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ユーティリシアの箱庭  作者: 村上いつき
第三章

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209/236

(三)黒き陰謀の顕現



 バルチェスタ大聖堂の歴史は古い。アザレアが生を受けるよりも前に、元からあった教会を大きく増築する形で建立された。聖堂の中にもうひとつの聖堂を内包する形で存在しているが、外から見ただけではそれとわからず、その教会にある最奥の聖堂への扉は特別な時にしか開かれない上に、足を踏み入れる事が許されている者は限られる。

 今宵、その最奥の聖堂への扉が開かれ、実質的な教会の支配者であるヒヨリを始めとした教会執行機関(セスパーダ)の管理官達と各部署のトップ、そして討伐に参加した功労者達の立ち入りが許された。それ以外の者は聖堂の手前にあるこの大広間で待機する運びになっている。

 円形の大広間には正面の通路から聖堂の扉までを中心に二手に分かれて整然と司祭や神父、シスター達が集い、人垣による一直線の通路が出来上がっていた。この広間に続く放射状に存在する通路の入口には、燭台を手にしたシスター達が佇んでいる。

 その広間の中央に統括管理官であるガルシアを始めとする管理官が、侍女と共に現れたヒヨリを出迎えた。


「このたびは討伐のお勤めが無事完了しました事、お慶び申し上げます。お疲れのところお運びいただき感謝申し上げます」


 ガルシアが深々と頭を下げ、それに倣って他の六人の管理官も頭を垂れる。


「すべてはソリタルア神のおかげであり、獅子奮迅の活躍をみせた騎士団と、昼夜を問わず粉骨砕身の働きを厭わなかった皆のおかげです」


 微笑を浮かべて彼らに頷き返しながら、労わるようにヒヨリも言葉を返す。そうして胸に手を当て頭を下げた。


「こうして早急にソリタルア神への報告と感謝を伝える場を設けてくれたことにも礼を述べます」


 そう言って、大広間を見渡す。

 厳かな雰囲気が漂うこの場に集うのは、ヒヨリの事を知っている者達ばかりだ。

 ヒヨリが表舞台の教皇として過ごした時間は短い。理由のひとつはいつまでも変わらぬ容姿だ。これで聖女の力を持っていたり、預言の力を十全に発揮できていたなら、もっと堂々と長期に渡り表舞台に君臨しただろう。

 だが、セレーネにより邪魔され制限されていたため、預言の力もままならず、力はあるのに公に出来ない屈辱に裏で権力を振るうしか出来なかった。

 それも今日までよ。

 ヒヨリは口元に微笑を浮かべて聖堂の扉を見つめる。

 この教会において一番ソリタルア神の力が強いあの場所で、セレーネを叩き潰す。皆の祈りの力を糧にすれば可能な筈だ。ここに集う者達は皆、敬虔な信者ばかりだし、何よりこの円形の広間も聖堂も祈りの力を増幅する力がある。そのように床に魔法陣が刻まれているのだ。


 コルテリオ達は——いないようね。

 血生臭い彼らは呼び出していないのか。いや、二手に分かれて並ぶ者達の先頭に、マルチネス教皇の姿が見える。コルテリオの隊長であるディラードが来ているのであれば、放射状に存在する廊下の奥にはいるのかもしれない。


「では」


 ゆるりと頭を上げたガルシアの先導に従い、最奥の聖堂に向かってヒヨリは歩き出した。



 * * *



 今夜奥の聖堂で儀式を行う形でヒヨリを呼び出している、と聞かされたのは、儀式開始の一時間ほど前だ。


「儀式中に仕掛けるつもりなのね。……過去に神に仕えていた身としてはちょっと複雑だわ」


 リタが言葉通り眉根を寄せて微妙な表情をしている。儀式を邪魔する行為に気が引けるものがあるようだ。


「何をする気か知らねえが、そもそも俺たちはその聖堂とやらに近づけるのか?」


 ゼノが過去にゼファーレン教皇から聞いた話では、聖堂に足を踏み入れられるのは一部の者だけだった筈だ。いくらネグレスの手引きがあったとしても、信者でもないゼノ達を忍ばせる事に忌避感が生じるだろう。


「聖堂には入りません。その手前に円形の大広間があり、そこから放射線状に九つの通路があるのですが、そこに身を寄せます。聖堂への扉は開放されますので、中の様子はわかる筈です」

「なるほど」


 巡礼者が身につけるローブを頭から被って身を隠し、シスター姿のシュリーの後に続きながらゼノは頷いた。

 今はまだ大聖堂のある建物を目指して移動中だ。この辺りであれば、ゼノ達のような格好の巡礼者の姿はチラホラ見られるので怪しまれることもない。すれ違うシスターや神父達に軽く会釈するのを忘れるな、と言われているのが面倒で、ゼノは先ほどから頭を下げたまま歩いている。


