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『俺に青春の二文字はない(前編)』

予約投稿してるつもりでしたが、明日の20時になってました…

 



「お兄ちゃん忘れ物ない?」


「ない、確認したから...」


「じゃあ良し!後からお弁当持って見に行くからね!頑張ってね」


 体育祭当日になって、家から出る時に有栖からそう言われた。


 俺はその言葉に苦笑し「行ってきます」と言ってから外へ出た。


「暑いな...」


 流石に体育祭当日に雨...ということも無く空は快晴だった。


 この時期梅雨だったり、雨になるかと思われたが快晴だったことに嬉しがった人は少なくはないだろう。


 俺は暑すぎるので曇りくらいがちょうどいいと思う。


 結局は人それぞれの感想でしかないのだが、今日は暑い、それは皆が思うことだろうな。


「おー綾早いじゃん!」


 俺が正門を通ろうとしていると後ろにいた悟から声をかけられた。


「いや、悟が今日早いだけだと思うんだけど...」


 俺はいつも通りの時間で来ているため、悟が緊張して早く来たということはわかってしまう。


 何故なら悟は毎朝遅刻ギリギリの人間だからだ、雅先生も少しお手上げ状態で諦め気味だとのことだった、相談が俺にくるし、愚痴も俺にくるので少しは早く来てほしいと思っていたが今日だけ早くても困る。


「あれ?そうだっけ?俺いつもこれくらいに行ってるんだけどな〜」


「どこかで寄り道したり、休んだりなにかしてるんだろ...」


 俺がそう言うと「あ!この間外国人のお姉さん助けたんだっけな、めっちゃ美人だった、連絡先貰えたけどいる?」などと言っていることから普段から善人なのだろうが美人じゃないと動く気になれないらしい。


「それで悟は毎回遅いんだね...」


 突然会話の和に入ってくる竜馬、少しだけ話を聞いていたようだった。


「柊くんたち朝から仲良いね〜」


 今来たところだろうか?笹木さんもこちらへ寄ってきていた。


「今日は体育祭だからか皆早いんだな...」


 ほぼ全員が時間より早めに来ていることから意識しているのだろう。


「そうなんだよねぇ〜、皆早すぎ!」


「いかにも緊張してる人いるよね」


 俺が「ほらあそこ」と言って見てみると、佐藤遥さん、実行委員の人は緊張しまくっていた。


 体育祭では良く動かされるのが実行委員なので大変だと思う。


 隣になっている渡辺翔太くんも緊張しているようで、何か二人で笑いあって喋っていた。


 緊張を解しているのだろう。


 それにしても実行委員になってからあの二人は良く関わるようになった気がする。


 どことなく距離も近くなってきているので、何かあったのは確かなことだろうが俺とはほとんど関わりが無いため気にしないでおくことにした。



 ◇



 時間になるとピストルの音が鳴っていた、放送委員の声も聞こえなくはないが正直いってカメラマンなどのシャッター音がうるさく感じてくる。


「うわぁ〜めっちゃ多いな〜」


「こんな中仮装レースしないといけない俺の身になってみろよ...」


 俺が皮肉混じりにそう言ってみると「ごめんごめん」と悟に笑われていた。


 絶対に煽ってるな...と思ったがスルーすることに決めた。


「そう言えば綾、体調は大丈夫なんですか?」


 心配されたような声で志乃亜に聞かれるが、正直に言うと体調はそこまで良くない。


「大丈夫だ」


 だがこういう時に余計な心配をかけるのは申し訳ないと思い強がることにした。


「なら良かったです、体調が悪くなったらすぐに言ってください」


「はいはい」


 志乃亜に対してお前は俺の母親か、とでも思ってしまったが心から心配しているみたいなので心の中で仕舞っておくことした。


「それよりもさ....話長くねぇか?」


 悟の言葉に一同はシーンとなってしまった、何故なのかと言うと...校長の話はめちゃくちゃ長かった。


「「長い...」」


 途中で見かねた教頭が校長に対して耳打ちをしていてそこら辺で長話は終わりを告げた。



 ◇



『最初の競技は期待の仮装レースからです!』


 放送委員の声が周りに響いていた。


「仮装レースからって最初から行かないとダメじゃん...」


「ほら、綾早く行きますよ」


 俺の文句をスルーして、連れていこうとしていた。


「ほらなんか並んでる人皆イケメンじゃん...」


「り、綾もカッコイイので大丈夫です。安心して競技に集中してください。まず綾のことで何か言ったらお父様に頼んで社会的に...いえ何でもないので精一杯頑張りましょう」


