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『私が憧れたのは②』

続きます。

今回の話は3600文字と長いです。

キリのいい感じに分けたつもりでしたが②が長くなってしまいました。

 



 高校生になり、私は綾くんと遊ぶことが少しずつ減っていった。


 綾くんは何度もデートのお誘いがきていた、それも毎週のようにきていた。

 その連絡はとても嬉しいのだが、こちらの事を考えているのか不思議になってきていた。


 だが少し考えればわかる事だった、綾くんは恋人ができるのは恐らく私と同じで初めてて何をしたらいいのか全く分からないと思う。


 高校になるまではたくさん遊んだりしたのだが高校になってから同じクラスだと言うのに、あまり話さない。


 そんな状況が少し続いていた。



 ◇



 ある日私は1人でショッピングモールへ来ていた。

 文房具や、参考書など、少し買いたかったものがあったからだ。


 綾くんもこういう買い物をしたかったのだろうか、と買いながら考えていたが最近は遊びに行けていないので今度からきちんと誘いに応えようと思った。


 結局その日の買い物は文房具だけに済ませてから、参考書は綾くんと一緒に見に行こうと思って帰ろうとしていた。


「ねぇ、君今1人?お兄さん達とお茶でもしない?奢るからさ...」


 そう言ってきた大学生くらいの、お兄さんは私を通せんぼするかのように前に突っ立っていた。


「や、やめてください」


「いいじゃん、ちょっとだけお兄さん達といいことしようよ?楽しいよ〜」


「おい!俺の彼女に何するんだ!」


 え?彼女、私が?ということなら綾くんが来てくれたのかな?


「チッ彼氏持ちかよ、帰るぞ」


 私が彼氏持ちとわかると大学生のお兄さん達はそそくさと逃げていった。


「大丈夫だった?」


 そう声をかけてきた男性は綾くんではなく、顔はイケメンな男性だった。


「先程は助けていただきあ、ありがとございました...」


 お礼をして、その場を立ち去ろうとしたがその男性は「待って」と声をかけてきた。


「どうかしましたか?」


「さっきの男達に彼氏って言っちゃったからね...君とすぐ離れたら監視してる可能性もあるから、離れない方がいいと思ったんだ」


 彼が言うことは尤もな話だった、彼が嘘をついて先程の大学生が私のことを...いや私たちのことをカップルだと誤認している可能性がある。


 そこで私達がここで解散になると監視してる可能性がある、大学生に私が襲われるかもしれないと心配してくれていた。


 綾くんと似てる...気がする。


 彼の行動を、綾くんと比べてしまうのは申し訳ないが、行動が綾くんに凄く似ていた。


 それがこの人新城颯馬さんの第一印象だった。



 その日は結局家まで送って貰うこととなってしまいました。


「今日は本当にありがとうございました...また別の機会にお礼をさせていただきます」


「わかった、それじゃあこれ俺の連絡先だから、登録しといて」


「わかりました、これで大丈夫ですか?」


 私は家族と、綾くん以外の連絡先は香織ちゃんのくらいしかないため、連絡先の交換などほぼする機会がなかったので新鮮味を覚えた。



 ◇



『昨日は本当にありがとうございました。お礼についてですけど、時間がある日を教えていただきますでしょうか?』


 翌日私は昨日のお礼のメッセージと、お礼についてのメッセージを送っていた。


 こういうのは早く済ませるのが良いと、どこかで聞いた気がする。


『じゃあ、今週の日曜日で』


『わかりました。日曜日に駅前集合で大丈夫でしょうか?』


『それでいいよ』


 直ぐにメッセージが届いた。


 今思えばここで関係を切るべきだったのかもしれないと思う。


 日曜日当日、予定の時間より少し早めに来ていた。

 こういうのは5分前行動!遅れるのが女の子って感じな気もするけど早めに行くのもいいよね。


『ごめん、待ったかな?』


 5分後時間ぴったりに新城さんがやってきていた。

 この時、この人は時間通りに動く人なんだな、と少し思ってしまった。


 綾くんは初デートの時に、30分前に集合場所に着いていた。


 私は10分前に来たので20分程待たせていたことになる。


 その事を話したら顔が真っ赤になってしまう綾くんも天然らしさが出ていて可愛い、カッコイイけど...。


『それじゃあ、行こっか』


 何処に行くのだろうか?お礼をしようとしたのに新城さんがエスコートをしているような気がした。


 これが年上というものなのだろうか?


