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第2話 奴隷

第2話投稿になります。

継続投稿出来るよう頑張ります

門を潜り、目的だったあの巨樹から見えていた城の周囲に作られた町に入る。城壁よりも高い木々に囲まれ、壁は中世ヨーロッパのようなレンガで作られたような町並みだった。

壁を触ってみるとレンガよりも遥かに硬い感触で、石というよりは鉄のような、不思議な肌触りの鉱石で出来ているようだ。


とりあえず俺は金もなければ売れそうな物もあまりないしな。売れたとしても筏に使った木材がもしかしたら売れるかも……って位か。

大量にあるし。




「サーシャさん、ケインさん。この町に木材が売れるような店は無いかな?今、手持もないし売れそうな物も木材くらいしか無いからさ」

「あら、まだ持っていたんですわね。この棍棒と同じ木材ならわたくしの伝手で売れるかもしれないから買い取りますわ。」

「いや、倒木だったからあれとは違う木材だけど……。」

「あら、そうですの。なら買取り商が門のそばに有りますわ。」

「ありがとう。じゃあちょっと売れるか聞いてくるよ。」




2人にそう告げ、門の入り口にあるという買取り商の店へと向かう。

2人はここで待っているそうなので、俺1人で店へと向かうことになった。

町に入ったばかりの場所で、買取り商の店へはほんの10分程度の距離だった。

分かりやすい看板が掛けられて居たのですぐに見つけることが出来た。


俺は店へと入り、中を見渡してみると色々な道具やら武具やら日用品やら怪物の牙だのが並んでいる。

……なんか異世界に来たなって感じがするな。

外から見たよりも奥行きがあり結構大きいお店ではあったが、店員が1人しかいないようだ。


「すいません。買取りをお願いしたいのですが。」


少し小柄で髭をもっさりと生やした筋骨隆々な親父さんがこちらをチラリと見るとカウンター奥の看板を指差す。

看板には買取り品提出窓口の案内だった。

どうやら店の裏手へと回り買取り品を出すようだ。


……どうでも良いことかも知れないけどこの親父さん、鉱人族かな。物語とかで見るドワーフと思いっきりイメージが重なる。


俺は店の裏手に回るとそこにも鉱人族の親父さんがカウンターに座っていた。

正面口の方の親父さんと殆ど見た目に違いが無いけど双子とかなんだろうか……。


俺は疑問に思いつつも倒木を空間収納から取り出す。

流石に筏に使った分は濡れているし買取りしてもらえないだろうしな。

筏に使った分を除いてもまあまあ大きな木が三本あるし、少しはお金になるといいんだけど……。

そんな事を考えながら親父さんを見てみると目を大きく見開いて倒木へと手を伸ばしていた。


あ~……。空間収納ってやっぱり珍しいスキルなのかな。

親父さんは目を大きく見開いたまま倒木を一通り見て回り、おもむろにノミとハンマーを腰から出して倒木にノミを打ち付けていたが倒木には大した傷は付いていないようだった。


「……坊主、この木をどこで手に入れたんだ?」


「え?えっと……この町からも見えている大樹の周辺ですかね。確か大樹から歩いて数時間位だったかと思いますけど。」


親父さんは俺の返答を聞いて髭を弄りながらなにやら考え込んでいるようだ。

まぁ確かにあの辺の木はどれも硬かったかな。あの棍棒とかくそ重たいけどめちゃくちゃ硬いし。


「とりあえず……金貨で100枚でどうだ?加工が難しそうではあるが下手な鉄より強度はあるしな。」


金貨ってのがどれくらいの単位かわからないな。高そうでは有るけど多分聞いたらふっかけられるんだろうしなぁ……。

お金の単位を聞いておけばよかった。失敗したな。

どう返答するべきか、真剣に悩んでいると親父さんが両手を広げながら続けて言った。


「やっぱ納得いかないか。……価値を知らねぇお上りかと思ったんだがな。悪かったよ、坊主。詫びも兼ねて金貨250で買い取ろう」


「え?250?」


「なんでぇ、この量なら相場でいや200前後なんだ!文句ねぇだろうが!」


親父さんはそういうと金貨の沢山入った袋を渡してきた。

親父さんの勘違いではあったが、まぁ最初の金額より上がっているなら文句はない。

受け取るものはきっちり受け取った俺は、今度はその金の価値を知る為に入り口側に回り、今手にいれた金貨の半分を渡して装備を見繕ってもらえるのかを聞いてみた。


「アンちゃん。いくらなんでもこんな大量の金貨で見繕えって言われても多すぎるぜ。ここは最高級武具屋じゃねぇんだからよ。ここの武具一式位なら金貨10枚もありゃ何でも買えるぜ?」


……あ、やっぱ大金なんだなぁ。そんなに高級木材だったなら筏に使ったのは勿体なかったかも……。まぁ知らなかったし、今回は仕方無いか

とりあえず、刀と部分鎧が欲しい。


「とりあえずこの店で1番の刀と部分鎧を買うのでちょっと色々と教えて下さいませんか?」


「……あん?」


怪訝そうな顔をしながらも、入り口の方の親父さんは色々と教えてくれた。さっきは無愛想だったけど客に対してはちゃんと話をする人なんだろう。

何でもこの世界の通貨は銅貨、銀貨、金貨、白金貨の四種類で基本的には100枚単位で次の貨幣と同価値らしい。

例外は白金貨でこれは金貨1000枚と同価値となる。

主に国同士の国交に使うことが多いそうだ。

ちなみに平均的な家庭の月の支払いは大体銀貨1枚~2枚程度で生活出来るらしい。


そして金の預かりはギルドと呼ばれる冒険者の元締めが行ってくれる。ギルドに関しては種族毎で各国にあるそうで、ギルドに預ければギルド証を使うことで違う国に行っても引き出しが出来るようになる。ただし、種族が違う国に行くとギルド証を出しても他種族のものとして引き出すことが出来ない国もあるから注意が必要だそうだ。