「待て」


 突然背後から声がかかり、リタの身体が強張ったのが前を歩くゼノにも伝わった。シュリーは少しも驚く事なくゆっくりと振り返り一礼する。


「はい。何かございましたでしょうか」


 内部でどう分裂しているのか軽くしか聞いていないが、声をかけてきたのがヒヨリ側なら面倒だ。ここで暴れる訳にもいかねぇしなと、この場の対応はシュリーに任せる事にする。


「いや……」


 ゼノ達を見咎めた相手は何かを言いかけ、少し躊躇ったように周囲に素早く視線を走らせると笑顔を浮かべた。


「彼らは私が探していた客人ではないかと思ってな」


 この声の主が誰だかわかってゼノは目を瞬き、目深に被っていたローブを少し持ち上げて肩越しに振り返った。

 やはり。

 そこにいたのは討伐任務を共にした東方方面騎士団長のダルセニアンだ。


「ダルセニアン様の客人ですか……?」


 シュリーも彼に呼び止められるのは勿論、正体がわかっているらしいのに配慮を見せられるのは想定外だ。どうしようかと伺うようにゼノに視線を向けてきたので軽く頷き返す。


「彼らを案内するよう仰せつかっておりますので、私も共に伺ってよろしいでしょうか」

「ああ、無論だ。足を止めてすまぬが、こちらへ。時間は取らせぬ」


 シュリーは一度ゼノ達を振り返り二人が頷いたのを確認してから、ダルセニアンの後に続いた。


「何かしら」

「さてな。だが連中は悪巧みには加担しねえ。そう心配はいらねえよ」


 ゼノがそう言っても、リタの目にはまだ警戒する色が強い。討伐任務の現場で会うのと教会本部で会うのとでは、彼らの身分を考えるとまだリタには信用ならない相手なのだろう。

 ダルセニアンについて廊下を進んで行くと、周囲を歩く人々の様相が巡礼者や神父達から騎士に変わってきた。案内された部屋の入口付近には若い騎士の机があり、ダルセニアンは彼に「誰も取り継がないように」と一声かけてから、その奥の部屋にゼノ達を招いた。部屋の中は応接セットと机があり、どうやら騎士団長室のようだ。


「剣聖殿と御使い殿であろう?」


 部屋に入るなり問われた言葉に、やはりゼノ達の正体はバレていたようだ。ゼノがフードを頭から外せばリタも渋々それに倣った。シュリーは三人から距離を取り、部屋の扉の前に控える。


「貴殿らがまさかここにいるとは思わなかったが、ちょうど良かった。私は二人に正式に礼を述べたかったのだ」


 そう言って背筋を伸ばすと、騎士の最敬礼の姿勢をとった。


「此度の討伐任務では多大な尽力を賜ったこと、感謝の念に耐えぬ。貴殿らがいなければ甚大な被害を被った事だろう」


 律儀な奴だ。

 ゼノは呆れたように嘆息して手を振った。


「今回の討伐は教会だけで対応すべきもんじゃなかった。力持つ者としては協力して当然だ。お前さんが礼を言う必要はねえさ。——むしろ、ヒヨリの判断を褒めるべきだな。なにせ、正神殿にまで声をかけたんだからな」


 これまでの仲を考えればあり得ない。まあ、ニダがいたからこそだろうが。


「そうだったとしても、貴殿ら二人の尽力がなければ、被害はこの程度では済まなかった」

「それを言うなら、リタの癒しと浄化の力のお陰だな。特に瘴気を防ぎ浄化までしてくれるってのは、傷を癒す以上に助かった」


 その通りだとダルセニアンも深く頷き、リタに改めて礼を尽くす。


「私のやるべき事をやっただけよ。フィリシア様だっていつもそうだったもの。——それより、結局どの程度の被害になったの?」


 ゼノ達はさっさと現場を後にしたので(追い出されたとも言えるが)、実際の状況を聞いていないのだ。リタの言葉に、ダルセニアンは少し眉根を寄せた。


「中央と西の布陣では重傷者は一定数いたが死者は数人程度で済んでいる。東の陣は、後方支援部隊も含めて三分の二以上の死傷者が出ている」


 三分の二……と呟きリタが絶句する。ゼノも頭をガシガシとかいて嘆息した。


「あの怪物の一撃がな……」


 何が起こったのかも分からずに命を落とした者も多かったに違いない。その場にいたとてゼノに何かが出来たとは思えない。恐ろしい威力の痕跡を見れば、どれほど強力な防御結界を張っていたとしても意味をなさなかったろう。そう思われる力だった。


