神になる
後ろから懐かしい雰囲気がした。
でも、背中の方には違和感がした。
「アーレ、会いたかった」
その声は……と振り向くとメーテがいた。
やはり俺と同じように成長している。かわいさも増していて。
「メーテ、俺も会いたかった。成長して一段とかわいくなって」
自分の言っていることが恥ずかしくて、顔は真っ赤だ。メーテを見ると耳を真っ赤にして顔を隠していた。
「お取込み中失礼します。アーレ、君はどうしますか」
テュケはもう一度聞いてきた。なぜだろうか彼女は少し嬉しそうな顔をしている。
「俺は神になるよ。メーテがいる、約束を守れるから」
俺は覚悟を決めた。やっと願いがかなう。約束を果たせる。
「では、詳しく説明をするから残りのメンバーを呼んで来てください」
テュケは再度、白いワンピースの女性に言った。
「ちなみに君は戦の神で具現の能力が使えます。軍の名前は黒界軍といいます。そして、君には黒界軍の意思決定機構 六神徒の隊長です。六神徒は君を含めて6人です」
大丈夫だろうか?あまり説明を受けないで神や軍の最高指揮官になって。というか、その六神徒の隊長が本当に俺で務まるのか。今頃考えても無駄か。
こんなことを考えているうちに残りの人が入ってきた。
入ってきたのは茶髪と金髪の体格のいい男、銀髪でメイド服を着た女性と青髪の自信なさげな少女。4人ってことはまだ全員そろってない。
「よし全員揃ったところで……」
「ちょっと待って、全員そろっていないじゃん。今、入ってきたのは4人だった」
どうカウントしても1人足りない。
「アーレ、実はメーテも選ばれた人間の一人なんだ」
えっーと、メーテも六神徒の一人で神ということ。聞いてない。
「そんな危ないことにメーテを巻き込みたくない」
「アーレ、私は大丈夫だよ。あなたのそばにいたいし」
メーテは顔と耳を赤くして言う。
「まあまあ、アーレ。メーテもこう言ってますから」
メーテの笑顔を見るとこれ以上言い返すことができなかった。本当にこれでいいのか。
「まず、これを渡します。10着くらいあればいいですかね」
「いや多すぎるだろ」
突っ込んでしまった。恥ずかしい。
それは、黒の軍服。男子はズボンで女子はスカート。コートも入っていた。
「あの、これは絶対に着ないといけないのでしょうか。このメイド服ではいけませんか」
銀髪の女性はテュケに聞く。
「まあそうですね。わかりました。特注のメイド服を用意させます」
「ありがとうございます」
「それでは話を続けます」
テュケは真剣な眼差しで話し始めた。
この神の世界は「エデン」と呼ばれ始祖の六神議会によってつくられた。
エデンには時間という概念は存在する。老いはしないが死ぬことはある。
そしてたくさんの世界を創りだし、滅んでいくところを見てきた。
世界の中心には球状の世界の源と呼ばれるコアがある。
しかし、このコアだけは神は干渉できない。直接操作するしかできない。
とある時、世界の一角で新たな神が生まれた。それが無限の神、カオスの誕生。
カオスはどんな存在でもなる可能性のある。しかし、カオスは悪に落ちた。
体を捨て概念になることにより世界の混沌を集め神の世界を滅ぼそうとしている。
始祖の六神議会はカオスを消滅させる作戦を実施した。
だが失敗に終わるがカオスを眠りにつかすことに成功する。
もうすぐカオスが活動を開始するため現在の六審議会の 時間の神 ・ 大地の神・ 夜の神 ・ 昼の神 ・ 眠りの神・ 運命の神 によって黒界軍を設立しカオスを食い止め、消滅させるために動いてもらう。
それが君たちの役目だということ。
「説明は以上です。あとは指示があるまで自由にしてください」
長い話を聞いて疲れた。
そして、俺はメーテ以外みんなの事ほとんど知らない。
みんな帰ろうとする。
「ちょっと待って、少し時間をもらえるかな」
勇気を出して言ってみた。
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