東北穀類ガールのWeb小説コント『Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ』
ずん子「皆様御機嫌よう。東北三姉妹次女の東北ずん子です」
きりたん「同じく三女のきりたんです」
二人「二人併せて『東北穀類ガール』です」
きりたん「あっ、たった今観客席の方から
ずんだ餡作りに必要不可欠な宮城県産のブランド枝豆『気仙沼茶豆』を頂きました~」
ずん子「あら、いいわね~。
こんなの幾らあっても困らないし、何なら足りないくらいだから凄く助かるわ~」
きりたん「とは言うけど、ずん姉さまはその気になればずんだアローでずんだ餅実質無限に量産できるんじゃ?」
ずん子「それはそうなんだけど、やっぱりずんだ餅は手作りが一番美味しいんですもの。
それに、何でもかんでもずんだ餅に変えてたらまたSSSの小田CEOに怒られちゃうわ」
きりたん「ああー、そういえばそんなこともあったねぇ。
小田さん怒るとイタコ姉さまより怖いもんね……」
ずん子「ええ。それに安全面や衛生面を考えるとやっぱりどうしても、ね……。
とまあ、それはそれとして……唐突に話は変わるんだけどね」
きりたん「うん、どうしたのずん姉さま。何か相談事?」
ずん子「ええ。実はイタコ姉さまが、
好きなWeb小説のタイトルを思い出せなくて困ってるらしくって」
きりたん「へぇ、あのイタコ姉さまが? 珍しいことがあるんだね~」
ずん子「ええ。それで色々と話を聞いてはみたんだけど、どうにもよくわからなくて……」
きりたん「うーん、なるほどね。
じゃあ私も、イタコ姉さまが好きなWeb小説が何なのか一緒に考えるから、
どういう感じの作品だったのか特徴を挙げていってくれる?
イタコ姉さま程じゃないけどWeb小説には詳しいから、幾らか役に立てると思うし」
ずん子「あら、ありがとう~助かるわ。じゃあ、お願いするわね。
まずイタコ姉さまが言うには、
所謂『異世界召喚もの』で、異世界にやってきた主人公が、理不尽な理由で追放されてしまう所から始まる物語だそうなのよ。確か、勇者がどうとか……」
きりたん「なるほど『追放もの』で"勇者"ってキーワードが出て来る作品かぁ~。
色々あるけど、パッと思いつくのは鬼ノ城ミヤ先生の『Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ』かな。
主人公の商人フリオが、魔王討伐の為の勇者候補として異世界に召喚されるって物語だし、フリオ以外の勇者も出て来る作品だからね。
……でも今のWeb小説界隈に『追放もの』とか『勇者が絡む作品』なんて幾らでもあるし……他に何か言ってなかった?」
ずん子「そうねぇ。イタコ姉さまが言うには、
物語が始まった途端理不尽に、理由も告げられないまま追放宣告を受けた主人公が、かつての仲間と激しいバトルを繰り広げた末に惨敗、
そのまま海に落ちて意識を失ってしまうっていう、結構衝撃的な導入から始まるそうなの」
きりたん「うーん、じゃあ『LV2チート』じゃないか~。
『LV2チート』の主人公フリオが敵と戦ったのは追放された後だからね。
追放の理由も『能力値が低くて勇者として役に立たないから』って感じで、ハッキリしてるし。
まあ、実のところフリオの能力値はタイトル通りチート級だったから召喚した王国の目は節穴だったんだけど。
他に何か言ってなかった?」
ずん子「イタコ姉さまが言うには、ヒロインの女の子がとにかく可愛くて美人らしいの」
きりたん「具体的なビジュアルは?」
ずん子「顔がよくて白髪でスタイル抜群で……ある意味、イタコ姉さまみたいな見た目って言えるかしら。
人間みたいな見た目だけど正体は何かの怪物で、主人公とは相思相愛のお熱いカップルで、あと主人公共々とっても、それこそチート級に強かったそうよ」