「だが二撃目が放たれる事はなかった。それは二人があの一つ目の怪物を早々に倒してくれたお陰だ。——正直、我らでは倒せなかっただろう」


 悔しそうに視線を落とし力不足を認める発言に、ゼノもリタも押し黙る。アレはゼノやリタ、そして些少とは言え盟主達の助力もあったからこそ、あれほど素早く倒す事が出来たのだ。あの場にいた騎士団が束になって攻撃したとしても——倒し切るには相当の日数を要し被害も計り知れなかっただろう。


「だがそれもこれも、お前さん達を始めとする騎士団が他の魔族達をキッチリ倒してくれたからじゃねえか。でなけりゃ俺やリタだってすぐには動けていねえ。魔塔の魔術師が設置してくれた転移魔法陣も随分と役立った」


 だから俺達だけの力じゃねえさと結んだゼノの言葉に、リタも力強く頷いた。


「その通りよ。それに、凄く驚いたわ。教会騎士団のあの加護の力。あれは紛う事なきソリタルア神のお力ね。教会に思うところはあるけれど、あなた達のあの力を見た時は嬉しかったの」

「嬉しい?」


 加護の力について凄いとか強いという感想はよく聞くが、嬉しいという感想はあまり聞かない。きょとんと首を傾げるダルセニアンに、ええ、とリタは笑って頷いた。


「主神への信仰がちゃんと存在し、その祈りが人々を守る力になっていること。それを見てあなた達がいればこの世界は何があっても大丈夫だと確信できた事が嬉しかったのよ」


 それはまるで、それが存在しなかった状況を知っている、という口ぶりだ。実際そうだったのだ、あちらの世界は。

 フィリシアや一部の聖女が尽力するだけで、正教会にはもはや信仰心などなく、神の加護を得る力など欠片もなかった。それは何も正教会だけでなく、あの世界に住む人々も同じだ。神の像や建物があったとしても、真に信仰をしていた者など、少なくなっていた。

 信仰心がなくなれば、主神といえども力が弱まる。

 それを知っているリタからすれば、教会騎士団が加護を得られる程の信仰心を持っている、というのは神に仕えた聖女の身としては嬉しい事なのだ。


「神への信仰は我らが産まれた時より側にあるもの。失う事など考えられぬ」

「ああ、お前さん達は信じられる」


 ゼノも大きく頷いて——それから眉根を寄せた。


「信仰心があっても、それを名目に厄介な事をする奴はいるんだがな」


 それは勿論、教会上層部の事だ。


「上がそうなら騎士団だってわからないんじゃないの?」


 そこに食いつくリタは、やはりまだ心の底では信じきれないものがあるからだ。

 それにはダルセニアンも苦笑した。


「我らは騎士団は動く理由が定められている上に、教義に反する事はしないという誓いを立てて騎士になっているからな。それを破らせかねない命令は、いかなセスパーダ(教会執行機関)といえども行えぬ」


 何より、とダルセニアンは胸に手を当てた。


「我らはここにフランメ(神の火)を刻み誓いを立てる。誓いに反した行動を取れば神の火により焼かれるのだ」

「え!? 本気で焼かれるの!?」

「ああ、焼かれる」

「へえ、あれ自然に焼かれてたのか。騎士団の誰かが裁いてんのかと思った」


 驚愕するリタに、ダルセニアンが力強く頷き、そこまでは知らなかったゼノが感心したように顎を擦る。


「その誓いを立てた騎士があんなにたくさんいるというの……」


 討伐任務に当たっていた騎士の数を思い浮かべ、リタが身震いした。

 教会の騎士は悪巧みには関わらない、とゼノが断言するのはそういう事かと、ようやく納得が出来たのだ。


「無論、すぐにどうこうという訳ではないが、誓いに反した行動を取っていると、本来は真紅のフランメの紋が徐々に黒ずみ熱を持ち始めるそうだ。その警告段階を無視しているとやがて身体が炎に包まれる——私も過去に一度だけ見た事があるが、あの炎は消せぬし、神の怒りを感じた」


 それに焼かれぬまでも、一度黒ずんだ紋が再び深紅に戻る事はないので、一生誓いに反した事を背負わねばならない、と結ばれごくりとリタが息を呑む。誓いの内容がどんなものかは知らないが、騎士になる者は随分と高潔な者が多いのかもしれない。

