生命力のない世界
バイオワールド編はじまります。
俺たちは世界についた。
朝のはずなのに曇っている日が差し込まない。
そこは草木も生えていない平地で、空気も悪く感じる。
「よし、まずはこの世界の事を調べるか。何もわからないと、どこにコスモスがあるかわからないから。明後日のこの時間にここ集合でいいよな」
メーテは元気に返事をしているけどほか4人はから返事。
やはり、4人は乗り気じゃない。よし、頑張っていかないと。信頼も獲得したいし。
この世界が混沌に飲まれるまで約2か月。それまでにこの世界の世界の源を探し、世界をリセットするしかない。
「みんな行ったけど、私たちはどうする」
「俺らも行くよ。東の方に行こうか」
東の方に8キロほど歩いてたとこに村を見つけた。
しかし、村は閑散としている。本当に村で、人はいるのか。
「あんたら、科学者かね」
ある建物の中から人が出てきた。おばさんだった。
でも、その外見は肌色以外にピンクやオレンジ、緑の色の肌をしている部分がある。
この人は人なのか。世界にはそういう人もいるのか。
「いえ、違います。俺たちは遠くから旅をしているものです。この辺があまりわからなくて」
「そうなのかい。Sエリアから来たのかい」
「いいえ、Sエリアってなんなのでしょう」
「Sエリアから来ていない。だが、わしが知っている限りあそこ以外にUPVが広がっていない場所はないはず」
この世界には、何か危険なものがあるのか。
先ほど降りたとこに草木が生えていないのも関係しているのか。
このおばさんは何かを知っているのかもしれない。
「おばさん、この国の事やさっき言ってたSエリアとか教えてもらえませんか」
「よそ者は帰ってくれ」
そういわれ、俺たちは追い払われた。
ほかの人にも聞くが追い払われてしまう。
少しあの時を思い出す。
「この世界の人もよそ者だから追い払うなんてひどいね、アーレ」
「まあ、しょうがないよ。ほかのとこから来た人が怖いんだよ。後考えられるのは、情報規制されているかだけど」
普通に考えれば怖いのだと思うけど、もし情報規制だったらかなりやばい国だ。環境を見ればわかる。草木が生えていない中でどうやって食料生産をしているのだろう。
初めに行った村やさっき行った村でも畑はなかったし家畜もいなかった。もしかしたらどこか他の場所で生産していて必要な分だけ配給されているのでは。
あと、この世界には科学者がいる。
「メーテ、最初に行った村の近くに戻ろう」
「どうして?」
「少し確認したいことがある」
俺とメーテは初めに訪れた村へ戻った。
ちょうど昼を過ぎごろだ。
村から離れた岩陰に着いた。
そこから村の様子を確認する。
「アーレ、なんか生きていたころ思い出すね」
「何言っているんだ。こないだまで生きていただろ」
「そうだけど、よくこうして遠くにいる動物を見たなーって。思い出したしちゃったんだよ」
「そうだな」
生きているときに森の奥に行ってこうして動物を見ていたな。
こないだまで生きていたのに、こうやって思い出してみるとかなり前に感じる。
たった3週間前の事だったのに。
村を監視していたら日が暮れていた。
今日は何も起こりそうにないと思ったとき、遠くから何か来ている。それは2台のトラックだった。
トラックは村に入り人々はその周りに集まる。
トラックの中からは肌色の肌をして武装している男が数人出てきて荷台を開けた。
荷台からはやはり食料が出てきた。
推測していた通りだった。
だが、あの男たちは科学者には見えない。
食料を下してトラックは走り出した。
「メーテ、あのトラックを追うぞ」
俺らはトラックと一定間隔をたもって追いかけた。
あのトラックの行く先になんとなく答えがある気がした。
もしかしたらSエリアという所に行くのかもしれない。
「ねえ、少し遠すぎない?」
「しょうがないだろ、周りに隠れられるものがないんだもん」
ずっと見晴らしがいい道だから近付こうにも近づけない。
「じゃあ、空を飛べばいいじゃん。空だったら雲に隠れられるんだから」
「確かに」
何でこんなことに気付かなかったのだろう。
空飛んで飛行すれば基本周りを気にせず移動出来る。
もし、空を見られても雲で気づかれることはない。
しかも遠くの様子も確認できる。
「メーテ、空飛んでいこ」
俺は恥ずかしい。
思いっきり夜空に向けて飛び立つ。前にはできなかった体験だ。
「空を飛ぶって気持ちいね、アーレ」
「そうだな」
空を飛ぶのは確かに気持ち。
だが、周りを見ると数十キロ先まで草木は生えている様子はない。また、大きい街はなく小規模な村があるだけ。
そこにトラックは食料を配っていく。
すごく効率が悪い。
どこかで食料が作れる場所があるのなら人々をそこに集め近くに村などを造ればいい。
そうすればトラックでこんな大変なことをしなくて済むのに。
「メーテ、聞いておきたいことがある」
「ないなに」
「今まで見てきた物での推測でもいい。この世界をどう思う」
「うーん。まず、まともではないよね。まあ、混沌の反応が出た時点でまともではないんだろうけど。それで、第一にこの世界の環境は最悪。五素の力がほとんど感じられない。逆に六つ目は最悪」
やはり環境は最悪なのか。生命の神が言うのだから確かだ。
「そういえば前々から思ってたんだけど、なんで六素なの。五素は水・火・土・風・空だけど」
「そうね。六つめは裏能力で死。アンデットを召喚や操ったり、色々できる」
生命をつかさどる神だからその裏は死。というか裏能力があるのか。じゃあ、俺のあれももしかしたら……。
「で、話を戻すけど二つ目は死者がとても苦しんでいた」
「死者から情報は聞き出せないかな」
もし死者から聞き出せばこの世界の事を詳しく聞き出せる。
「それは無理。聞き出すには魂を復活させる必要があるんだけど、それには五素の力が弱すぎる」
「そうか、ありがとう」
この世界の生命力が低下していることが分かった。そして基本的にこの世界では植物は育たないし、家畜を育てるエサもない。
だが、食料を作れる場所があるなら、そこには五素の力があるってことだ。そこでは生命の神の力が使えるはず。
また、死の方は最悪。もしかしたら混沌をひどくしているのはこれなのでは。
そうなら早くしなければもっとひどくなる。
「アーレ、あれって」
メーテが指さす先には朝日が見える。
その先には草木が生えて、その奥には大きな街が見えてきた。
トラックもそこへ向かって走っていた。
「アーレ、あそこはとても五素の力が強い」
「ほんと?」
ということはあそこで食料を作っている可能性が高い。もしかしたらあの街がSエリアで世界の源があるかもしれない。
「メーテ、ここからは歩いてあの街へ行こう」
「うん。あの街の近くだったら死者から話を聞ける能力が使えるから」
俺とメーテは大きな街へ歩みを進める。
読んでくださりありがとうございます。
今までの話より文量が増えてしまいました。
多分、これからこれくらいの長さになると思います。
次回もお楽しみに。