きりたん「イタコ姉さまっぽい見た目で正体が怪物で、主人公と相思相愛かつめっちゃ強いキャラがヒロイン……『LV2チート』だね~。
同作ヒロインのフェンリースがまさにそんな感じなんだよね。
イヌ科の獣耳まで生えてるとことか結構イタコ姉さまっぽいし、
何より初戦でこそフリオに手も足も出ず完敗したとは言え、それでも作中では屈指の強キャラだし。
……となると『LV2チート』で決まりかな~」
ずん子「そうよね。実は私も調べて行く内にその『LV2チート』なんじゃないかと思って確認してみたのよ。
けどイタコ姉さまが言うには、その作品は漫画やアニメみたいなメディアミックス展開どころか書籍化さえされてなくて、
何ならブックマークの件数も30そこらしかないマイナー作品らしくって」
きりたん「じゃあ『LV2チート』じゃないか~。
あの作品は『小説家になろう』で人気になってオーバーラップ文庫から小説が刊行されたし、漫画やアニメにもなってるからね~。
特に漫画版は書籍版をベースにしつつもフリオとフェンリースの心境や夫婦としての絆が物語の主軸になってて、
単にチート級の能力を手に入れた主人公が敵をバッタバッタとなぎ倒す話じゃなくて、
ある種の恋愛小説とかホームドラマみたいなアレンジがされた点は秀逸だし、
概ねその漫画版が原作になったアニメ版は内容もそうだけど、フェンリース役の釘宮理恵さんが歌う、
色んな意味で衝撃的なオープニング主題歌はじめ作品全体に漂う『古き良き平成テイスト』が
昭和・平成初期~中期世代のネット老人には懐かしく、平成後期・令和世代の若手アニメファンには新鮮に映っててウケがいいし、
純粋な作品としての完成度も概ね高いってことで、所謂『なろう系』のアニメ化作品にしては珍しく評価が高いんだよ。
特にフェンリースはそれまで釘宮さんが演じてきた中では結構珍しい、何なら実質的に初めて演じるタイプの役だってことでこれも結構話題になったからね。
加えて言うとフリオ役が日野聡さんなもんだから、言わずと知れた『ゼロの使い魔』の平賀才人とルイズの事実上の令和リメイクだ~みたいな話もあるし、結構話題性には事欠かないんだよ」
ずん子「やっぱりそうよねぇ。私も軽く調べただけなんだけど、概ねきりたんと同じ感想を抱かずに居られなかったわ。
それで結局まだ分からないから聞いてみたんだけど……イタコ姉さまが言うには、
件の作品の主人公は冒険者として生計を立てる事になるんだけど、色々あってそのタイミングで別の名前を名乗る判断を下したっていう特徴があるそうなの」
きりたん「主人公が冒険者になって、名前を変える? じゃあやっぱり『LV2チート』だよ。
そもそも主人公フリオの本名はバナザで、当初はその名前を名乗ってたんだけど、
王国から追放された件で顔と名前が割れてる関係上町に入った時面倒なことになると考えた彼は魔法で顔を変えて、
冒険者ギルドに登録する時も本名を名乗るのは不味いってことで咄嗟に思い浮かんだフリオって名前を名乗ることになるんだ。
因みにこのフリオは元々彼が昔飼ってた犬の名前らしいんだけど、同じ名前を源氏名として名乗るキャラクターがとある令和の東映特撮……っていうかぶっちゃけ『仮面ライダーリバイス』に登場してて、
しかもそっちのフリオは所謂人間から怪人に変身するキャラなんだけど、そのモチーフがイヌ科動物……それもよりによって狼っていう中々興味深い話があってね。
と言っても『LV2チート』の書籍版刊行は2016年、『リバイス』の放送はその何年も後だから単なる偶然と考えるのが妥当ではあるんだけども。
……とにかくそう考えるとやっぱりイタコ姉さまの好きなWeb小説は『LV2チート』で間違いないよ!
寧ろそんなWeb小説なんて『LV2チート』ぐらいしか聞いた事ないって!