 だからこそ、ルクシリア皇国の騎士団と教会騎士団は世間の信頼が厚いのだ。どちらも紋をその身に刻み、その事に誇りを持って職務に当たっていると言える。


「そうなの……あなた達の事を誤解していたみたい」


 上層部や末端に信用ならない者はいるが、騎士団は敵ではないのだ。


「さて、どうであろうか。誓いに反しない範囲であれば自由に動けるのだ。御使い殿の敵には直接回らねども、ミルデスタのように行く手を阻む可能性はないとは言えぬ」


 油断はされるな、と当のダルセニアンに苦笑しながら忠告されて目を瞬いた。

 リタが解いた警戒心をわざわざ呼び起こさせるような物言いを、あえて行うダルセニアンにゼノが苦笑する。これこそが彼らが誠実であるとの証左のようなものだ。

 それを理解したリタも、肩から力を抜いて笑った。


「よくわかったわ。忠告ありがとう」


 和やかな空気の中、それを振り払うようにダルセニアンが軽く咳払いをして、改めて扉前に立つシュリーに目を向けた。


「それで、何故この二人がこのような格好で教会にいるのか。彼らの活躍は世間の知るところだ。教会が公に謝辞を述べるため招いたとて問題なかろう」


 シュリーの所属がどこかわからないため、誰による指示かを図りかねているための質問だ。


「お二人は、今宵開かれるソリタルア神へのご報告と感謝を捧げる会に招かれているのです」

「——なんだと」


 へえ、名目はご立派なもんだなと感心するように呟いたゼノの脇腹を、リタが黙れと肘で小突く。今回はネグレスの悪巧みのための会だ。それを騎士団に伝えているとはリタには到底思えない。

 案の定、ダルセニアンが険しい表情でシュリーを睨み付け、室内に漂う空気に剣呑さが混じる。だがシュリーは臆することなく微笑を浮かべたまま佇んでいる。


「我らは儀式が行われるなど聞いていない。それに、ソリタルア神への報告と感謝は、教会の最深部にある聖堂で行われるのが常だ。そこへの立ち入りは信者といえども限られる。信者以外を立ち入らせるなどあり得ない」

「聖堂には立ち入りません」


 厳しい口調のダルセニアンに、シュリーが穏やかに返して微笑んだ。


「お二方が聖堂に立ち入る事はございません。聖堂前広間に通じる通路に待機されます」


 その言葉にダルセニアンの眉間の皺が深くなった。信者以外を聖堂に立ち入らせるのは許し難いが、その手前の大広間にすら足を踏み入れさせずに通路にというのは、礼を尽くした対応とは言えない。それと同時に待機させるというのは、何かをさせるつもりだということが窺えて不穏なものを感じ取ったのだ。

 そして何よりも、その儀式が本当のものであれば、教会騎士団の団長であるダルセニアンにも、もう一人の団長であるジーンワイスにも声がかかっていないというのはおかしな話だ。

 ゼノやリタもダルセニアンにそんな事を匂わせるとはどういうつもりかと、シュリーの意図を図りかねて眉をひそめた。


「あの神聖な場所で何を——」

「東方方面騎士団長ダルセニアン殿」


 咎めるように口を開いたダルセニアンの言葉に被せるように、シュリーが静かに呼びかける。


「我々と共に何が起ころうとしているのかを見に参りませんか」

「シュリー!?」


 何考えてるの!?と驚くリタと目を瞠るダルセニアンをよそに、ゼノは、ははぁ、と顎を擦った。


「——君は教会の者ではないな」


 探るような言葉にシュリーが笑みを深くする。


「上からは、今宵の会に招かれていない教会の主要部署の方とお会いするような事があれば、お二人と共に通路へお誘いするよう申し付かっております」


 やはりハインリヒの指示かと、ゼノは得心したように頷きダルセニアンの肩にぽんと手を置いた。


「そういうことなら、ちゃんと見ておいた方がいい。下手すると教会内部の勢力図が大きく変わる可能性があるぜ」


 ゼノの言葉にダルセニアンの眉間の皺がますます深くなり、問いただすような視線で睨まれたがゼノは肩をすくめるだけだ。


「俺も実際のところ何が起こるのか詳しく知らねえ。だが、見とけ、と言われてんなら、今夜起こることを知っておかねえと今後の判断に惑う可能性があるってことだ。——特にお前さん達誓いを立てた者はな」


