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第6話 成長

更新遅くなり申し訳ありません。

読んでくださっている皆様、第6話更新致しました。

文字数も少ないので週に3回位更新出来るように頑張りますのでよろしくお願いいたします。

特に追撃を受けることも無く、無事に森を出た後、俺を助けてくれた領兵からこの森に生息する怪物たちの説明を受けた。


蜘蛛 マーブルスパイダー

粘着性の糸を出し動きを阻害し、麻痺性の毒を牙から出す。水に弱く、糸も水をかけることでその強度を失う。


蟷螂 マーダーマンティス

鋭く、大きな鎌が特徴。弱点は頸部周辺から上腕、腹部の強度が低く、斬りやすい。


蛾 スリープモス

眠りの鱗粉を散布する。炎に弱く、火を炊いておけば近づいてこない。


蟻 キラーアント

同じキラーアント同士で連携した動きを取る。牙も鋭くそれなりに装甲も厚いが、特筆するほどではないので集団に囲まれなければ脅威とまではならない。


蜻蛉 ドラゴンフライ

飛翔速度が早く、強靭な顎を持つ。風の影響を強く受け、気流が乱れている場所では飛行時に細かな動きを取れなくなる。


以上が領兵から聞かされたこの森の外周部に数多く生息する怪物らしい。

また、どの虫も一撃で息の根を止めないと周囲にいる虫を呼び寄せる特性があるとの事だ。


「まぁ後は滅多に現れないが皇蟲の幼生が居たら直ぐに逃げる事だ。あれはもし傷付ければ一気に半径1キロ圏内の虫どもを呼び寄せるからな。」

「皇蟲の幼生……?それって芋虫みたいな奴か?酸を吐いてくる……」

「お、皇蟲の幼生の事は知っているんだな。まぁ、この森の怪物どもの中でもかなりの脅威だからな。この森の外周部ですら、6人の中堅パーティーが幼生1匹を傷付けた事で、全滅することすらあるくらいだ。」

「……そんなとこでレベル上げなんてさせんなよ……。」


普通はもっと安全マージンに気を配るだろ。

中堅と言うくらいのパーティーが全滅するくらいの場所で、しかもソロでレベル上げをさせて、もし死んだら何にもならないじゃないか。やっぱあの王は外道で愚王でクズだな。


「ふん。まぁ陛下は気が短い御方だからな。過去にある程度育った戦闘用奴隷でこの森に挑ませて、結果として死んだ奴も居ないわけではない。」

「学べよ……。一回やらかして、しかも人死にするような事を繰り返すとか……あり得ないだろ。」

「まぁ坊主は元々レベルも高いだろう。その防具にしても駆け出しが買えるような防具じゃないしな。目算だがレベル15って所か?」


あ~……装備から逆算してレベルを図った結果か。

……あの親父、間に合わせの安い防具だって言っていたけどそれなりに良いものだったんだな。

こうなるとあまり手放しに喜べないけど……。

実際15ってゲームで考えたら駆け出しか、精々一人前くらいじゃないのか?基準がわからないからなんとも言えないけど……。


とりあえずステータスウインドウを開き、自分のステータスを確認してみる。

かなり狩ったしレベルもかなり上がったとは思うが……。



『ユーリ』

レベル 18


力 140+80%

素早さ 190+80%

丈夫さ 160+80%

体力 495+80%

賢さ 135+80%


HP 635

MP 170




スキル

企業戦士

依頼に対するステータスの超高補正。依頼に対する獲得経験値の増加、成長率への高補正


ラーニング

知識、技術の習得に対し高補正。対象により被弾時に習得する場合あり。


空間収納

任意のアイテムを収納、取り出しが行える。収納量はMPに比例し、収納分のMPを常時使用。取り出す事で元に戻る


神の加護

幸運と試練、成長の加護、神の知識の代弁者




属性適性

風 10 風纏(ウインド・エンチャント) 斬風(ウインドスラッシュ) 暴風陣(テンペスト)

水 10 水撃(ウォーター) 水刃(ウォータースラッシュ) 水流擊(スプラッシュ)

雷 10 雷纏(エレクトリック・エンチャント) 紫電(ライトニング) 雷刃(サンダーブレード)

闇 10 暗玉(ブラインド) 暗幕(ブラインドカーテン)

光 10 小癒(ヒール) 浄光(リフレッシュ) 癒光(リジェネレーション)


