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『私が憧れたのは①』

 



 私の名前は春宮千里(はるみやちさと)、綾くんの幼馴染。


 私の誇り?みたいなのは綾くんと幼馴染だということだった。


 綾くんは保育園の頃からずっと一緒だったけど話すようになったのは小学6年生になってすぐの時の事だった。


 私は今のようになるまでに時間がかかってしまい、小学生の頃はよく虐められていた、それを救ってくれたのが綾くんだった。


『千里をいじめるな!俺が相手になってやる!』


 この時の綾くんと言えば1番輝いていた時期の綾くんだと思う。


 まるで物語に出てくる王子様のように私を救ってくれたのが綾くんだった。


『ありがとう...綾くん』


『気にすんな!何かあれば俺が守ってやるからな!』


 そう言ってもらえて初めて私は救われた気がした。

 これが私の初恋だった。中学生になり、いつしか綾くんを目で追いかけることが多くなった。


 綾くんはクラスの中心的人物でいつも私より眩しかった。


 そんな綾くんは誰にでも差別をせずきちんと対応していた。

 ある日私が『何でいじめられてた時助けてくれたの?』と聞いたことがあった。


 その時の答えがこうだ『いじめなんか小さなことしてたらお母さんが良い大人になれないって昔から言ってたんだ』とどこか懐かしむように言っていた。


 後から聞いた話だけど綾くんのお父さんは今は再婚しているが、綾くんを産んですぐに亡くなってしまったらしい。


 その数年でお母さんのことを覚えていると言ったらお母さんの一つ一つの発言を覚えているということだった。


 綾くんの記憶力の良さはそこからきているのだろうと少しほっこりした。


 綾くんの周りにはいつもたくさんの人が集まっていて、たくさんの人が笑顔だった。

 私も中学1年生の2学期半ば頃からはそこに混ざってよく話すようになった。



 ◇


『春宮!少し手伝ってくれないか?』


 ある日私が当時の担任だった先生にプリントの持ち運びを手伝ってくれと頼まれた。


『わかりました』


 もちろん、先生の頼みならば応えないと...!と意気込んではいたが途中でつこけてプリントをばら撒くという失態をおかしてしまったことがあった。


 周りの人達は『だっせぇ〜』『つこけてるし!』『ドジだわ』などと陰口のような声が聞こえた。


 そんな中でも『大丈夫か!?』と綾くんは声をかけてくれた。


『おいお前らも手伝え!』


 綾くんがそう言うと『綾が言うなら...』とみんなで手伝ってくれてすぐに集め終わった。


 そんなふうに私を助けてくれる、そんな綾くんが好きになっていた。




 ◇


 

 私が自分を抑えれなくなった決め手は修学旅行だった。


 修学旅行は2泊3日で京都だった、男子と女子で班を分けるのだがその時に私が1人浮いてしまうという出来事が起きてしまった。


 当時綾くんのおかげでいい感じに話していた子達もみんな班を組んでいて、私が1人困っていると綾くんが何か女子と話し込んでいた。


 話の内容までは聞くことはできなかったけど私のことで話してくれていたのだろう。


 こちらに気がついた女子は私に声をかけ『うちの班にくる?』と声をかけてくれた。


 もちろん、声をかけられた嬉しさから少し涙が出てしまい、少しだけ大きな騒動となってしまったが私としてはいい思い出だった。



 修学旅行当日も何度が私がドジをしたことがあったが綾くんはその度助けてくれて何とか無事に終えることができた。



 ◇



 修学旅行が終わり、私たちも受験に向けて頑張るようになった。


 それは綾くんも同じようでどうやら、志望校はこっちじゃかなりの進学校と言われているところだった。


 綾くんから聞いた時は友達と遊ぶ時間を優先してたから受かるかどうか、少し不安らしい。


 綾くんでも不安になったりするんだ...と少し安心した日でもあった。


 頭が元から良い綾くんは友達付き合いもきちんとし、両立をしていた、この姿を見た時は差があるな...とどこか遠くを見ていた気がする。


 私も必死に勉強して、進学校を受けてもいいと親にも相談を繰り返し、ようやく許可が出た。


 今までの私の学力ではギリギリだというラインで先生も親ももう少し落としたら?という反応だったと思う。


 それから毎日勉強をし、遊ぶ時間も消し去り、綾くんを眺めるのも少しだけにした。


 もちろん、綾くんと一緒にお勉強できないか?と相談をした、幸い隣の家だった為、綾くんも快く受け入れてくれた。



 ◇



 受験当日、私の場合綾くんとは釣り合うことがないと思っていて、受験に受かることができたら告白しよう、そう思っていた。


 結果受験に受かり、綾くんと同じ高校に入学することが決まった。




 卒業式の日、みんなと別れるということで泣いていた。

 もちろん私も泣いてしまったけど、綾くんは泣かなかった。


 人一倍別れの辛さを知っているであろう彼は私たちよりも強い存在なんだなということに気付かされてしまった。


 私が到底釣り合えるはずのない存在だということに打ちのめされてしまった。


 それでも告白はきちんとした。

 私へのケジメとして行った行動だと思う。



『綾くん...ずっと、ずっと好きでした。付き合ってください!』


『俺でよければ付き合うよ』


 返事はまさかのOKだったということに驚きを隠せなかったが嬉しかった。


 ずっとずっと、憧れて、ずっとずっと好いていた綾くんとやっと恋人になれたということに嬉しさを隠せなかった。


 今までのたくさんのアピール、夏祭り、体育大会、音楽祭、初詣、たくさん一緒に過ごしてずっとアピールし続けていた。


 それが実ったと思うと、やはり嬉しい、綾くんも顔が真っ赤になっていた。


 同じ気持ちだったのかな?と思ってしまうとこっちも恥ずかしくなってきちゃった。


 高校でもずっと、ずっと一緒に過ごせる、そう思っていた。





 だけど、私と綾くんの関係は次第に壊れていくことになった───。

そろそろ、千里の裏切り視点も出さないと...と思い書き出しました。綾は千里から全面的に逃げているのでいつ交わるのかはまだ不明。

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