 自身の目で見て判断しろ、と諭されダルセニアンはぐっと唇を引き結びゼノとシュリーを交互に見据えた。

 逡巡したのは一瞬。

 ダルセニアンは、ふ、と息を吐くと頷いた。


「承知した。——ならばもう一人。西方方面騎士団長のジーンワイスも招いてよいか」

「勿論です。騎士団は教会の重要な武力。正しい情報を得る事が重要です」

「そうか、君は——いや、わかった。時間もなかろう。すぐにジーンワイスを呼ぶ」


 シュリーが何者かを理解したダルセニアンは、しかし追及はせずにすぐに扉を開け、部屋の入口の机に座る騎士に声をかけた。恐らく秘書的な役割を果たす騎士なのだろう。


「神聖なる聖堂を冒涜する行為は我らは見過ごさぬ。場合によっては貴殿らを力尽くで止める事もあり得るぞ」


 共に行くが状況によっては動く、と強い口調で宣言するダルセニアンに、シュリーがにっこりと笑って頷いた。


「ご心配なく。こちらのお二人は決してそのような行為はなさいません。——他の方は存じませんが」


 不穏な言葉と共に。



 * * *



 最奥の聖堂は、主神より原初の火を授かった場所に建てられたとの記述が残る、教会が興ってから一番神聖とされる場所だ。

 こちらの聖堂で祈りの儀式が行われるのは年に一度新年の祈りを捧げる時と特別な時だけだ。

 今回、ソリタルア神からの神託を受けた討伐が完了し、神への報告と加護の礼を述べる儀式が行われる事はなんら不思議はない。

 戻ってその日のうちに、というのは急ではあったが、いずれ必ず行わねばならない儀式だ。

 ヒヨリにとっても、この聖堂に堂々と足を踏み入れる理由が出来たのは都合が良かった。故に、この場に集っている面々の顔をヒヨリはよく見ていなかったし、自身の悪巧みの時には見掛けなくても不思議ではないので気付かなかったのだ。


 ——この場に、一番の功労者である騎士団の者が、誰一人として存在しないことを。そしてそれが暗示する事実を。


 聖堂に足を踏み入れ、そこに存在する主神の力に足を止め目を閉じる。

 一番尊き炎の光が聖堂内を柔らかく包み込んでいる。

 ヒヨリにとっては何度も足を踏み入れ、中途半端な力しか与えなかった神に内心で恨み言をぶつけることが多かった場所だ。

 だが今夜は、真に感謝を捧げられそうだ。

 ゆるりと目を開き、原初の火とそれが照らし出すソリタルア神像の前まで進み行くと、ヒヨリは静かに膝をついた。

 背後にはセスパーダの統括官達が一列に並んでヒヨリに倣う。

 聖堂に立ち入る事が許された者達も後に続き、彼らに倣って膝をついた。

 大広間に集う者達も、その場に跪く。

 聖堂と大広間に集う者達が跪き、祈りの姿勢を取ったことを確認しすれば、通路のひとつに待機する者が鐘を鳴らす。

 カラーン、カラーン、カラーンとやや落ち着いたトーンの澄んだ音色が三度響き渡り、儀式が始まった。


「我らを創り賜い、大いなる慈しみと愛を与え賜えし神よ」


 穏やかな声で語りかけるヒヨリの声の後に、集まった者達が復唱する。

 その祈りの力で聖堂と大広間に刻まれた魔法陣が淡く光る。


 ——セレーネ。よくも今までこの(わたくし)を騙してくれたわね


 ヒヨリは祈りの言葉を続けながら、自身に憑依したセレーネに向かって鋭い言葉を投げかけた。


 "……ふ、ふふっ……"


 今回の討伐の神託が下されてから、激しい頭痛により会話など成り立っていなかったセレーネの気配が動く。久々に耳にした押し殺した笑い声に忌々しく舌打ちを返す。


"随分な言葉だわ。私はちゃんとあなたの要望に応えてあげたのに"


 悪びれもせず答えるセレーネに、ヒヨリも冷ややかな反応を返す。


 ——要望? それはお前に思惑があったからこそでしょう。

"あなたの力になりたいという私の心を疑われるなど心外だわ"

 ——黙りなさい! ソリタルア神との繋がりをお前が遮断していたことはわかっているのよ。忌々しいあのリタの力のお陰でね。


 リタの名を出した途端に、セレーネが押し黙った。彼女にとっても想定外のことだったのだ。

 忌々しいが、あのタケハヤの勧めによってリタがヒヨリに力を与えたことにより、ヒヨリは様々な事を知り得た。

 ソリタルア神との繋がりを邪魔していた事に加え——ヒヨリの意識を奪ってこの身体をセレーネが自由に動かしていたことも。記憶に空白期間があることを認識したのだ。

 ここ数十年の間に、神の声により激しい不調を来すようになった。きっとその頃からセレーネが活発に動きだしたに違いない。

 セレーネはこの身体を乗っ取るつもりだ。

 それを、ソリタルア神が警告してくれている。


 ——お前の思惑は知れた。早々に私の中から追い出してあげるわ。


 今日、この場で。

 そう断言したヒヨリの言葉に返ってきたのは沈黙だ。

 セレーネを追い出す、という強い意志を込めて主神への祈りを捧げていたヒヨリは、それがセレーネへの攻撃となり言葉も返せないのだと判断し、祈りへの力を高めた。

 ふっ、と耳障りな笑い声が聞こえたのはその時だ。


"ふっ、……ふふふふっ、あーはっははははは!!"


