表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/45

21話 鬼ごっこ始め!

 新魔王の巨城。


「では、鬼ごっこを始めます」


 春信くんは新魔王の前でゲームを進行させる。


「私が始め!と言ったら、新魔王様は全力で逃げてください。死神はカウントを30まで数え、数え終わったら新魔王様を追いかけて捕まえてください」


「分かった!」


「よし……」


 私は元気よく答える横で、新魔王は緊張気味に返事をする。


「お互いに何も無いようですね。では…………始め!」


「いち、にー、さん……」


「カウントが早い!くそっ!」


 春信くんの開始の合図に合わせ、新魔王が弾かれたように駆け出してその場から退散した。


「にじゅうく……さんじゅう!よーいドン!」


 しばらくしてカウントを数え終えた私も、その場から全速力で駆け出して新魔王を追いかけ始めた。


「新魔王は下の階にいるみたいだね」


 能力の使用は制限されてないので、私は魂を見る力を使ってすぐに新魔王の居場所を突き止めた。


「新魔王様〜」


 私は現実の人間に合わせた速度で駆けていき、城内の構造を考慮した上で先回りして、ようやく新魔王とご対面した。


「うわっ!?もう来た!?」


 新魔王は大袈裟に驚きながら後退りをする。


「だ、だが……相手は今現在、武器も無ければ速くもない!」


 今なら素手で相手を倒せるはず……なんて考えたんだろうね。でも、それは大きな間違いだよ。


「うおおおおーっ!」


 私は新魔王の攻撃を避け、通り抜けた新魔王の左指を狙って手を振った。


「それっ!」


「あっ……?」


 私の攻撃は見事命中。でも、新魔王の外見は特に何も変化はない。


「ぎぃやぁあああ!?!?」


 外傷はない新魔王は、左小指を庇いながら大声を上げた。


 先程、私が攻撃したのは「新魔王の小指の魂」。小指の魂を素手で無理矢理ちぎったから、小指を引き裂かれるような衝撃が走ったんだと思う。


「まずは小指〜」


 動きは遅めでゆっくり千切らないといけないから、相手は余計に痛いと思う。でも大丈夫、本体が無事なら後でいくらでも修復は可能だからね。


「ひっ!ひぃいいいいい!!」


 私の攻撃を受けた新魔王は怯え、全力で方向転換して私から逃げ出した。


 新魔王は今、「これなら武器で攻撃された方がマシだった」と思っていることだろう。魂を無理矢理引きちぎられるのは相当痛いだろうから。


「待って〜!」


「ぐぅ……う……!」


 新魔王は指を庇いながら広い廊下を駆け抜けていく。


 でも、新魔王は外側には向かわずに城の中央へと移動しているみたい。多分だけど、トラップを使って外に出るつもりなんだろうね。


「逃がさないよ〜」


「うわあっ!?」


 私は再び回り込んで新魔王の前に立ちはだかった。


「それっ!」


「があああっ!?」


 新魔王が狼狽うろたえた隙をついて、左手の薬指と中指の魂を引きちぎる。新魔王の左手の動きが鈍り、目には涙を溜めている。


「二連!次は三連……いや、左右含めて七連狙ってみよっかな」


「う、うぐぅ……!」


 新魔王は左手を肩で庇いながら壁に手を置いた。すると突然、床が抜けて新魔王が下の階へと落下した。床はすぐに元に戻ってしまい、私だけがその場に残された。


「トラップの位置とかしっかり把握してるんだ……」


 もしかして、力を使って城を改造したのかな?


「あ、とりあえず追いかけないと」


 私は「待って〜」と呑気に言いながら、新魔王の魂のカケラを握りしめ爆走を再開した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