めちゃくちゃレベルもステータスも上がってるなぁ……。魔法や魔術も大分増えてるし。

あと%で+がついてるのは企業戦士のスキル効果か。

確か最終ステータスから考えると3倍~4倍近い上昇率だ。

このステータスなら多分、森の中の虫達に梃子摺る事も無いはず……。

ひょっとしたら最後の蟷螂の鎌も丈夫さだけでも防げたのかもしれないな。まぁ万が一防げなかったら死ぬ訳だから絶対試したくは無いけど。

逆に蜘蛛の粘着糸はこのステータスでも切れない程に厄介って事か。気を付けないとな。


「俺は今は18だな。少しレベルが上がったみたいだ。……なぁ領兵さん。あんたはどれくらいのレベルなんだ?」

「俺は領兵じゃねぇ。領兵長だ。俺のレベルは43だ。そもそも兵士として陛下に仕えるためには最低レベル20を基準にしているからな。戦闘用奴隷どもも、買い取りの後にそのレベルを最低基準に成長させている。」


結構高いんだな。そもそも兵士の基準が20となるとやっぱり15レベルってそれなりに高いんじゃないか?

まさか中堅クラスのレベルを国の兵士の基準にするような事も無いだろうし。


「参考までに聞きたいんだけどそのレベルでステータスは大体どれくらいになれるんだ?」

「職種や適正にも依るが40位で平均200って所だな。過去の偉人の中にはレベル300越えたなんて化け物も居たらしいが大体レベル25もありゃ中堅を完全に卒業してベテランに昇格って所だ。」

「なるほど……参考になったよ。色々と教えてくれて礼を言う。」

「はっ!変な坊主だな。普通奴隷にされたらもっと荒れるもんだぜ?それが礼までいってくるとは……。頭可笑しいんじゃねぇか?」


まぁこの領兵……いや、領兵長は何だかんだで根は悪い奴じゃ無さそうだしな。

今の警備態勢を見る限り、檻の側の2人はルヴィスを、そして森の外周部から中には入らないとはいえ、警戒行動をしている3人は俺に対して危険が無いかを観察しているんだろう。

じゃなきゃさっき俺のピンチに駆け付けたタイミングの良さに説明が付かないしな。

領兵長自らが森に入ってきてまで奴隷を助けるってのも普通に考えたら考えにくいし……。


「まぁいい。坊主、今日はもう日が沈む。檻に戻って休め。少なくとも一週間の間にきっちりノルマを達成しろよ。」


領兵長はそう言うと、俺へ手枷を着けて檻に戻し、大分溶けていた剣を新しい物へと交換してくれた。

その後、他の領兵へとテキパキと指示を出して夜営の準備をしているようだ。

ふと檻の隅で座って此方を見ているルヴィスの方を見る。

……?気のせいだろうか。一回り位は身体が大きくなっているような……。


「……お兄さん、怪我はしてないですか……?」

「あ……あぁ……ルヴィス……だよな?」

「……?はい。ルヴィスです。」


やはり一回りは大きくなっている。昨日は精々10歳前後に見えた見た目が今は12~14歳位には見える。

あのクズ王が言っていた“成長”ってのはそうゆうことか……。

鉱人族はレベルが上がると肉体も成長するのか……?他の種族も……?


「ひょっとして……私の身体が成長していることに驚いているんですか?」

「あ、あぁ。昨日の夜に比べてかなり大きくなってないか?」

「……只人族、耳長族以外の種族は、レベルが年齢に影響を及ぼすんです。その代わりに身体の成長に影響がある20レベルまでは多少レベルが上がりづらくなるんですけどね。」

「そうなのか……。すまない。知らなかったから戸惑ってしまったが他意は無いんだ。」


レベルと肉体年齢が影響するってのは実際どうなんだろう。

つまりはパッと見大人でも、実年齢が一才とかもあり得そうだけど……。

なんかしらの制限でもあるのか、それともレベルと同時に知能や知識も一緒に成長するのだろうか……?