 その頭の中に響き渡る哄笑を、ヒヨリは焦りも見せずに冷静に見据える。 


"まったく、リタにも困ったものだわ! 無意識とはいえあのような力を振るうなど! あの黄金(きん)の力を受けたのは初めてだけれど、噂に違わぬ力だわ! ——おかげで、私の計画が早まってしまったじゃないの"

 ——早まる?


 ぴくりと、ここにきてヒヨリはその言葉に引っかかりを覚えた。

 ヒヨリの反応に、セレーネがニヤニヤと嫌な笑いを浮かべているのがわかる。セレーネの顔など見たこともない筈なのに、何故か明瞭にその顔がわかった。こちらを見下し馬鹿にする、嫌らしい笑みだ。


"まあでも丁度良いタイミングだったわ。こちらの準備が整う前にアイツに手出しされるのは避けたかったから、私の力なしに追い払ってくれたのは助かったわ。お陰で時間が稼げたもの。アイツを堂々と裏切るには、まだ私に力が足りないのだもの"


 けれど。

 続いた言葉にゾクリとしたものを感じて、ヒヨリは胸の前で握りしめる拳に力を込めた。

 途端に、がくんと身体から力が抜けるのを感じる。


 ——えっ……

"あら、ようやく効いてきたようね。流石は千数百年の歴史の中で、一番霊力が強いだけのことはあるわ"


 身体に力が入らず、聖堂の床にどさりと倒れ込む。跪いていたため大きな衝撃は受けなかったが、身体にまったく力が入らない。


 ——なに、が……

"ねぇ、ヒヨリ"


 動けないヒヨリの耳元にセレーネがうっとりと囁く。


"身体から魂を引き剥がされるのが、どれほどの苦痛を伴うか知ってる?"


 なにを、と問い返す間もなく魂を襲った激痛に、ヒヨリはたまらず悲鳴を上げた。



 * * *



 聖堂内が見渡される大広間に通じる通路に、ゼノ達は身を隠すように立っていた。このような通路はここの他に八つあり、そこにもそれぞれ人がいるようだ。通路にはシスターの数が多い、というのはリタの言だ。


「結構な人数が集まっているんだな」

「セスパーダの管理官は全員揃っているようだが……広間に医師・薬学部署(ターザディスタ)聖女捜索部署(フィルディスタ)のトップはいるが、情報部署(ノトアディスタ)暗殺部署(コルテリオ)はいないようだな」


 広間を見渡しながら呟いたダルセニアンの言葉に、ジーンワイスも頷く。


「集まっている顔ぶれを見る限り、今回の討伐任務とはあまり関係のない者が多いようだ」


 ゼノやリタにはそのあたりは全然わからないが、教会騎士団長の二人が言うのだから間違いあるまい。


「あら、でも教皇がいるということは、コルテリオのトップはいるんじゃないの?」


 リタが広間に統括官達とは別に並んでいる教皇を指差しそう言えば、二人が微妙な表情を浮かべた。


「……それはどういう意味だろうか」


 それは、答えに想像はつくがそんな話は信じたくないという表情で、リタは思わず口を噤んだ。

 つい、上層部なら誰でも知っていることかと思っていたが、騎士団は別だったらしい。まあ別にリタが気にしてやる必要はないのだが。


「世界機構会議に参加したマルチネス教皇はコルテリオの隊長が扮していたわよ。今だって——あら?」


 並んでいる教皇の魂を読んでリタは目を瞬かせた。

 マルチネス教皇本人だったからだ。


「……世界機構会議の時だけ入れ替わっていたのかしら?」

「どういう意味でしょう」


 リタの呟きに過剰に反応したのはシュリーだ。


「世界機構会議の時の教皇は、間違いなくコルテリオのディラード隊長だったの。その話をしたら、本物は内部で消されたんだろうって言われたんだけど……今見るとマルチネス教皇本人なの。なら、消されていなかったということかしら」

「あるいは、ここで行われる事を知っていたから入れ替わったという可能性もありますよ」


 不穏だ。

 シュリーのその言葉に、ここで何があるのかがますますわからなくなる。

 そもそも、この通路に入るときからして怪しかったのだ。

 予めネグレスに場所を指定されていたのかと思いきや、シュリーは何かを見定めてからこの通路をわざわざ選んだ。何を確認したのかは聞いていないが、ここにいた者達をわざわざ人を使って退かせてまでこの通路を選んだのだ。ある程度の情報は知っているとみていい。


