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神、世界をタダす  作者: 絶
7/21

小さな勇気、新たな気持ち


「そこで集めた情報をまとめようと思う」


 早めに策を考えたい。このままでは俺達も混沌(カオス)に飲み込まれてしまう。


「メーテ、リタから教えてもらったやつを説明して」


 メーテはリタから聞いた話をほかのみんなに話した。

 みんなの頭の中は納得と驚きだろう。また、不可解なところも気づいているようだ。


「今、聞いてもらった話は一部おかしいところがある。多分、真実とは少し異なる内容だろう。それを踏まえた上で何か調査してわかったことはあるか」

「隊長」


 手を挙げたのはヘーラだった。


「実は廃棄された研究所みたいなのがいくつかありまして」


 ヘーラはいくつかの村に行き俺とメーテのように追い返された。

 しかし、村から少し離れたところに谷があり、その下に研究所を見つけたらしい。

 中はそのまま残されていて今でも使えるようだったがほとんどの資料はダメだった。

 唯一形を残していた資料が1つあった。資料は一部しか読めなく、そこにはUPVと書いてあったという。


「見た感じ、それについての研究施設だったのではないかと思います」


 確かにUPVの研究施設の可能性は高い。


「俺もいいか、隊長さん」


 突然、セイが声を上げた。


「俺は似たような研究施設である資料を見つけた。そこには"UPVで・・・に近づ・・・掌握する"。これ以上は読めなかったしほかの資料もダメだった」


 何かを掌握するためにUPVを作ったということか。


「あー、その計画は一度失敗してるぜ」

「えっ、パトス。それはどういうこと?」

「とある小屋に科学者の日記があって、そこにUPVを使った計画は失敗したと書いてあったから」


 集めた情報はたくさんあったが、ほとんどがかけているものだった。

 それらは確証できるほど深いものではない。

 やはりもっと深い情報がないと。

 壁の中も調査するしかない。絶対、この中には確証に代わる情報がある。


「カヤ、空間移動で壁の中へ移動したいけどいける」

「はい、大丈夫です」


 俺たちは人気のないところに空間移動した。

 移動したあと、すぐにヘーラが洋服を用意した。

 確かにこの軍服で街中を調査したらやばそうだし、警戒されるよな。リタの時のように。



 俺たちは街中で調査をした。しかし、今以上の事は知ることができなかった。

 それにしてもこの街は広いな。壁の端から端まで百キロくらいはあるから。

 そこには草木が生い茂り、川があり魚や虫などの生物もいる。

 壁の外とは大違いだ。まさに、天国と地獄だな。


「どうするんですか、隊長さん。僕たち、これから。優秀なんだから考えがあるんでしょう」

「今、考えているから少し待って」


 優秀だのなんだのってばっか言うな。

 俺だって急がないといけないのわかっているんだ。

 そんな俺にとある光景が目に映った。

 俺より少し下のような白髪の子が一回り上の大男に絡まれているではないか。しかも、その大男はナイフを出している。

 俺はとっさに駆け寄って、抱き着いた。

 痛い。背中の方がやけに痛い。

 俺は刺されたのだろう。


「なんだ、お前。そいつをかばうのか」

「自分より小さな子にそのナイフを振るお前こそなんなんだ」

「そいつは悪魔の子だ。あの研究者たちが作った悪魔だ。そんなのが街を歩いているのが目障りなんだよ」


 悪魔の子だの作られただのどうでもいい。傷つけられた時の気持ちが痛いほどわかるから。

 本当につらくなる。自分より大きな人にやられるのはなおの事。


「じゃあ、無視しておけばいいだろ。ナイフなんて出して傷つける必要なんてないだ。

「なんだと」


 男はもう一度ナイフで刺そうとしてきた。

 でもいいんだ。俺は慣れている。

 この子が傷付かないで済むならいいんだ。

 多分、俺は刺されても死ぬことはないはず。

 この子さえ守れれば。

 しかし、俺の背中にナイフが背中に刺さることはなかった。


「おい、お前。これ以上辞めないなら僕たちがお前を殺すぞ」


 そこには堪忍袋の緒が切れたみんながいた。

 大男は初めのうちはなんだみたいな顔をしていたけど、次第に怖くなったのかどこかへ行ってしまった。

 何はともあれこの子に傷一つつかなかったことがよかった。


「大丈夫だった。怖かったよね」

「いいえ。いつもの事なので」


 表情一つ変えずに答えた。て言うか、いつもこんなことがあるの。かわいそう。


「助けていただいてありがとうございます。シンといいます」

「シンか。俺はアーレっていうんだよろしく」


 シンは律儀に挨拶をしてくれた。いい子だな。こんな子が悪魔の子か。


「そろそろ、帰らないといけないのでお礼はいつかさせてもらいます」


 そういってシンは小走りに帰って行った。

 俺はというとメーテに怒鳴られて泣かれた。

 そのあと、魔法で傷を治してもらいしばらく抱き着かれていた。


「隊長、少しいいですか」


 みんな、真剣に見てきた。なんだなんだ、みんなで怒鳴るのか。


「すみませんでした」


 急に頭を深々と下げてきた。ほかの三人も同じように。


「今までひどいことばかり。さっきの見てひどいことしてたんだ。本当にごめんなさい」

「いいよ。俺も今、みんないい人だって知れたし。あと、隊長じゃなくてアーレって呼んでくれるとありがたいかな」


 パトスとセイは読んでくれるようになったけど女子二人は隊長と呼ばせてほしいらしい。

 隊のみんなと仲良くなれたみたいだからいいか。


「アーレ、あれ」


 メーテが指をさした先には白衣を着ている人、科学者がいる。

 これは後ろをつけていけば何かわかるかもしれない。


「追うぞ」

「隊長、姿を消していきましょう」


 カヤは能力を使ってほかの人から視認されないようにしてくれた。

 便利だな。これで後を追いやすくなった。

 科学者はさっきシンと同じ方向、街の方ではない方に行っている。

 シンは科学者が作った悪魔の子って言ってたから、何か関係しているのかな。

 聞いておけばよかった。


 科学者は屋敷に入っていった。

 そこは見た感じ普通の屋敷。外見を見てもただの屋敷。

 研究施設ではなく普通に家なのかもしれない。


『アーレ、侵入するか』


 パトスはカヤの通信能力を利用してとても侵入する気で聞いてきたが、ここが普通に家だった場合は大変なことになりそうだな。


「うーん、カヤ。この能力はどれくらい持つ?」

『えっとですね。一日ほど持ちますけど』


 案外持つんだな。それならやるか。


「中に入るぞ。全員気を付ける事」

『『『『『了解』』』』』』


 こうして俺たちは屋敷に入ることを決めた。

 屋敷は案外広かった。

 屋敷を散策していると扉があいているところがあった。

 そこにはあの科学者と子供が六人。その中にシンがいた。

読んでくだりありがとうございます。

自分で書いていてアーレがかっこいいなと思ってしまいました。

次回もお楽しみに……

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