というのも魔人族、亜人族の2種族は只人族との関係が特に悪く、たびたび戦争状態になることが有る為、奴隷を除いて交流することが無いかららしい。


「にしとも転生者か。珍しいもんを見たぜ。アンちゃん、下手にんなこと言うと騙そうって輩が出かねねぇぞ。騙されねぇように気を付けろよ。」


「ん、ありがとう。親父さんこそこんな人が良いんじゃ騙されないようにした方がいいんじゃない?」


「言うじゃねぇか。ま、アンちゃんのこたぁ気に入ったからな。なんつってもこっちの忠告をきっちり聞き入れたしよ。」


親父さんは最初に俺が言った刀ではなく、槍の方が合っていると槍を持ってきていたのだ。

ぶっちゃけ刀の方が使い慣れてはいるけど、親父さんが持ってきて槍(青龍刀の方が形状としては近い)を持ってみるとかなり手に馴染むような感じがした事と、試し振りさせてもらった感じがしっくり来たのでそれに決めた。

それにこの槍は所謂マジックウエポンというものに近いそうで、普段は腕輪へと変化するので、装備したままでも町を歩きやすい。属性付与も出来る、かなりの業物らしい。

値段は金貨10枚。その代わり防具は専門店にオーダーメイドのが良いだろうと間に合わせに安い部分鎧を無料で譲ってくれたのだ。


何となく信用できそうな人柄に感じる。

……よし。


「悪いんだけどこの金貨200枚を預かってくれないかな?」


「あん?アンちゃん、さっき騙されねぇようにしろっつったろうが。俺が猫ババしたらどうしはんだ?」


「今後もこの店には世話になるつもりだしな。裏の親父さんにも良くして貰ったし、親父さん達なら多分俺を騙して金貨200枚を盗むよりも信用を大事にするんじゃないかなと思ったんだけど?」


「……良いだろ。なかなかちゃんと考えてんじゃねぇか。確かにアンちゃんなら信用をとる方が良さそうだ。」


親父さんはそういい金貨200枚を預かってくれた。


まぁ防具や当面の生活費、親父さんから聞いた話じゃ教会や薬の類いにも金が掛かるみたいだし、とりあえずは残りの金貨は持っておくかな。



店を出てミーシャ、ケインの待つ場所に行くと、2人とも見当たらず、どうやら居ないようだったので先に教会へと向かった。

今のうちにスキルを調べてもらっておこう。


教会に着き、神父にお布施を渡し、スキルを調べてもらう。

どうやら既に全てのスキルが発現した状態だそうだ。

更に発現しているスキルを調べてくれたが、4つのスキルのうち、企業戦士は過去に見られたことがない、ユニークスキル。

神の加護は過去に一度しか確認されていないレジェンドスキルというものらしい。


他の2つのスキルも珍しく、かつランクの高いスキルだそうで、4つともSランクと言われた。。

企業戦士は主に成長率に補正が掛かるみたいだし、空間収納も容量や解放、なんなら無機物ならばある程度の物は切断することも可能らしい。


そしてラーニング。

ラーニング自体が珍しいスキルだそうで、このスキルを習得している者は例外無く、各分野で功績を残してくるそうだ。

効果も習得に高補正がかかる。更には攻撃の被弾時に習得可能なものに限られるが、高確率で習得出来るという超高性能スキルだ。


最後に神の加護に関しては、過去に1人だけ習得していた人がいるらしいが、詳細はわからないいそうだ。

曰く、神の定めし宿命へと足掛かりになるとかなんとか……。まぁよくわからないが悪いものではないなら一先ずは保留だな。

他にも属性適正についてももう一度話を聞いてみたが、先程あの2人に聞いた内容とあまり変わらなかった。

唯一、違う情報として教えて貰えたのは属性融合という技術体系があるらしい。

簡単に説明すると各属性の魔法や魔術の最上位を習得し、相乗効果になる属性同士の魔力を融合する事で威力、範囲、効果を相乗効果的に倍増させる技術らしい。

但し、そもそも極める事が出来るのは適正8以上の数値が必要でその上相性の良い属性が有ることが条件になる事から世界にも術者は両手の指で足りる程度しか居ないそうだ。


まぁ現状では俺も使えない訳だが後々使えるようになるなら頭の片隅に入れておこう。





その足で防具の専門店に行き、オーダーメイドで部分鎧を発注する。こちらは金貨30枚になるらしく、出来上がりも一月近くかかるそうだ。

材質は魔法鉄を使ってくれるらしく、魔術との相性が高い鎧になるらしい。一月の間に魔術や魔法ももっと覚えたておこう。


一通りの用事を済ませた俺は、サーシャ、ケインとの待ち合わせ場所に戻ろうと来た道を戻っていく。

後少しで待ち合わせ場所へと辿り着く場所に差し掛かった頃、俺は店の前で嫌な光景を視ることになった。


それは、身なりの良い男と首輪のような物に鎖で繋がれながら、鞭で打たれ、泣きながら震えて謝り続けている、色白で、紅い瞳の小柄な少女だった。

『さて、女神も居なくなった事だし彼の冒険譚を見て楽しもうかな♪』

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