万一の可能性として主人公がハンドルネームのモモンガから自身が長を務めるギルドの名前に因んでアインズ・ウール・ゴウンに名前を変える『オーバーロード』の可能性もあるけど、
その場主題歌はキャラソンじゃないしヒロインも黒髪だし何から何まで違うもん!
『LV2チート』で決まりでしょ!」
ずん子「そうなのよ~。だから私もイタコ姉さまにやっぱり『LV2チート』じゃないの? って聞いてみたの。けどやっぱり違うみたいで」
きりたん「何が違うの!? この期に及んで何が違うの!? ねぇ、何が違うの!?
場合によってはこの背中のきりたん砲が鶏肉とゴボウのダシが効いたアツアツのスープを吹くことになるけど!?」
ずん子「待ってきりたん、落ち着いて。そんなことしたらそれこそ小田CEOに何をされるかわからないわ。
……それでイタコ姉さまが言うには、その作品の世界観にはゲーム的なステータスの概念が無くて、主人公がモロに平成以後の仮面ライダーシリーズっぽい戦い方をするそうなの。
なんでも"なんとかドライバー"っていうベルト型のアイテムで、怪物の姿に変身するとか……」
きりたん「はぁぁぁぁぁ!? じゃあ『LV2チート』じゃないじゃん! 絶対別の作品じゃん!
確かにフリオやフェンリースはじめ、あの作品には仮面ライダーと関連付けられるキャラクターは多いよ!
主人公の側にいる人外のパートナーって意味だとフェンリースは平成以後の仮面ライダーによくいる相方・ヒロインキャラっぽさあるし、
クライロード騎士団四人衆はイマジンズとか一海、勝、聖吉、修也の北都四人衆なポジションと言えなくもないし、
"数値を超越した∞のステータス"を持ってるフリオなんてほぼムテキゲーマーとかオーマジオウみたいなもんだしさ!
けど結局そういう要素は一部のファンが二次創作とかMAD動画とかのネタで強引にこじつけて見出す程度のものでしかなくて、劇中あからさまにライダーぽい要素をガッツリ含むような、そんな『這い寄れ! ニャル子さん』みたいな話じゃないんだよ!
つまりイタコ姉さまが好きな作品は『LV2チート』じゃないっ! はい、証明終了!」
ずん子「……熱弁振るってくれた所悪いんだけどねきりたん?イタコ姉さまが言うにはその作品、
主人公と浅からぬ因縁のある、異世界から召喚された、性格もガラも頭も悪くて性根の腐り切ったような感じで、かつ主人公より明らかに無能な……
所謂『鬼畜勇者』っていうのかしら、そんな感じの悪役が登場して、しかも主人公の追放に深く関わってくるらしいのよね」
きりたん「えっ」
ずん子「それと、イタコ姉さまが言うには……姉さま自身もうろ覚えであんまり覚えてないみたいなんだけど、
どうやら主人公とヒロインは嘗て歴代最強と言われながらも結構良心的な所もある元魔王の厳つい大男と仲良しっぽい感じなんですって」
きりたん「えっ……そんな……それじゃ……やっぱり『LV2チート』じゃん! その特徴は間違いなく『LV2チート』だよ、間違いないよ!
フリオの追放に深く関わる性格もガラも頭も悪くて性根の腐り切った無能の鬼畜勇者ってそれ、あのエリなんとかとかいう金髪勇者じゃん!
まあ金髪勇者もといエリなんとかは落ちる所まで零落れた挙句ちょくちょく活躍してくような所もあるし、
一応そこまで突き抜けた極悪人かというとそうでもないけど、それにしたって一応『鬼畜勇者』キャラと言えばそうだしさ!
