51、娘に知られた真実…その一部
「何? あなたたちが襲われた!?」
家に帰ると、ローランは先ほど遭遇した奇妙な出来事を、正直に、初めから終わりまで家族に洗いざらい話した。あまりにも不可解な出来事だったからだ。それに、母親のシェリスは十一年前の市場での事件の当事者であり、レストランのマネージャーと最後に会った人物でもある。わざわざ隠して事実を闇に葬るより、自分が知っている情報を全て共有し、家族全員に分析と判断を委ねた方がいい。ローランはそう考えたのだ。
「…………」
娘の説明を聞き終え、シェリスも思わず考え込む。
「二人とも大丈夫か? 怪我は?」
クルイは娘たちが怪我をしていないか心配で、急いでローランとランシェの体を調べる。ローランは腕をぐるりと回し、余裕綽々であることをアピールする。
「平気だよ。あいつら、大して強くなかったし、全員再起不能にしてやった。始まる前にランシェには遠くに隠れるように言ったから、あの子も無事」
「そ、そうか…よかった…。ふぅ……」
娘たちが無傷だと知り、クルイはようやく安堵の息を漏らす。だが、それでも彼は言い含める。
「い、いずれにせよ、お前たちは悪い奴に会ったら自分の身を守ることを第一に考え、無闇に強がらないこと。いいな? 何かあったら必ず当局に頼るんだ。自分で勝手なことをするんじゃない…。それに、お前は騎士団の予備メンバーなんだぞ。今何か問題を起こしたら、お前の将来に響くんだぞ…」
「あいつら、相手の力を一瞬で奪う変な指輪を持ってたんだよ。ランシェを連れて逃げる時間なんてなかったって。それに、相手が短剣で刺しに来たんだから、あたしが何をしようと正当防衛でしょ。その場で殺さなかっただけでも、十分に手加減してやった方だよ」
「お前なあ……」
クルイも、口答えが好きで、自我の強い長女には敵わないことを知っている。仕方なく、額に手をやった。だが、ローランの言うことにも一理ある。本当に緊急事態に陥り、外部に助けを求められない時、頼れるのは自分だけだ。ローランはまさにそのために、これほどの戦闘技術を磨いてきたのだ。使うべき時に使わず、結果として自分が危険な目に遭うのでは、本末転倒だ。クルイもそれ以上は何も言わなかった。
「お袋、何か知ってるの?」
「……」
ローランは必死にその裏にある答えを知りたがっている。だが、シェリスはまだすぐには説明できない。
十一年前、シェリスは確かにあの五人の仮面の男を殺した後、すぐにその場を去った。しかも、彼らを殺す時にシェリスが使ったのは、相手の骨さえ残さず消滅させる技だった。彼らの顔など全く気にしていなかった。ローランにこう言われて、ようやく思い出した。
もし十一年前の事件と、先日レストランで四人に毒を盛ったマネージャーが直接関係しているなら、シェリスは自分が以前抱いていた一つの先入観を覆さなければならない…。
それは、毒を盛ったマネージャーの狙いは、貴族であるソラ母娘ではなく、ローランだった、ということだ。十一年前の事件の時もローランがその場にいたこと、そして今日またローランが彼らに遭遇したことを考え合わせると、ローランが幼い頃から、裏で活動するある勢力に狙われていたことはほぼ間違いない。
だが、なぜだ? 今のローランは予備団の中でも注目株だから狙われる理由はあるかもしれない。だが、十一年前のことはどう説明する? あの時のローランは、ただの四歳の小娘だ。戦うどころか、走るのもおぼつかない。幼稚園も卒業していないような子供を狙う理由がどこにある?
