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10話 妙な魔物達

 深樹海の中。揺らめく光が差し込む幻想的な森の中を、私は全速力で駆け巡る。


「それっ!」


 私は木を蹴って空に飛び上がり、空を泳ぐように飛んでいたサメのような魔物を大鎌で真っ二つにした。


「ゲヘッ!?」


 攻撃を受けたサメのような魔物は、短い悲鳴のようなものを上げる……が、切断した筈のサメの身体は何故かくっついたまま。

 実はこの魔物、私が切断した部分からあっという間に傷が塞がり、完全に完治してしまったのだ。


「シャアアアア!!」


 完治したとはいえ痛みはあったのか、サメは私の攻撃に対して激怒。サメ型の魔物は私に向かって全速力で滑空してきた。


「異常な回復速度、しかも死神の私が見えてる……!間違いなく改造魔物だ……!」


 私はその場で足を止め、私に向かって飛んでくるサメを睨みつける。サメはとんでもない速さで接近する、相手はもう目と鼻の先だ。


「遅いよ!」


 私はサメが突撃する寸前に横にれ、サメの攻撃をスレスレで避ける。私のすぐ横をサメの身体が通り抜ける。


 横を通り抜けるサメの無防備な身体に、私はすかさず大鎌を振り下ろした。


「えいっ!」


「ギェアッ!?」


 サメの身体を一瞬で真っ二つに切断。私はサメの身体が再び完全にくっ付く前に急いで下半身を蹴り飛ばした。


 サメの下半身は大木に激突して消え去り、その場に残った上半身はじわじわと回復し、消えた下半身を再生していく。

 でも、一から再構築するのは手間なのか、中々再生できていない。


「トドメ!」


 私はサメの上半身を目掛けて大鎌の連撃を高速で放った。

 私の攻撃速度に回復が追いつけなかったのか、サメの身体は再生し切れずにバラバラになり、その場から消えてしまった。


 サメは煙と共に消え、地面に鋭い歯や魔石などの戦利品が落ちた。


「もう!面倒なんだから……!」


 私は地獄カードを取り出し、サメの魔物が落としたアイテムを写真撮影で回収した。


「よし!回収完了!」


 私は地獄カードの地図アプリを頼りに、広大な深樹海を走って回っては違法魔物を潰して回った。



 前に来た時と比べて、改造魔物の数は目に見えて増えていた。


 異常な怪力でその辺の硬い珊瑚木を砕く魔物、異様に高い魔力で高威力の魔法を放つ小型の魔物、他の魔物を使役したり冒険者の道具を使って戦う魔物などなど……


 とにかく、明らかに異常な魔物の存在が幾つも確認された。



 どの魔物も、透けている死神に攻撃を与えられる力を持っていた。少しでも気を抜いたら大怪我だ。



 でもそんな恐ろしい改造魔物の中には、明らかに自身の力を使いこなせていない魔物も存在していた。

 例えば「高過ぎる魔力を持った魔物」は、自身の放った魔法が強力過ぎて本体が焼け、跡形もなく消し飛んでしまっていた。


 まるで自身の持つ力に振り回されていたような……


「何はともあれ……こんな魔物だらけだと、冒険者もまともに探索できないよね。さて、地上はもう大丈夫かな?」


 泡のような魔力が漂う森の中、私はカードの地図アプリを見つめる。地図アプリ上には、改造魔物の存在を知らせるアイコンは一つも確認できなかった。


「地上はもう大丈夫そう。後は深樹海底ダンジョンだけ……!」


 私がダンジョンに突入するのはこれが初めてではない。

 前に職場の仲間と一緒に初心者用ダンジョンに潜ったりしたけど、一人で未開ダンジョンに潜るのは初めてだ。


(初めての未開ダンジョン……!)


 昔はどのダンジョンだろうが、冒険者は自由に入ることができたらしい。


 でも今のダンジョンは、ダンジョン開拓専門の冒険者『ダンジョン整備士』が、念入りに検査した末に安全と認めたダンジョンしか入れない。

 それか、特定の免許を取得してる冒険者でないと未開ダンジョンには入れない。



 現在、人の手入れがされたダンジョンに入るのが当たり前の世の中。そんな中で私は、単独で未開のダンジョンに突入しようとしている。



(そんなの……すっごく楽しみでしかない!)



 未開ダンジョンには冒険者が見たことないような植物や鉱石、そしてレアアイテムが数多く見つかるとのこと。


 未知のオーパーツや綺麗な装飾品……想像もつかないような未知のお宝が発見できるかもしれない。


(……なんて考えてる場合じゃないよね。地上の安全の為にも改造魔物をやっつけないと)


 私は真面目に大鎌を背負い直すと、全速力で深樹海底ダンジョンへと突撃したのだった。

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