「コルテリオらしき者は広間にも通路にも混ざってるがな」


 壁に背を預け腕組みしながら広間を眺めているゼノが、気配を読みながら無感動にそう呟く。教皇が本人だろうが偽物だろうがゼノにとってはどうでもいいことだ。とにかくセレーネを討つ機を逃さない事にのみ神経を尖らせている。

 なんとなく嫌な予感を感じて広間を見つめていると、ヒヨリが侍女を従えて現れたので、前のめりになっていたのを一歩下がる。

 二言三言統括官達と会話を交わし、聖堂へ移動するために扉が開け放たれた瞬間、リタはよろりとよろけた。


「リタ殿!」


 シュリーが小声で叫び慌ててリタを支える。


「だ、大丈夫よ。ソリタルア神の神圧を感じただけ」


 支えるシュリーに笑顔で返しながら、体勢を整えて息を吐く。

 神圧を受けると想像していなかったために不意打ちを食らってしまった。


「流石は最奥の聖堂といったところか。ソリタルア神の力が強いってのはマジもんだな」


 ゼノが感心したように頷けば、意味がわからない団長二人が首を傾げたので、聖女の特性だと軽く説明してやれば、彼らも納得したように頷いた。


「ああ、あそこは本当に神のお力を感じられる場所なのだ」

「故に最も神聖とされる」


 どこか得意げなのは信徒たる所以か。そうこうしているうちに鐘が鳴り響き、聖堂や広間に集った者達が一斉に跪いた。団長達も跪かないまでも胸に手を当て最上位の礼をとる。

 ゼノは無言でその様子を眺めながらすいと壁から身体を起こした。

 皆が跪いてくれたお陰で、この通路からでも聖堂の奥まで見渡せた。

 シュリーから受けた注意は、儀式の最中に決してこの通路から外へ出ないことの一点のみだ。何が起こっても、儀式の最中は決して大広間に足を踏み入れてはならないと厳命されている。それは、ハインリヒからの忠告と同義なので破ると恐ろしい。

 ヒヨリの祈りの言葉が始まると、聖堂や大広間の床から淡い光と共に魔法陣が浮かび上がった。リタも知る力を強める魔法陣の類型だ。恐らくこの魔法陣で祈りの力を強めているのだろう。

 強まる祈りの力を見ながら、この神聖な儀式を邪魔するなどとはリタにも到底考えられなかった。

 粛々と祈りの言葉が続く中、どさり、と人の倒れる音が聞こえた。

 どこから、と周囲に目を向けたゼノは、大広間の中心部から人が次々と倒れてゆく様に眉根を寄せた。


「……リタみたいに神の力に耐えられずに倒れたか?」


 あるいは感極まって倒れたのか。

 敬虔な信徒には稀にそういうことがあるのを知っていたので、それか、と首を傾げたゼノの横で、リタの表情は険しさを増してゆく。


「……おかしいわ」

「あ?」


 大広間を睨み付けたまま呟かれた言葉に問い返す。


「魔法陣が、()()()()()()()()

「なに?」


 その言葉に大広間を振り返った時、魂が引き裂かれるような悲鳴が響き渡って、ゼノは思わず耳を押さえた。


「ぐぅ……!」

「ぐ……!」

「なっ……!」

「っ……!」

「ううっ……!」


 リタや団長達もあまりの悲鳴に耳を押さえてその場に蹲る。

 それが実際に音として存在しているのか、音なき音が頭の中に響き渡っているのかすら判断出来ないが、とにかく耐えがたい悲鳴だ。

 ゼノは左手で片耳を押さえて足を踏ん張り、右手に剣を顕現させてリタ達を庇うように立ち位置を変え大広間を見渡す。

 大広間で蹲って祈りを捧げていた人々は皆倒れ込んでぴくりともしない。そしてこの異常事態に通路で待機していた人々が動く気配も見えない。

 その悲鳴を合図とするかのように、大広間の中心部に浮き上がっていた魔法陣がどんどん広がってゆき、ついには広間から伸びる通路にまで広がって行くのをゼノは呆然と見つめた。

 ゼノ達がいる通路にも魔法陣は広がってきて、すぐ足下にまで迫ってきたそれに剣を突き立てようと構えたとき、何かに弾かれるように魔法陣が動きを止めたのを認めて剣を止める。


