第1話 最初の出会い。
二話目なんとか投稿出来ました。
週に2回を目標に頑張ります。
さてと……。まぁある意味会社は辞められたわけだけど、大自然(てか異世界)に放置されて生きていけるかと言われると正直自信は無いんだよなぁ……。
ひとまずは自称神様と一緒だった時、オール0だったステータスがどうなっているのか確認するべきだな。
「ステータスウインドウオープン」
『』
レベル 1
力 30
素早さ 45
丈夫さ 50
体力 300
賢さ 45
HP 300
MP 50
スキル
企業戦士
依頼に対するステータスの超高補正。依頼に対する獲得経験値の増加、成長率への高補正
ラーニング
知識、技術の習得に対し高補正。対象により被弾時に習得する場合あり。
空間収納
任意のアイテムを収納、取り出しが行える。収納量はMPに比例し、収納分のMPを常時使用。取り出す事で元に戻る
神の加護
幸運と試練、成長の加護、神の知識の代弁者
属性適性
風 10
水 10
雷 10
闇 10
光 10
うん。見ても比較対象が居ないとわからないね。スキルに関しては説明が有るから何となくわかるけどステータスが高いのか低いのかも良くわからないし、属性適性とか更にわからない。
てか企業戦士って……。効果は良さげだけどスキルにまで出なくて良いわ……。
名前も自分で決めることが出来るようだった。今までの名前で入力してみたが、漢字は無いようだったので、少し考えてステータスウインドウへカタカナでユーリと入力した。
ま、名字は無くてもいいだろ。必要なら後から名乗れば良いしな。
そしてゲームのような魔法も使えるのか試してみたが、特に何も起きない。……魔法はないのかな?
他に試せたのは空間収納だが、こちらに関してはすごいの一言。試しに近くに落ちていた割りと太めで、しっかりした棍棒の代わりになりそうな木の枝を収納してみたが、MP消費も1、しかも出せばその分のMPも回復するみたいだ。
食べ物や水の保管も楽に出来るからとても便利だな。
更に意識するだけで収納も可能と……。チートだね。
後は能力値の確認だけど……棍棒紛いの枝を持ってみた感じだと、多少は力強くはなっている感じではあるけど、多分これくらいならまぁ平均的な大人の男性の範囲だろう。
「ひとまず地平線近くに見えている城を目指そうかな。多分人も居るんだろうし……。」
丘を下り、森を歩いていくちょっと意味がわからない生き物が沢山居ることで、改めてここは異世界であることを実感した。
今のところ昆虫ばかりではあるが、見たことの無い容姿をしているし、何よりサイズがデカイ。
30cm位から種類に寄っては1メートルを超えるような虫まで居る。
あまり群れてはいないし、積極的に近づいては来ないのは幸いだが、蟻のような生き物が靴よりも遥かに大きいサイズで歩いているのだ。正直、気持ち悪いかな……。
出来る限り見つけた生き物は避けて歩き、三時間程度経つが、全くと言って良いほど疲れを感じない。
どうやら体力の数値は人並みを外れているっぽいな。
山道で急な斜面や、獣道を使って居るのだから、普通ならもう充分くたくたになる。
このペースなら明日の夜には着けそうだ。
ただ……。
「寝床だよな。問題は……。」
ぶっちゃけこんな虫が沢山出てくる場所で寝れるわけがない。元の世界ではあの黒光りする“奴”が出ただけで一晩中寝れなかったというのに……。
せめてナイフでもあればその辺の蔦を使って鳴子やハンモックでも作るんだけど……。
悩みつつも途中で見つけた大きな川に沿って目的地へと歩いて行くと、何本もの倒木が道を塞いでいた。
そこそこの大きさではあったが空間収納を使用すると特に問題なく、しまい込むことが出来た。
「待てよ……?この倒木を使えばひょっとして……。」
この川はちょうど進行方向に向かって流れているので、森から集めた蔦を使って即席の細長い筏を作ってみた。