「それよりも本当にお怪我は大丈夫ですか?……ズボンに血がついているみたいですけど……。」

「大丈夫だよ。もう傷はふさがっている。それよりもルヴィスは酷いことされたりしなかったか?」

「私は特には何もされて無いですし、大丈夫です。あの、それよりも明日も森へ行くんですよね?」

「あぁ。言われた数の怪物は狩れていないからな。……すまないが隙を見て君の事は助けるからもう少し我慢していてくれ。」

「私の事は大丈夫です。だから、その、無理……しないでくださいね。もう……私は覚悟を決めましたから。」


ルヴィスは真紅の瞳を逸らさずにじっと此方を見つめている。

その瞳には確かに何かしらの覚悟が見てとれた。

……嫌な世界だな。実年齢も、見た目にしたってまだまだ子供だろうに……。そんな子がこんな瞳をしなくちゃいけない世の中なんて……。


「それでも……。例え世界が当たり前の事だと言っても……俺は納得しない。だから助けて見せるさ。」


生まれ変わる前、会社の言いなりだった。それが“当たり前”だったから。

結果は1人過労死だ。

だから、俺はこの世界では自分の信念に従う。そう決めた。

そして俺は彼女を助けたいと思い、自分自身で奴隷を体験してしまった事がこの世界の奴隷を助けたい……いや、奴隷制度そのものと戦って、奴隷制度そのものを無くしたいと考えていくようになってきていた。


その後は2人とも何も話さず、檻の中で眠りについた。







その夜、俺は不思議な感覚を体験した。いや……これは夢だろうか。

ルヴィスが親に捨てられ、そして売られていく姿が見えた。

何か親もルヴィスもしゃべっているみたいだけど聞き取れない。

靄がかかっているようにはっきりとは顔も見えないのにあの連れていかれる子供がルヴィスだということはわかる。

悲しみと憤り、そして混乱……この感情はルヴィスの感情だろうか……。






眩しい……。朝……か。


「起きろ、坊主。もう朝だ。さっさと支度をして森へ行くんだ。」


頭が覚醒しきっていない中、昨日話をした領兵長とは別の領兵が檻の外から棒でつつきながら声をかけてきた。

そこまで大声ではなかったが、流石につつかれれば目も覚めるというものだ。……気分は悪いけどな……。


身体を起こすと、まだ少し眠気を感じるものの、充分に身体を休めることは出来ているみたいだ。

昨日森から出た時にあった虚脱感も感じない。

何でもMPが切れるとそういった状態になり、ステータスも、一時的にだが一気に下がるらしい。


俺は隣でまだ眠っているルヴィスをちらりと見ると意識を切り替えて檻を出た。

簡単な朝食を済ませ、荷物を確認、準備をする。

昨日新しく貰った剣の他に回服薬、魔力回服薬も二本ずつ支給され、それを取り出しやすいようにベルトに取り付けたバックパックへ入れておく。

話を聞く限りでは回服薬は多少の傷を治せる程度、魔力回服薬に関しては自然に回服する力を増大させるものだから一気には回復しないらしい。

大体一時間辺りMPが100程度の回復をするそうだ。


まぁ充分有り難いか。新しい魔法や魔術も使用すると相応にMPを削られるみたいだしな。

昨日レベルアップで習得した魔法や魔術も習得してステータスウインドウを開いた途端に理解出来た。

この世界の特徴なんだろうけど便利なものだ。

特に暗幕(ブラインドカーテン)は消費MPが少ない割に相手から姿を消せる便利な魔法だしな。この魔法の分のMPを確保しておけば撤退するときに役に立つ。


逆にこの森の狩りだと暗玉(ブラインド)はあまり使えないな。

対象1匹に対して視界のみを阻害してもあまり意味はないし。

準備が終わり、森へと入るタイミングで、昨日色々と教えてくれた領兵長がテントから欠伸をしながら出てきた。


「おう。坊主。今日は無理すんなよ。」

「わかっている。あんたこそしっかりとルヴィスを護ってくれよ?」

「言うじゃねぇか。安心しろ。奴等はまず森から出ねぇし、何よりあの奴隷に何かあったら王に俺らが殺されちまうからな。坊主は自分の身の心配をしてな。」


此方を心配そうに眺めているルヴィスに、俺は大丈夫と合図を送り、森の中に入っていく。

昨日あれだけ狩ったのに、森の中に入ると早速虫が姿を現した。

俺は即座に剣を抜き、すれ違い様に5閃斬り付ける。

刃はなんの抵抗もなく、自分で振ったというのに恐ろしく速い剣閃が現れた蟻型の怪物、キラーアントをバラバラに斬り裂いた。


「これなら……昨日よりずっと奥に行けそうだな……。」


自分の成長を実感し、俺はそのまま森の奥へと進むのだった。


『あれ?可笑しいなぁ~♪“干渉”が過去に遡っている気がするな~?彼への受難は続きそうだね♪』

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