『女性恐怖症と白髪①』
それから俺は家に引きこもっていた、理由は単純、学校に行く気力も勇気もなかった。
幸い、俺の親はいるのだが再婚し義母今はラブラブで新だ旅行中に加え新婚旅行が終わった後にすぐ海外出張があるということで俺と義妹が家にいるということになる。
「お兄ちゃん今日も無理なの?」
「あ、あぁ...」
「・・・そう、わかった。きつくなったらそれ話してね?」
「・・・」
義妹の有栖にはこのことを話していない。
有栖と千里の関係はそこまで良くなく、俺が中学になるまでまともに名前も知らなかったらしい。
今でも名前の知ってる知人か、ご近所さんとしか思ってないらしい。
結構前に聞いたときはそりゃそうか、と納得しているし、今思えば妹には関わらせたくないと思った。
「それじゃ、行ってくるから戸締り宜しく〜お兄ちゃん」
少し背が小さくそう言ってくる有栖は案外可愛い、家族としてだけど。
お兄ちゃんはシスコンになるかもしれない...と冗談を考えつくあたりまだ大丈夫なのだろうか?
「行ってらっしゃい...」
そう言って頑張った微笑みで言ってみたが有栖はそれを見て「クスクス」と笑っていた。
「はいはい〜お兄ちゃんも安静にしててね」
そう言って扉を開けると「あっ」と有栖が声を出した。
「あの、綾くん大丈夫ですか?」
「ちょっと待ってね〜」
戻ってきた有栖は俺の顔を見て何かを察してくれたらしい。
俺の状況は声を聞いただけなのに恐怖感が出てき過呼吸を起こしてしまった。
「お兄ちゃん今は具合悪いらしいよ〜私もやっぱり残って看病するね、えーと春宮さん?」
隣の家なのに名前もほとんど覚えてない風に話す有栖は何かあったと察してくれたのだろう、少し怒っているようにも聞こえる声だった。
「わかりました。早く治るといいですね...綾くんにゆっくり休んでくださいと伝えてください」
「はいはーい」
呑気そうな声で返す有栖、扉を閉じ俺の前まで来て、苦しそうに座り込んでる俺を見て言った。
「お兄ちゃん、とりあえず病院行こっか...髪の毛もなんか白いけど大丈夫かな?あ、私今日休むからね?」
「わかった...」
そう言うと俺たちは着替えある程度大きめの病院に向かうことにした。
向かう途中女性を見かけると恐怖心に襲われてしまう。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「あ、あぁ。できるだけ病院の医者は男性で頼んでくれ...」
「?わかった」
俺は自分である程度調べていた。女性に恐怖心を覚えるのは十中八九女性恐怖症であることが多いらしい。
俺の今の状態は非常にこの状態に似ている気がする。
なので診察の時女性の医師だと大変になるかもしれないと思ったからだ。
◇
病院に着き、有栖が看護師と色々お話しているらしい。
「柊さん、柊綾さんはいらっしゃいますか?」
看護師の声を聞くだけでビクッとしてしまうが部屋に入ると男性の医師だけになっていた。
「やぁ、えーと柊くん、だね?僕は坂上晴人、よろしく」
「柊...綾です」
「それじゃあ、診察を始めるけど、まず男性の医師が良いと言ったことに対して聞いていいかな?」
「は、はい」
有栖がいるのである程度の事を伏せたが、とある事情があって、その日から女性を見たり、声を聞いたりするだけで恐怖心に襲われるということをお話した。
「その、恐怖心はここに来るまでにも何度もあったのかい?」
「そう...ですね」
「そちらの...妹さんには何も恐怖心は感じない?」
「はい」
その後何度か似たような質問を繰り返されてから、その場の医師としての結果みたいなのがでてきた。
「まぁ、その症状からして綾くんが思ってる通りで間違っていないと思うよ、まぁ女性恐怖症ってやつだね。女性に対して恐怖心、不快感、他にも話した時に赤面しちゃったりとか症状は色々あるけどそれの一つに当てはまってるから、間違いないかな」
「やっぱり、そうなんですね」
「先生、それって治るんですか?」
俺と坂上先生がお話ししている時に大人しかった有栖がいきなり声をだす。
「そうだね、話を聞く限り、僕の予想だけど彼女さんかな?んーとまぁ浮気...ということになるんだろうね」
「浮気?あのクソ女がしたの?お兄ちゃん」
「それは帰ってからゆっくり話すから...」
有栖が妙に怒気を放つので俺も坂上先生もびっくりしていた。
「それで、精神的や心理的な理由が関係して女性恐怖症になることが多いんだ。それで最も治りにくいとは言わないけどなかなか困難なのが女性の浮気などのトラウマが治るのが厳しいと言った方がいいかな」
「そう...なんですか?」
「そうだよ。何故かと言うと女性に対してマイナス的なイメージを持っているでしょ?今」
「そうですね...」
「人ってのはプラスな出来事よりマイナスな出来事をよく記憶に残るんだ。だからトラウマなどからくる女性恐怖症は少し厄介と言えるかな」
そう言って場が沈黙に襲われる。
それを破ったのは坂上先生だった。
「まぁ、困ったら僕に頼っていいよ。何かの縁だからね。それと女性恐怖症の治し方はトラウマと向き合うことだから、少し向き合うといいかも、逆に悪影響になる可能性もあるから気をつけてね」
そう言って傍においてあったコップを持ち上げ、珈琲 (匂いからして)を飲んで次の話に移った。
「それで、その髪の毛についてなんだけど...」
そう言うと俺も有栖も唾を飲み込んでゆっくり聞いた。
正直俺も有栖もなんなのか全くわからなかったが実際に何なのかはここで知りたいと思っていた。
「ストレス、ショックからくるものだね、今の状態からすると1年後には真っ白になってるかもね?」
「そんなので髪が白くなるんですか?」
「そうだね、まぁ白くなっても真っ白くなるまでには数年かかったりするんだよね、実際これは本人のストレスだったり、ショックな出来事だったり、精神的なものが関係してくるから未だにわからないこともあるんだ。多分これは悪化していくか、一時的になってるだけかだとおもうけど、綾くん。君の場合は数日でそこまでなってるから1年で真っ白くなるかもね」
そう言われてから少し今後のことを3人で話した。
坂上先生は何故か親身になって話してくれて俺は頼れる先生だな...と思った。
だけど結局俺は何も立ち向かうことなどできなかった。
白髪や女性恐怖症についてはネットによって調べた知識を活用していますので専門家ではありませんので間違った知識があるかと思いますがご愛嬌ということで暖かい目で見て頂けると幸いです。