かなり不格好では有るがまぁ浮くようだったので川に浮かべて乗ると上手いこと流れに沿って進む。
川の上なら虫もなかなか来ないし寝ている間も進む事が出来る。
これなら早めに城の近くまでは行けそうだ。
予想通り夜も進み続けた事で、翌日の昼近くには森の中からでも城が見える位置まで来れた。
幸いな事にこの川沿いに城があるようだ。
俺はこのまま進んで行こうとしたが、不意に森の中に人影のようなのを見つける。
城も近くなって来たが、そっちの方も気になるな……。
少し迷って俺は川から筏を回収し、先程人影を見かけた場所へと向かってみた。
茂みを掻き分け、人影の方へと進んでみると1人の綺麗な女性が数匹の狼のような生き物に囲まれていた。
虎やライオンと変わらない位の大きな狼は四つも目があり、その四つ目で女性を威嚇している。
対して女性は細かな刃のようになっている鞭を構え睨み合っている。
俺はこのままでは女性が危ないと思い、腰に差しっぱなしにしていた棍棒を取り出し、茂みから飛び出した。
「大丈夫ですか!?」
女性に声を掛けると女性はこちらを見て安心したかのような表情をして頷いた。
計3匹居た四つ目の狼の内、2匹がこちらを向き、唸り声を上げる。
対して俺は棍棒を下段に構えつつ相対した。
実家の古武術式武術の棒術を棍棒で応用するしかないな……。
数分はたっただろうか……。前の2匹に集中していた俺は、ふとゾワリとしたものを首筋に感じ、その場にしゃがみこむ。
すると先程まで俺の首があった位置から弓矢が2本、狼に向かって飛んできた。
弓矢は2匹の狼の足の間へと突き刺さり、四つ目の狼が悲鳴をあげる。
よく視ると2本の矢にワイヤーのようなものが付いているようで、そのワイヤーが四つ目の狼の前足を切断したようだ。
「やれ!坊主!」
よく知らない声が俺に投げ掛けられたが、その声を聞くよりも早く、俺は棍棒を下段に構えたまま駆け抜けていた。
疾走の勢いのまま、下段に構えた棍棒を、片足を失い、地に倒れる狼に向かって下から上へと打ち上げる。
古武術式棒術 壱の型 昇龍撃
更にもう1匹に対し、高く振り上げた棍棒をそのままの勢いで振り下ろした。
古武術式棒術 弐の型 龍墜撃
続け様に2匹の頭を潰した俺は、女性の方に相対している狼に目をやると、むこうもちょうどこちらへと駆け出そうとした狼が女性の鞭に巻き取られ捕獲されている所だった。
女性は妖しい笑みを浮かべ、四つ目の狼の全身に巻き付いた鞭を勢い良く引くと、刃のついた鞭は狼をバラバラに切断し、その身体を地面へと転がらせた。
そして仕留めてから殆んど時間を掛けることも無く、計3匹の狼の死体がぼんやりと発光し、光の粒となって空中へ広がっていく。
光の粒は俺と女性、そして俺の後ろに居る誰かへと吸収されるように消えていき、狼がいた場所には牙と爪、毛皮が少量ずつ転がった。
ゲームで良くあるドロップ品だろうか?俺が疑問に思っていると女性が慣れた手つきで牙や爪、毛皮を拾い集め、腰に着けているバックへとしまっていた。
「お助け頂きありがとうございますわ。わたくしの名前はサーシャ。貴方様のお名前をお聞きしてもよろしいかしら?」
「いえ、大事がなくて良かったです。俺の名前はユーリ。色々とお聞きしたい事が有るのですが、教えていただいても良いでしょうか?」
サーシャと名乗った女性は品のいい仕草でお辞儀をし、勿論と了承してくれた。遠目から視ても綺麗な女性だが、近くで視るとより綺麗に見える。大分派手さがあって余り好みではないがセレブな女優さんとかに居そうだなぁ……。
そんなことを考えていると、森の奥からスキンヘッドで少々ガラの悪い印象の男が出てきた。
男はケインというらしい。
あまり喋らず、最低限の返事をするだけかなり愛想が悪い。
なんとなく俺を睨むように見ているように感じるな……。