「なんだ、これは……」


 響き渡る悲鳴は間断なく続き、それ自体がまるで生き物のようにゼノ達に襲いかかってくるようだ。


「ああ……!」


 足下で絶望したようなリタの声が聞こえて視線を落とせば、両耳を押さえたまま、はらはらと涙を流している。


「こんな……なんて、酷いっ……」


 何が起こっているのかがわかっているのか。

 そう問いたくてもこの悲鳴の中で思考を保つのは中々厳しく、ゼノは歯を食いしばって大広間へ目を戻した。

 通路を含めて最早立っている者など一人もいない。

 ヒヨリが聖堂の最奥で倒れている姿もハッキリと見えた。


 ——ならこれは、セレーネの仕業か


 そう認識した瞬間、ゼノはその悲鳴を斬り捨てるように剣を振るった。 

 途端に、水を打ったように静寂が訪れる。

 突然止んだ悲鳴を警戒するように、剣を構えたまま大広間から聖堂を見渡す。魔法陣はまだ消失せずに起動したままだ。

 それをひと睨みし、広間に足を踏み入れようとしたところを誰かに足を掴まれた。

 見下ろせば、シュリーが青い顔をしたままゼノの足を両手で掴んでいる。


「いけません。魔法陣が起動している間は、踏み込んではいけません……! 長官から厳しく言われています……!!」


 その言葉に、ぴくりと片眉をあげる。

 ハインリヒは()()を知っていたのだ。

 この通路に魔法陣が入ってこなかったのは、ここまで来ないよう何かを施していたからに他ならない。


「何が起こってる」

「私にもわかりません。けれど、この魔法陣には例えゼノ殿でも触れさせてはならないと、強く申しつかっています!!」


 必死に止めるシュリーを振り解くことは出来る。だが、ハインリヒが止めるほどの魔術だというのであれば、ゼノであっても確かに危険だ。

 何の魔術かはわからないが、ゼノとて無謀を冒す気はない。

 縋り付くように張り付いているシュリーに、わかった、と小さく呟き、その場に跪いてシュリーの肩を叩いた。


「起動している間は動かねえから安心しろ」


 それに、起動中の魔法陣に下手な横槍を入れるとどのような暴走を引き起こすかもわからない。場合によっては教会自体が吹っ飛ぶ恐れだってある。そうなればここにいる者たちも無事では済むまい。

 魔法陣の中にいる連中が無事かどうかはわからねえがな。

 チラリと魔法陣に目をやり、それから未だ蹲ったまま涙を流すリタの肩を叩いた。


「リタ」

「……ああ、ああ、ゼノ……こんなことって……こんな酷いこと……」


 普段では決して見せない、狼狽えてゼノに取り縋るリタの姿に内心で眉根を寄せ、安心させるように背を撫でる。


「落ち着け。どうした。何が起こってるのかお前さんにはわかっているのか」


 落ち着かせるように背を撫でながら優しく問えば、リタが顔を押さえてゼノの胸にもたれかかってきた。その身体が震えているのは嘆きか恐怖か——それとも怒りか。


「酷い……こんな、魂を……、玩具のように扱うなんて……」

「それは、セレーネの仕業か」


 リタは、酷い、酷いと繰り返すだけでそれ以上の言葉を返さない。これほど動揺を見せる姿は初めてで、抱き留めて頭と背を優しく撫で続ける。


「酷く扱われているのは……ヒヨリか」


 びくりと肩が跳ねたことで、そうか、とゼノは静かに呟いた。

 チラリと団長二人を見遣れば、彼らは耳から手が離れてはいるものの、そのままの格好でただ呆然と大広間を見つめている。

 しばらくリタを落ち着かせるように抱きしめたまま背をぽんぽんと叩いていたが、背後で魔法が消失した気配にそっと振り返り愕然とする。

 ここからでもハッキリと見えていた、教会のシンボルともいうべき原初の火。教会が存在してから絶やされることのなかった、ソリタルア神から賜ったとされる原初の炎が、最奥の聖堂から消えている。

 これは——と息を呑んだ時、気付いた。

 最奥の聖堂でゆっくりと起き上がる人物。

 一瞬でこの場に漂ったその気配に怖気を震う。

 それは、つい先程までは確かに感じていた、神の気配と同等の。


「——ああ」


 吐息と共に漏れた声が、これほど離れたゼノの耳にもハッキリと聞こえた。

 まるで、耳元で囁かれたかのように。

 ゆっくりと立ち上がった人物は、自らの身体が動くことを噛みしめるように両手を広げて、笑った。


「なんて久しぶりの身体の感覚。——ああ。動けるって素晴らしいわ」


 翻るウェーブのかかった黒髪と、黒い力。 

 その力が聖堂を巡り大広間を舐めるように広がってゆく。


「ねぇ。そう思わなくて? ——ゼノ」


 黒の聖女セレーネが、蠱惑的な微笑を浮かべながら、ゼノに呼びかけた。

 


 


いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。

いつも投稿文が書き終わってからタイトルを付けるのですが、これにいつも頭を抱えます。

タイトルと名前を考えるのはとても重労働です……


あとここで言うなという感じですが、ヒヨリの身体を操るのと、実際に自分の身体として動かすのとは感覚が違うからの発現です。

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