 その日はこの間のショッピングにきていた。


『この間はここで男に声をかけられてたよね』


『そうですね、あの日は何故か声をかけられてしまいました』


 そう言うと『千里ちゃんは可愛いからね』と目を見て言われてしまった。


 こんなことを言ってくれるのは綾くんを除いて初めてでとても嬉しかった。


『今日はショッピングしようか』


『わ、わかりました』


 一体何を買うのだろうか?そんなことを考えながら新城さんの後をついてく。


 歩くスピードをこちらに合わせてくれていて、ショッピングで買ったものなども新城さんが持ってくれていた。


 少し申し訳なかったが『いいよいいよ』と優しく声をかけてくれたのでお言葉に甘えることにした。


 その日は軽く昼食をとり、解散となったが『また誘っていいかな?』と言われたので『いつでもどうぞ』と返事をした。


 それから数回会い、私と颯馬さんは仲良くなっている。


 着実に信用し合い、お互いのことも理解してきている頃だと思う。


 ある日『土曜日空いてる?』と颯馬さんからメッセージが届いた。

 なので『空いてますよ』と返信をしたらもう1件メッセージが届いた。


 そのメッセージの相手は綾くんだった、用件は颯馬さんと一緒で『ねぇ千里今週の土曜日遊ばない?』とメッセージが届いてきた。


 私は少し悩み、綾くんには申し訳がないが、颯馬さんを優先させてもらおう。


 そこでふと気がついた、綾くんになんて言って断るべきなのだろうか?その日は他の男の人と会う約束してるからごめんね!これはいかにも浮気をしていると勘違いされてしまうのではないのだろうか?


 そう思われるのはやっぱり嫌だ、私はやっとの思いで付き合ったのに綾くんに嫌われることはしたくないと思った。


『ごめんね、綾くん。その日は絢瀬(あやせ)さんと遊ぶ約束があって...』


 初めて綾くんに対して嘘をついてしまった、罪悪感があったが、これくらいのことしか私にはできなかった。


 この時ほど正直に話すべきだったのではないか?と後悔した日はないだろう。



 途中の飲食店で私はトイレに席を立った。その後からの記憶が曖昧だ。


 綾くんから電話がかかってきたのは覚えているがその後に対してはあまり覚えていなかった。




 ◇



 次の日、少しやつれてしまった綾くんがいた、私を見ると怯えて、何かに怖がっているかのようだった。


 その次の日も、その次の日も綾くんは私に顔を見せることはなかった。


 次に顔を見れた時は綾くんの髪の毛が白くなっていた、後から妹さんに聞いたけど『精神的なもの』と言っていて私に対して『彼女面しないでください』と言い放ってきた。


 私は彼女に対して何かした覚えもないけど、あの記憶のない時間に何か起きたのかもしれないと思い、颯馬さんに連絡をした。


 1ヶ月後、私と綾くんは1度も顔を合わせることがなかった。

 綾くんは治療のため長期間の休みがあると、先生が言っていた。


 2ヶ月後、綾くんを1目だけ見かけることができた、だけど目は死んでいて、隣には妹さんがいた。

 髪の毛の方も少し白くなってきていた。

 あれは悪化しているということで間違いないのだろう。


 半年後、私は綾くんが本当に好きなのかわからなくなってきていた。


 半年も彼女を放置するのだろうか?そんなことを思って仕方がなかった。

 颯馬さんに相談をしてみると『俺なら放置しないのに...』と言ってきて『お試しでいいから俺と付き合わないか?』と言ってきた。


 少し悩んでしまったが綾くんは私を放置した、私が要らないということだろう。

 そう思い『お試しからお願いします』と返事を送った。


 それから半年間付き合い、先日ファーストキスは颯馬さんによって奪われてしまった。


 その瞬間を綾くんに見られてしまっていた。『綾くん!』と声をかけたが、振り向かれることはなかった。





 私が憧れたのは、かっこよくて私なんかを気づかってくれる綾くん。彼は憧れだった。


 私が憧れたのは綾くんだったはずなのに、次第に颯馬さんに塗り替えられてしまっていた。


 私はどこで間違ってしまったのだろう?


 そんなことをずっと考えていた。


綾の初デートは志乃亜ちゃんとの夏祭りですが、千里ちゃんは自分が初デートだと思ってます。

まぁ小さい時なのでほぼノーカンだと思いますけど。



これにて幼馴染の裏切りの内容は終わりです。

次回から綾の方に戻ります。今日はなんと...3話投稿します!(現在2話目)



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