俺はサーシャさんに今の世界の状況や現在地、スキルやステータス、属性適性についてを聞いてみる。
なんでも遥かな昔からこの世界には6種族の人類がそれぞれ国家という形を取って、この大陸を大まかではあるが6つに分けて生活をしているそうだ。
6つの種族とは
只人族
耳長族
鉱人族
亜人族
獣人族
そして魔人族
大きな戦はここ100年近く起きていないそうだが、各種族間での小競り合いは頻発的にあるそうで、決して平和とは言えないそうだ。
勿論全ての人が他種族に排他的という訳でも無いらしい。
実際6種族の他にもハーフと呼ばれる混血もそれなりには居るそうだし……。
ちなみにこの辺りは只人族が主に生活しているそうで、サーシャさん達は森からも見えるようになった城の中で冒険者として生活をしているとの事。
主に殆どの住人が冒険者、生産者、研究者のどれかに該当するらしく、それ以外では奴隷と呼ばれる労働者が居るらしい。
ステータスやスキルについても基本的な事は教えてもらえた。
何でもレベル1であれば大体平均して20程度が普通らしく、各々の特性や職業に応じて大体5~10程度の増減が有る。
そしてスキルは殆どの種族が2つ程度は持っているらしいが、教会に行くとスキルをステータスウインドウに刻んでもらえるそうで、そこで効果も教えて貰えるとのことだ。
何でもスキルにもランクがあるそうでS~Gまでの8段階で評価されるらしい。
属性適性はそのままの意味で1から10までの数値がその属性の魔術や魔法の覚えやすさと威力の高さになるらしい。
1が一番悪い適性値で10は最高値、属性は全部で八種類で天才と呼ばれ、数多く適性を持つものでも3種類程度が関の山らしく、俺が5種類の適性が10であることを伝えるとかなり驚かれた。
普通は1つの属性が5~7あれば上出来なのだそうだ。
ちなみにそれぞれ
火 攻撃範囲が広く、燃焼による長時間効果を与える場合が多い
水 応用性、防御力が高い。極めると氷を生み出すことも出来る
風 切断力が高く、範囲も広いが細かい制御がしづらい性質がある
雷 速度がもっとも早く、相対する相手の動きを阻害する事が多い
土 威力がもっとも高いが速度が遅いものが多い
闇 幻惑、精神攻撃系が多いが極めると重力すらも支配する。
光 回復、援護系が多い。極める事で消滅の魔法も扱える。
時 公式な記録になく、謎が多い。一説によると世界に干渉するらしい。
と特徴があるようだが時を除いてどの属性も相克関係になるそうだ。また、魔法は修練や古代の魔法書、後はレベルで覚えるものらしい。
ちなみに魔法に特化した人や魔術に特化した人等、偏りもあるらしい。
魔法は主に魔力をダメージ源として外部に放出する、所謂攻撃魔法と呼ばれるもので、魔術は魔力を身体強化や武具創造等の支援や防御に使う術の事を言うそうだ。
「てことは俺は水、風、雷、光、闇の5種類の魔法や魔術なら習得出来るんだな。」
「そうですわね。むしろ5種類もの属性適性が10ならとんでもなくレアな存在ですわね。……これはいい出会いですわ。」
「どういう事ですか?レアなのはお話を聞いて何となくわかりますが……。」
「たいした事ではありませんわ。わたくし達とパーティーを組んで頂ければとても良いことになると思いまして。」
「はぁ……。まぁ右も左もわからないので色々と教えて頂けるなら有りがたいですが……只、自分はまだレベル1ですよ?」
「……レベルなら上がっただろう。」
今まで話さなかったケインがボツリというので確認してみると確かにレベルやステータスが上がっていた。
『ユーリ』
レベル 4
力 45
素早さ 65
丈夫さ 55
体力 315
賢さ 50
HP 360
MP 56
スキル
企業戦士
依頼に対するステータスの超高補正。依頼に対する獲得経験値の増加、成長率への高補正
ラーニング
