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虚無論

作者: 神無桂花
掲載日:2020/07/20

 虚しさ、というのだろうか。この胸に巣食う感情は。

 クリアできないゲームの電源を落とす感覚で、人生投げてしまいたくなる。

 いや、ゲームはまだ良い。負けてもまた挑戦できる。ボスはそこで待ってくれている。 

 でも現実は、クリアできなかったら? 躓いたら? 難易度が跳ねあがっていく。挑むための難易度すら。でもどこかでクリアしなければいけないことばかり。

 僕は青春がしたいと昨日まで思っていた。大学四年生。学生でいられるのは残り半年。既に半分は、わけもわからず、何も許されず。食いつぶされた。

 出不精な僕が、今年は夏祭りや花火大会、学祭に行こうと思っていた年を、ピンポイントで狙ったかのように潰された。毎年旅行だけは行っていたけど。もう近所の人から白い目で見られる覚悟で、親から勘当される覚悟で行ってこようかな。

 悲しいでも悔しいでもなく。虚しい。

 七月ももう後半、内定はまだもらっていない。進んでいるのは、書いてる小説のストーリーと、時間だけ。

 この間行った合同企業説明会で、少し話した採用担当の人から、就活本気じゃないでしょと見抜かれた。僕は熱心な就活生の真似は下手みたいだ。

 もう一年欲しい。毎日思う。大学四年生を満足に上手に過ごすチャンスが、もう一年欲しい。

 でも、ふと考える。仮に、満足いく学生生活を、大学からとは言わず、小学生からやり直して、上手に過ごせたとして、部活では後輩から尊敬を集め、大会でも優秀な成績。勉学でもテストでは上位に毎回乗る。委員会では委員長として、教師からの信頼を集め。恋人を作り。放課後は制服でデート。何て。

 そんなお手本のような青春を過ごしたとして、僕は素直に熱心に就活して、就職して、仕事をして、一生を終えようと思えるのだろうか。

 僕は、死にたいというより、生きるのが怖い人が多い気がする。

 例えば、恋人が欲しい人がいたとして、筋トレして、髪形も整えて、ファッションの勉強をして、肌も綺麗にして、その努力の結果、憧れの人を射止めて、恋人ができたとして。

 じゃあ、その先は?

 その先に、何が待っているのだろう? 幸せなイチャラブ生活が待っているかもしれない。それなら良いだろう。おめでとう。

 でも、何かしらのすれ違いがあって、別れたら? 浮気されたら?

 絶望を乗り越えるのは、並大抵のことじゃないし、引きずるし、乗り越えたと思っても、時折思い返して、やはりまだ乗り越えてないと思ってしまうもの、という話は一旦置いておこう。

 もう一つ例を。

 夢、例えば、そうだな。作家になりたいとしよう。

 毎日三千字。コツコツと。調子が良い日は一万字とか書いちゃう。

 webに投稿し、新人賞にも毎回応募して。ようやく自分の物語が世に出せる機会を手に入れた。有名な新人賞だ。初動の売り上げは期待できる。売り上げがあれば、続きを出す機会が手に入る。

 あっ、好きな作家の本や好きな会社のゲームはちゃんと買おう。嫌儲主義は人に押し付けるものじゃないから。資本主義だから、金が無いと死ぬから。売り上げ無いと続きも新作も出せないから。僕が一万近くするPCノベルゲームを買う理由はそこら辺の現実も含まれる。

 話が逸れた。小説と違ってすぐ話逸らしちゃうな。はぁ。エッセイ向いてない。

 ようやく店頭に自分の本が並んだ。けれどどうだろう。一巻は売れた、じゃあ二巻、三巻は。もし売れなかったら? 自分が書いた渾身の物語が、世に認められなかったら?

 希望を抱き、目標を見据え、全身全霊で臨んだ。それに届いた。でも、その先に道が無かった。

 届かなかったなら、まだ良いさ。そういうもんだって笑える。僕は笑えないけど。

 届いたけど、その先が無かった時、人はどうしたら良いのだろう。

 人は、何をもって満足とすれば良いのだろう。人は、どこをゴールとすれば良いのだろう。

 ここまで考えた時、僕は幸せというものがわからなくなりました。

 胸を支配したのは虚無でした。どうしようもない虚無でした。

 何を食べても何を飲んでも、誰と話しても好きなゲームで遊んでも、好きなアニメを見ても好きな本を読んでも、終わってふとした時、虚無は心を厚く覆っていく。

 僕は一人だ。この虚無に共感してくれる人はいるだろうか。いると期待するから文字に起こして投稿なんてしているんだけど。

 生きることに対するそこはかとない恐怖心。これからも長い道を生きていかなければならないという絶望感、僕はそれをずっと感じていた。ここまで共感してくれた人は、一人だけいた。嬉しかった。

 それをより深め、理解しようとした途端、僕はここまでずっと述べている虚無を感じた。 

 生きていかなければならない。けれど、満足も、幸福も、もしかしたら得られないかもしれない。 

 そう考えた時、生きることに、恐怖を感じた。

 僕はこれからしばらく。言葉を通じて、幸福と満足を追求し続ける。僕が生きることに飽きる。諦める。見切りをつけるその時まで。

 少なくとも僕はまだ、物を書くことに可能性を感じている。物を書くことに、充足感を感じている。ある種の最後の砦だ。

 虚無を上手く表現できたのかわからない。

 生きるのが上手な人は、そもそもこんなもの感じないのかな。それとも僕が人生向いてないのか。









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