 なんかめちゃくちゃ不安な声が聞こえた気がするけど仕方ない、目の前のことに集中しよう。


 仮装レースは1年部が最初にスタート、1年部が終わってからまた、仮装をセットし2年部がスタートになる。


 ただ走って着替えるだけの競技だが、周りの顔面偏差値が高すぎる気がする。


「場違いだけど頑張ろ...」


 そんなことを言っていると『位置についてよーいドン!』と放送委員が言っていた。


 とりあえず走ってから、第一のお題が書いてある場所まで来た。


「あれ...えーとさ、サンタさん!?」


 比較的良心的なサンタさんに着替えるらしい、簡易的な着替え室が何個も用意されているのでそこで着替えることにした。


「め、メリークリスマス?」


 俺がそう言うと他にも着替えていた人が笑っていた。


 どうやらセリフまでは言わなくていいらしい。


「「うおおおおおおおおおお!!!!!」」


 いきなり男子が大声を出していたので志乃亜の方を見るとメイド服姿だった。


「これ、考えた人アウトだよね...」


「後で考えた人殺し...なんでもありません。気にしないでください」


 俺の視線に気がついたらしく、急いで次のお題を取っていた。


「次のお題は...と」


 そこに書かれていたのは、囚人と書いてあった。


「白黒の服じゃん...まだマシかも...」


 そう言って着替えてから外へ出るとまだ誰もいないので走って次のところに行こうとしていた。


『おーっと囚人服の生徒が一歩リードしています。ここで先程のメイド服の生徒が出てきました!魔女です、魔女です!!』


 魔女という言葉からして、志乃亜は魔女の仮装をしているのだろう。


「「うおおおおおおおおおおお!!!!」」


 先程の男子たちがまた声をあげている。少し気持ち悪いと思ってしまうが黙っておこう。


 チラリと俺も志乃亜を見たが、魔女の仮装だった。


「次のお題は...」


 俺は一歩リードしているのでみんなより少し早めにお題を見れた。


「執事かぁ...」


 俺の次のお題は執事だった、まだ比較的にましな感じのお題なのですぐに着替えることにした。


『おっと!ここで囚人が執事になってでてきました!髪が白くてとても似合ってますね!』


 放送委員が、そんなことを言っているがあまり耳に入らなかった。


『おおおおっと!!先程の魔女さんは女王様衣装になってます。その隣の人はナース!その隣の人は───』


 どうやら結構盛り上がっているらしい、ちなみに志乃亜の姿を見た男子は「ヴァァァ!」と声を出していたが喉がやられた男子が多数でたらしい。


「最後のお題は白馬の王子様?」


 着替え室に入ると置いてあったのは白いタキシードで着替えると白一色の男になってしまった。


「白馬いないんだけど...」


 俺のツッコミには誰も反応してくれる人がいなかった。


『執事が白一色になってでてきました。お題を確認中です、えーと白馬の王子様です!隣の女王様は花嫁姿になってます!その隣のナースだった人は───』


 どうやら志乃亜の最後の仮装は花嫁らしい、俺の王子様?並に注目を浴びていた。

 カメラマンも連写の音がうるさかったので睨んだらやめてくれた。


 俺も花嫁姿の志乃亜を一目見て置こうかなと思って振り向いたら、めっちゃ綺麗な志乃亜がいた。


『おっと、ここで花嫁が前に出ました!』


 もちろん、見とれてしまって走るのをやめてしまっていたらしい。

 急いでゴールに向かうが志乃亜に速さで勝てる訳もなく2位に終わった。


「綾、お疲れ様です」


「あぁ。お疲れ様」


 あと少しで1位だったのに...気を抜かずに前だけ見とけば良かった。


 いや、花嫁姿も見れて良かったし1位2位でゴールしたから結果的には良い方で終わったのかな?


 そう思いながら休憩をしていた。

次で三章が終わりです。

長くなると予想して前編後編にしてみました。

それでも3500文字になりました。

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