和らいだ。
「よし、起きろ。もう十分揉んだろう」
クルイは言われるがままに立ち上がり、そっと腰を動かしてみると、確かに先ほどよりずっと楽になっているのを感じた。
「ありがとう、シェリス」
「構わん」
シェリスはただ淡々とそう返事をすると、身を翻し、再び機織り機のそばへ戻り、先ほど置いた針仕事を拾い上げた。まるで、先ほどの重々しい意味合いを帯びた言伝が、全くなかったかのように、手元の作業に集中し始めた。
クルイはその場に立ち、妻の、相変わらずどこか華奢に見える後ろ姿を見つめ、心の中は一時、複雑な感情で満たされた。彼女が再び去っていくことへの淡い寂しさ、未来に潜むかもしれない危険への微かな不安、だが、同時に、深く信頼され、重責を託されたという、ずっしりとした責任感もあった。彼は知っている。シェリスの本当の正体が、恐れられる魔王であろうと、今、彼のそばで静かに暮らす普通の妻であろうと、彼らが共に築き上げたこの家は、彼が全力を尽くして守らなければならないものなのだ。
「そうだ、シェリス」
クルイは何かを思い出したかのように、また口を開いた。
「ん?」
「数えてみれば、もうすぐ、また女神祭だ。その時……また一緒に花火を見に行かないか? 今度は、子供たちも一緒に連れて」
クルイの声には、気づかれにくい、わずかな期待が込められていた。
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