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『寝るのは川の字で』

 



 悟と竜馬と別れてから、家にすぐに帰ることにした。

 有栖がメッセージにて『今日は楓ちゃん特製の料理だからなるべく急いで帰ってきてね〜』とのこのだった。


 昨日俺が料理をしている姿を眺めているとなにか思うところでもあったのだろうか。


 少し走って帰る、ある程度といっても軽く走る程度なら体力はついた。

 家の前まで行くと、横の家が目に入ってしまうが、急いで帰らないとということが頭いっぱいで俺は自分の家へと入った。


「ただいま」


 俺がそう言うと有栖と楓ちゃんが「おかえり」と迎え入れてくれた。


「お兄ちゃん、楓ちゃん明日土曜日だし今日泊まることにしたからよろしくね〜」


「了解っと、あれ?最近泊まり多いけどご両親は大丈夫なの?」


「は、はい。両親は共働きでほとんど家に帰ってこないので...兄は家にいることがほとんどないみたいでいつもどこかに行ってます...」


 兄の話をする時は少し俯いてる辺りを見ればまだ引きずっているということだろう。


「そう?なら良かった、両親が心配してるなら報告にでもしに行こうかと悩んでたよ」


 俺はいかにも気にしてないかのように振る舞うことにした。


「大丈夫だと思います。何かあれば報告は私がしますので...」


 少し安心したのか、落ち着いて話せてるようで良かった。


「それにしても今日は楓ちゃんの手料理って聞いたんだけど...美味しそうな匂いがするね」


「味見したんだけど超美味しかったよ!」


「うわぁ、楽しみになってきた」


「あ、あんまり期待しないでください...」


 顔が赤いことから少し恥ずかしいのだろうか?まぁ、有栖が美味しいというくらい美味しいだろうな...と思いとりあえず自室に戻って着替えてからリビングへ向かった。


「お兄ちゃんこっちこっち!」


 そう言うと俺の席がもう決められているらしい。


「なんか俺のだけ豪華すぎない?」


 そう、俺のところに置かれている料理だけ、豪華に、そして綺麗に盛り付けがされていた。


「楓ちゃんが、張り切って作ったら量を多くしすぎたみたいで...お兄ちゃんならこれぐらい食べきれるよね?」


「ま、まぁいけなくはないだろうけど」


「じゃあ、頑張ってね!」


 その日はめちゃくちゃ食べて運動なんかできなくなってしまった。

 楓ちゃんの料理は美味しかったけど少しポンコツだというのがわかった。


 それでも食べきった俺の姿を見て喜んでいたのを見たら食べきれて良かったと思った。


「それじゃあ、おやすみ」


「?何言ってるの?お兄ちゃん」


「ん?俺変なこと言ったか?」


「今日は皆で寝ようよ!」


「「え?」」


 有栖の爆弾発言に対して、俺と楓ちゃんはびっくりして口が開いたままになっている。


「一緒に?寝るのか?」


「?そうだけど?」


「あ、有栖ちゃん流石にそれは...」


 流石に良くないということを俺と楓ちゃんは必死に伝えるがこういうところで少し天然な有栖には伝わることはなかった。


「川の字やってみたかったんだ!」


「有栖ちゃん...そうだね、確かにやってみたかったかも」


 聞く話によると、楓ちゃんの両親は中学になると仕事人間になってから家族で関わることが減っていったらしい。


 なのでこういうことをしたという記憶があまりないらしい。


「じゃあおやすみ〜お兄ちゃん、楓ちゃん」


 呑気な有栖に対して俺と楓ちゃんは「おやすみ」と一言返した。


 少しして有栖のいびき声が聞こえてから俺も寝ることにした。


「綾さん...起きてますか?」


「起きてるけど...何?」


「いえ、いつも有栖ちゃんには仲良くさせてもらってます」


「そう言うけど有栖も楓ちゃんの話をよくするようになってきてるから」


 そう返し、何度か会話をしたら楓ちゃんも寝てしまった。

 俺は一人になると少し落ち着けるようにリビングに移動する。


 自室に戻って寝ようかと思ったが有栖に怒られそうなのでいつもより早くに起きてリビングにいれば大丈夫だろうという考えだ。


 我ながら適当な考えだがそれくらいしか落ち着いて寝ることができなさそうなのでそうさせてもらう事にする。



 ◇



 目が覚めると、予定通り早起きができたみたいだった。有栖も楓ちゃんも寝ているみたいなので俺は簡単に朝食を作ってから『二度寝します』と紙に書いておいた。


 正直眠りが浅かったので二度寝しようと思っていたので眠りにつこうかと考えた。


「お兄ちゃん起きて!」


 数十分後に起こされてしまったがまぁいいかとすぐに目を擦る。


「おはよう」


「お兄ちゃんおはよ〜!今日はお出かけの日だよ?二度寝はよくないと思うなぁ?」


 そうだった、土曜日は三人でお出かけをすると言う約束をしていた気がする。


「そうだったな...いつ行くんだ?」


「今からだよ!」


「急だね...」


「ギリギリまで寝かしてあげたんだけどね...」


 その言葉を聞くと俺が先程寝たばかりだということが分かったのか少し申し訳なさそうな顔をする有栖に「気にしなくていい」と言って準備を始めた。


「楓ちゃんは?」


「1度家に帰ってからくるらしいよ?」


「了解、それじゃ少し待とうか」


 俺たちが適当に話して時間を潰していると楓ちゃんが「お待たせしました」とやってきた。


「よし、じゃあ行こっか」


 そこから俺たち三人は洋服屋さんに向かっていくことになった。


「お兄ちゃんこれ似合うと思うよ!」


「ん?じゃあ、試着してくる」


 俺が肌白いことをいいことに着せ替え人形になっていた。

 後から楓ちゃんも良さそうな服を見つけてくれたので何着か買うことにした。


 次は楓ちゃんと有栖の服選びで数店舗もお店を回ったことは言うまでもない。


 デートの時には女子の服を必ず褒めよう...そう思った日だった。


「お昼にしよっかお兄ちゃん!」


「楓ちゃんはそれでいい?」


 有栖が突然そう言ってくるので俺は楓ちゃんに聞いてみると「大丈夫です」と返事が返ってきたので近場の喫茶店に入ることにした。


 その店に入るとある人物が二人、目に入った。




 俺の幼馴染である、春宮千里。


 楓ちゃんの兄である、新城颯馬。


 この二人と俺たち三人は休日に出会ってしまった───。

少しずつ幼馴染を絡めていこうと考えました。


次回、新城颯馬元凶であるだろう彼と綾がやっと会話をします。


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