『幼馴染』
前に書いていた新作です。
胸糞注意です。
小学生の頃、俺の幼馴染である春宮千里はよくいじめられていた。
理由は特になかったが子供のいじめだ、そんなに高校生のいじめと違い可愛らしいものだったが小学生の頃の千里にとってはそれがとても苦しかったらしい。
「千里をいじめるな!俺が相手になってやる!」
そう言ったのがこの全てのきっかけだったのかもしれない。
「ありがとう...綾くん」
あぁ、そう言えば俺の名前は柊綾だ。
「気にすんな!何かあれば俺が守ってやるからな!」
「うん!ありがとう、綾くん!!」
思えばこの時の千里は世間という広さを知らなかっただけなのかも知れない。そう思ったけど俺は自分に満足し、彼女の状況にも満足していた。
いつも隣に俺がいればいいと思ってたからだ。
目の前にいる手を差し伸べてくれる人がいればいいのかも知れない。
そんな気持ちはいつからか頭の中から消し去っていた。
◇
月日は過ぎ中学校になると千里からついに告白された。
「綾くん...ずっと、ずっと好きでした。付き合ってください!」
「俺でよければ付き合うよ」
「綾くんじゃないと嫌...」
そういう千里はとても可愛らしかった。千里は中学でも密かに人気が高く幼馴染というポジション、そして"当時"クラスの中心的ポジションだった俺と付き合ったことに文句を言う人はいなかった。
「綾くん、今度水族館行こう!」
「いいよ、次の土曜日とかどう?」
「うん!その日10時から、んー駅前で待ち合わせね!」
「わかった。って家の前で良くないか?隣同士だし」
「こういうのは待ち合わせしたいの!」
「・・・はいはい」
この時、俺は幸せと思っていたのだろう、今思えばそんなこともくだらない事だと思ってしまう。
中学校卒業をみんなが気にし始めた時、これからもずっと一緒だと思っていた。
「綾くん、高校も一緒のとこ行こうね!」
そう言ってくれた時は俺もとても嬉しがっていた事を覚えている。
高校も一緒の場に行けるというのは嬉しいことだった、ずっと一緒だと信じて止まなかったからだ。
中学校卒業の日は少し忙しかったが会える時間が結構できた。
「あのね・・・綾くん...」
突然話しかけられたことにびっくりした俺は優しく「何?」と聞いた。
「これからもずっと、ずっと一緒に居ようね!」
「あぁ、そうだな」
千里は笑顔で俺に声をかけ俺も少し微笑んで返事を返した。
昔みたいに騒がしい感じではなく、この頃の俺は少し落ち着いた感じになっていた。
クラスのムードメーカーは別にいて、俺は落ち着いた明るい感じのポジションだった。
高校受験が終わり、俺と千里は受験に受かった。
そこまでは一般並に仲のいいカップルだったと思う。
◇
高校生になりもう1ヶ月がすぎていこうとしていた時だった。
最近の千里との付き合いが悪くなってきているそんな気がしていた。
「ねぇ千里今週の土曜日遊ばない?」
「ごめんね、綾くん。その日は絢瀬さんと遊ぶ約束があって...」
「それなら仕方ないか...じゃあ来週の土曜日は?」
「それも来週にならないと分からないかな...ごめんね綾くん...」
「いや、それなら仕方ないからいいよ」
そう、ここ1ヶ月で彼女であり、幼馴染である千里が俺以外はいらないと言っていた千里が俺より友達を優先していることに少し嫉妬してしまったが、友達付き合いというものは大切だと思って我慢していた。
だが、最近になってきて怪しさが溢れてくるようなことがあった。
『なぁ、絢瀬さん土曜日に千里と遊ぶ約束してたか?』
『そんなのしてないけど...』
『そっか、ありがとう』
『何かあったの?』
『いや、なんでもないから』
そう言って何度も絢瀬にお礼のメールを送った。
多分千里の彼氏ということもあり、連絡先を交換した記憶があるけど使ったのは今回が初めてだった。
千里は嘘をついている、それだけが頭に入りこんなの、夢だと思いたかった。
土曜日になり俺は千里の後をつけていくことにした。
本当はこんなことしたくなかったけど、それでも友達と遊ぶだけなら嘘をつく必要がないと思ったからだ。
待ち合わせ場所であろう駅前に着くと千里は突っ立てスマホを弄っていた。早く絢瀬でも誰でもいいから来てくれ...そう思った。
その場に来たのは変な男だった、いかにもチャラい男だった。
2人は会ってすぐに腕を組み、色々なお店を回っていた。
それはまさに恋人のような感じだった。
俺ではない他の男に向ける笑顔はとても可愛くて綺麗だった。
時刻もいい時間になって来ていて解散かな?と思ったがどうやら違うようだ。
2人はラブホ街に向かっていた、何か間違いかと思い、俺は千里に電話をかける。
「もしもし」
『もしもし、どうしたの綾くん?』
「いや、もう帰ったかな?って思ってさ」
『まだ絢瀬さんと一緒にいるよ』
「そ、そうなんだ。今度は一緒に行こうな?」
『そうだね!一緒行こうね』
「それじゃあ、楽しんでね」
『うん!ありがとう、大好きだよ!』
俺は返事をせずに電話を切った。目の前にいる千里は面倒くさそうにスマホから手を離し男と腕を組み直し、ラブホテルに入って行った。
俺はハッとし2人の歩いている後ろ姿をスマホの写真に収めた、こういう時は写真に証拠として撮れと聞いたことがあったからだ、その後しばらくして家に帰った。
女性、いや彼女、幼馴染というのは平然と嘘をつけるものなんだなと思った。
俺たちの関係はそれくらいで潰れるものじゃないと思いたかった。
初めて恐怖を覚えたのかもしれない、今まで幸せだと思っていた分が不幸に回ってきただけだと思う。
この日俺は初めて今までの人生を後悔したと思う。
今後皆さんが予想される所謂『ざまぁ』展開ですが書くかどうかハッキリしていない為キーワードにはざまぁと書いておりません。
書くとしても物語中盤終わり辺りだと私は予想しています。
感想についてですが落ち着くまでは書けないようになります。
更新も落ち着いたら解放していきたいと思います。