知識、技術の習得に対し高補正。対象により被弾時に習得する場合あり。
空間収納
任意のアイテムを収納、取り出しが行える。収納量はMPに比例し、収納分のMPを常時使用。取り出す事で元に戻る
神の加護
幸運と試練、成長の加護、神の知識の代弁者
属性適性
風 10 風纏
水 10 水撃
雷 10 雷纏
闇 10
光 10
本当だ。3レベル上がっている。ステータスも軒並み上がっているが丈夫さや賢さ、MPはそこまで上がっていないみたいだな。
やっぱり経験で上がる数値が決まるのだろうか……。
「死狼を3匹もレベル1で刈れば一気に3位はレベルが上がる。3位ではステータス位しか変わらんだろうが、トータルで基礎値30、HPやMPも15程度は上がる。」
「あ、はい。3レベル上がっていました。ステータスも上がりましたね。教えてくださりありがとうございます。」
「……感謝しろ。駆け出しが勝てるようなモンスターではない。」
「そうねぇ。死狼のボーダーは確か5~8だったかしら。わたくし達はレベルを15まで上げているものね。3匹相手するのは少し面倒だったから助かったわぁ」
そうだったんだ……。よく棍棒で勝てたなぁ……。俺は。
「あ、そうだわ。ねぇ、ユーリさん?この予備の剣と棍棒を交換してくださらない?ここから城までにはまだモンスターも居るし棍棒よりは頼りになりますわよ?」
「え、いいんですか?ありがとうございます。」
サーシャさんが渡してきた武骨な両刃の片手剣と棍棒を交換する。武骨な剣は棍棒に比べてかなり軽く振り回しやすい。
これなら戦い易そうだ。鉄だし木よりは強度も有るだろうしな。
サーシャさんは棍棒をケインさんに渡し、ケインさんが持って歩くようだ。まぁサーシャさんは短剣も腰に差しているし、ケインさんは弓だけしか持って無いようだからな。棍棒を近接武器に流用するのだろう。
3人で歩く事2時間、城に着くまでに十度の戦闘を経験し、更にレベルも2上がり、城に着く頃には6までレベルが上がった。相変わらず賢さやMPは上がりが悪いが、何度かモンスターの体当たりを喰らったせいか丈夫さは大きく延びた。
やはりそれぞれに対応する行動でレベルアップ時のステータスが決まるのだろう。
ちなみにステータスは
『ユーリ』
レベル 6
力 55
素早さ 85
丈夫さ 65
体力 325
賢さ 53
HP 400
MP 60
スキル
企業戦士
依頼に対するステータスの超高補正。依頼に対する獲得経験値の増加、成長率への高補正
ラーニング
知識、技術の習得に対し高補正。対象により被弾時に習得する場合あり。
空間収納
任意のアイテムを収納、取り出しが行える。収納量はMPに比例し、収納分のMPを常時使用。取り出す事で元に戻る
神の加護
幸運と試練、成長の加護、神の知識の代弁者
属性適性
風 10 風纏
水 10 水撃
雷 10 雷纏
闇 10
光 10 小癒
となった。
どうやら上がり幅やスキルなどはこの世界でも珍しいようなので、2人には属性適性についてしか伝えていない。
色々と教えてくれたし、今のところは親切なので教えても良いのかも知れないが、最初の狼(死狼というらしいが)との戦闘中、ケインから放たれた弓矢に殺気を感じたんだよな……。
気のせいかも知れないし、そのあとの戦闘では一度も感じないけど何となく隠すことにした。
タイミングが合うようならサーシャさんに相談してみるとしよう。
「さぁ、ユーリさん。ここがわたくし達の暮らす町、イーストフォレストですわ。」
サーシャさんは俺に、高い塀に囲まれた門から先に広がる町並みを指差しそう言った。
自称神さま『おぉ~♪人と出会ったね~♪この出会いはどんな形になるかなぁ?あ、まだ手出しするのはダメだからね~?』
女神『わかっていますわ。妾の方は妾の方で貴方の子より楽しい子にするから楽しみにしておきなさい。あぁ……楽しみね。』