さらに重要なのは、ローランが言うには、今日彼女を襲った仮面の男の顔は、レストランのマネージャーと同じだったという。だが、自分はあの日、確かにマネージャーを殺したはずだ。相手の頭と首は完全に離れ、血が赤い花のように床や壁に咲き乱れていた。間違いなく死んでいるはずだ。だが、なぜ……。
念のため、シェリスはローランに確認した。
「私はあまり森に戻ってこないからよく知らんのだが。お前たちエルフ族には、死者を蘇らせる魔法でもあるのか?」
「え? ないよ。そんな便利な魔法が本当に開発されたら、世界中が大騒ぎになるでしょ?」
ローランは母親の疑問を否定した。明らかに、エルフの森の常識では、蘇生の魔法は存在しない。
となると、可能性は三つしかない。
一つは、あのマネージャーが、エルフ族以外の何者かによって、エルフ族が知らない魔法で蘇生させられた。
もう一つは、今回ローランに倒されたのは、あのマネージャーの双子の兄弟か何か。
そして三つ目は、あのマネージャーは、ただの量産された人造人間……。
どちらなのか? シェリスにも見当がつかない。だが、いずれにせよ、ローランが非常に厄介な連中に狙われているのは紛れもない事実だ。今、彼女がローランにできるのは、一つの忠告だけ。
「ローラン、明日からお前の送り迎えは私が行く。単独で行動するな」
「え? あ、あたし、一人でも大丈夫だって、お袋……」
「十人程度ならお前の相手ではないかもしれんし、百人程度なら本気を出せば対処できるだろう。だが、これからもっと大規模で、もっと危険で、もっと巧妙な厄介事が舞い込んでこないと、誰が保証できる? 今のお前のレベルでは、まだ規模も目的も手段も未知の勢力に、一人で立ち向かうことはできん。だが、この私がついていれば、誰であろうと好きにはさせんと、私は信じている」
シェリスがケーキの中の毒を見破ったように。彼女は慎重で、観察眼は細部にまで及び、そして天下無双の力を持っている。魔王になるため、魔界の数多の組織を、表裏問わずその足元にひれ伏させてきた。この種のことには、彼女もかなりの経験がある。自分がいれば、どれほど巨大な勢力が敵であろうと、楽に対処できると彼女は信じている。ローランが本当の意味で独り立ちできるまで、自分が娘を守らなければならない。
「わ、わかった…。お袋の言う通りにする…」
兄のダッシュは役に立たず、父親のクルイもだめ。この家でローランを抑えられるのは、シェリスだけだ。母親の意志がこれほど固いのを見て、ローランももはや断れず、同意するしかなかった。
「ダッシュ、これからの数日間、ローランの代わりにランシェの送り迎えを頼む。事情はわかっているな」
「うん…わかった」
母親に頼まれ、ダッシュは頷いた。彼はランシェの送り迎えを嫌がってはいない。ローランの状況はかなり緊急のようだ。それに、ヒロカの最新刊の小説は提出済みで、しばらくは休める。短期間、挿絵の仕事もない。彼にも妹を送迎する時間はある。彼の能力はどれも平凡だからこそ、家族の役に立てる機会があれば、ダッシュは決して断らない。
「……………」
だが、ずっとそばで家族の議論を聞き、何の意見も述べなかったランシェの心の中は、決してただ流れに身を任せているだけではなかった…。
♦
アーシュ家の家族会議が終わった後、皆それぞれの部屋へ戻っていった。今日の出来事で皆の心は重く、家族団欒の夕食を楽しむ気分ではなかった。
ローランに作ってやると約束した新しい服がまだできていないため、シェリスは一人、機織り機が置かれたリビングに残り、静かに針仕事をし、布を裁断している。
自らローランを送迎し、彼女の護衛をすると言ったものの。シェリスが魔王城を離れる前に参謀タヴァルと交わした約束では、今回の外出は一週間程度の予定だった。たとえ期限を過ぎても、あまり長くは延ばせない。たとえタヴァルが一人で魔界全体の重責を担えるとしても、彼に過度に依存すれば、臣民の自分への忠誠心が日増しに低下するだろう。非常に残念だが、彼女はやはり、まもなくこの家を再び離れなければならない。
だがその前に、家族の今後の安全を確保するため、シェリスは自分が何かをしなければならないと考えていた…。
「お袋……」
「ん?」
シェリスが物思いにふけっていると、突然背後からローランの声がした。シェリスは訝しげに娘の方を振り返る。
「どうした? まだ休まないのか? 今日はあんなことがあったのだ、お前でも少しは疲れただろう」
「まあね…。でも、一つだけ、確認したいことがあるんだ…」
「何だ?」
先ほどの家族会議でのやり取り、母親の言葉遣い、質問の中から、ローランはある情報を垣間見た。あまり認めたくはないが、尋ねざるを得ない。今、答えを出せるのは母親だけなのだから。
「お袋……。エルフ族に死者を蘇らせる魔法があるかって、あたしに聞いたよね……」
「ああ」
「それってつまり……。お袋は、人を殺したってこと、でしょ?」
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