表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/46

『種目決め』

 



 あれから数日が経った今は種目決め中だった。

 俺たちが通う橋宮高校は生徒たちの話し合いの中で決まるらしい。


「体育祭実行委員になりました。佐藤遥(さとうはるか)です。よろしくお願いします」


「同じく...渡辺翔太(わたなべしょうた)です」


 いかにも真面目そうな、眼鏡をかけた女子が実行委員になったらしい、もう1人は男なのだが頼りなさそう。


「挨拶も済んだことで、早速本題に移らせていただきます、まずクラス一人一人の種目決めを行います、今から各種目を言っていきますので立候補したい人は手を挙げてください」


 そう言い出してから少し間をあけ、種目を言い始めた。


「まず、100メートル走やりたい方いますか?」


 俺はすぐに手を挙げておく、まぁ100メートル走って楽だしね。

 すると周りを見ると丁度定員が1人オーバーとなってしまっていた。


「それでは集まって話し合いかジャンケンなど好きなように決めてください」


 そう言われると俺は面倒くさそうに「抜ける」と一言だけ言って次の競技を選ぼうと思った。


 100メートル走を諦めたのは単純でみんな楽したいという気持ちがある、それで100メートル走が取り合いになってしまった。


 俺の場合迷惑をかけないようにできる種目を選んでるだけなんだが...ジャンケンとか昔から弱いので恥晒す前に大人ぶって譲ってあげることにした。


「次に障害物競走...です」


 男子の渡辺くん?が喋っていた、すると手が上がったのが志乃亜だった。


 志乃亜が手を挙げると何故か男子も手を挙げてえぐい事になってしまっている。


「綾、なんで100メートル走抜けた?」


 突然大野に声をかけられたが人が密集してるのを見て「面倒くさそう」と一言だけ返した。


 障害物競走については体育の成績が良い人になってしまった。

 男子の参加が多すぎてジャンケンなどでは決めるのに時間がかかるということからそうなったらしい。


「それしにしても神城さんの人気は凄いな...」


 大野が言う通りだった、志乃亜は何故か一部に人気でそれが数カ月経ち夏になった今は1年生では知らない人がいないと言ってもいいくらいになっていた。


「そうだな」


 返事が適当のように聞こえてしまっただろうか、本当にすごいのでこんな返事しかできなかった。


「否定はしないんだな」


 そう言われるが俺は首を傾げて「?実際に凄いからな」と言い放ち実行委員の話を聞くことにした。


「次に仮装レースです!これは今年から生徒会での話し合いの結果できた競技です」


 か、仮装レース?何それ、めっちゃ楽しくなさそうなやつだな。


 どうやらルールは簡単で、スタートして第1ポイントで仮装のお題が書かれた札を取り、第2ポイント、第3ポイント、第4ポイントとあり、各ポイントで仮装に必要な衣装を身につけゴールに向かうということだった。


「これ神城ちゃんにやってほしい〜!」


 男子の誰かがそう言ってしまい、みんなの視線が志乃亜へと向かっていく。


「・・・わかりました。やらせていただきます」


 少し拗ねているみたいだったがやるみたいだった。

 まぁ、そういう流れになってたし仕方ないだろうけど。


 これは衣装の都合上男女各1人ずつだったのでもう1人を決めるのに皆が悩んでいた。


「よし、それなら柊くんお願いできるかな?」


 今までずっと黙って見ていた雅先生が俺に向かって言う。


 なんで俺なんだよ、面倒なこと押し付けるのか...いやまぁここで関わりが長いのは俺だろうけど。


「わかりました」


 俺の個人競技1つ目は仮装レースという訳のわからないので決まってしまった。


「ちゃんと次の選んだやつは優遇させてあげるから安心していい」


 そう言われると俺は少し安心した、もう1つも変なのになってしまったら俺の体育祭が悲しい思い出で終わるところだった。


「次にパン食い競走...です」


 そう言うと後ろの大野が「はい!」と大きな声で手を挙げていた。

 こいつパン食いたいだけだな...と思ったが黙っておこう。


 何故後ろに大野がいるかというと、夏になって席替えをした。

 その時にたまたま大野になっただけだ。


 俺の席は廊下側の後ろから2番目で、大野が廊下側の角になっている。

 志乃亜は逆に窓側の1番前で結構離れており、赤野は俺たちの列の1番前にいた。


「それでは次の競技にいきます。借り物競争」


 そう言われた瞬間に俺は手を挙げた、もう借り物競走で決まるのはわかっているのだがこういう決める時少し皆より早くと思ってしまう。


「じゃあ、柊くんは決定ね」

 

 雅先生がそう言うと渡辺くんが、早速黒板に俺の名前を書いたが柊としか書いてくれないことから名前を覚えられてはいないだろうと判断した。


 なんか、種目は決まったのに心が傷ついた、名前覚えられてなさすぎ...。


 その後も個人競技は決まっていき団体競技へと種目決めが始まるのかと思ったが今日はここまでだったらしい。


 その日の午前の授業が終わり、昼休みになっていた。


「この人貰っていきます」


 大野と少しだけ話をしていたら志乃亜にそう言われて俺は連れ出されてしまった。


 全く何がしたいんだ?と少し疑問に思ったが黙っておこう。


 まるで志乃亜に物かのような扱いを受けてしまったがそれを流し何か志乃亜にもあるのだろうと大人しく連れ去られた。

皆さんは仮装レースという競技知ってますか?

私はふと気になって競技のことを調べるまで知りませんでした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