あと歴代最強格で結構良心的な元魔王の厳つい大男ってそれ完全にゴザルおじさんこと魔王ゴウル陛下だし!」
ずん子「そうなの?」
きりたん「うん。ほんとにもうずん姉さまの説明通りのキャラだよ。物語開始時点では現職の魔王だったけどなんやかんやあって退位したし、
戦闘能力高くて厳つい見た目の割に根は優しいのか『戦争を終わらせたい。魔族が平和に暮らせる土地が欲しいだけ』って常々言ってるし……
うん。やっぱり間違いないよ。イタコ姉さまが好きなWeb小説は『Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ』で間違いないっ!」
ずん子「……きりたん、盛り上がってる所申し訳ないんだけど」
きりたん「どうしたの、ずん姉さま? ……まさか」
ずん子「そう、そのまさかよ……今イタコ姉さまからメールが届いてね?
曰く、そのWeb小説を読んだのはつい最近……2024年の春頃だったらしいの」
きりたん「」
ずん子「姉さまのPCに履歴が残ってたから間違いないそうよ」
きりたん「……じゃあ『LV2チート』じゃないじゃんやっぱり!
確かに作者の鬼ノ城先生は元々『なろう』で活動しておられたけど!
『LV2チート』も元々は『なろう』の連載作品だったけど!
先生は規約違反で2019年に『なろう』を退会させられちゃって!
それ以後アカウントが復活したなんてこともないんだから!
そもそも2020年代、令和の時代に『なろう』で『LV2チート』なんて読めるワケないじゃんっっっ!」
ずん子「ごめんなさいね、きりたん……私がしっかりしてればこんなことには……」
きりたん「いいよ、謝らないで……ずん姉さまは悪くないよ……。
けどだとしたら、イタコ姉さまの好きな件のWeb小説って一体何なの!? 」
ずん子「それで、続けざまに今ずんだもんからメールが届いたんだけど」
きりたん「ずんだもん!?」
ずん子「ずんだもんが言うには、蠱毒成長中の
『つい☆ブイ! 追放Vtuber、七都巳大竜-
配信切り忘れた挙句の異世界転移!
勇者パーティで頑張ってたら追放されたので、
愛しの爆乳エロ魔女と一緒に無双しながら地球帰還目指します!-』
こと通称『つい☆ブイ!』じゃないかって……」
きりたん「いや絶対っっっ……それじゃぁぁぁぁん!
舞台は異世界エニカヴァー、主人公の七都巳大竜は元々勇者の江夏才蔵率いる勇者パーティに所属してたけど
理不尽に追放宣告された挙句、勇者パーティの面々にボコられてボロボロの状態で海に落ちて気絶するし!
ヒロインのパルティータ・ピローペインは白髪で胸大きくてスタイルいい美人だからまあイタコ姉さまっぽいデザインと辛うじて言えなくもないし、
あとあいつやたら強い上になんか初期はアンデッドって紹介されてたし、
後に改めてカースド・アンキラブルって存在だと知らされたけどどの道ヒト型の化け物には変わりないし!
作者は売れ筋意識したんだろうけどそれに反して書籍化されてないどころかブックマーク登録件数も37件、オマケに近頃は閲覧数も下落してるみたいだし!
これが結構人気出ない最大の要因だろうけどゲーム的な要素なんて殆どあってないようなもんだし、
七都巳大竜の戦い方は身体と一体化して装着者を怪物に変えるベルト"邪悪魔神器シンズドライバー"だし、
しかも変身する時の描写もやたらと仮面ライダーじみてるし!
江夏才蔵は劇中の出番が少ないからあんまり伝わってこないけど少なくともロクでもない奴なのは間違いないし!
七都巳大竜は冒険者になる時、身元が割れないように財王龍って偽名を名乗り始めるし!
あと主人公やヒロインと仲のいい元魔王ってそれ、冒険者ギルドの長やってる源元幸之助じゃない!
……はあ。しょーもな……まさかイタコ姉さまが蠱毒成長中の作品にハマってたなんて……
いや別に誰のどんな作品にハマろうとそれはイタコ姉さまの自由だけどさ……」
ずん子「ここまでの閲読ありがとうございましたっ」
きりたん「『つい☆ブイ!』のURLはこちらからどうぞ」→https://ncode.syosetu.com/n0618io/