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第0話 転生

プロローグになります。

更新は不定期になりますがよろしくお願いいたします。

2019年 都内某所

物語はとある会社で働いているこの青年から始まった。


高校を卒業と同時に祖父の古武術式道場を継ぐのが嫌で、東京の有名企業へと就職を果たした。

がむしゃらに働き、上司の無茶な頼みを聞き続け、今では中間管理職まで上がったわけだが、そのせいで休みは休みにならず、サービス残業も当たり前。

通勤のわずかな時間に趣味の読書……まぁ漫画やラノベばかりだけど……。を楽しむくらいしか人生に楽しみを持てない生活を続けていた。



「今日も疲れたな……。朝7時~23時までって……いくらなんでも毎日毎日こんな時間の勤務とかしてたら身体壊すわ。ぶっちゃけ昇進しても休みや残業時間を考えたら給料カットと変わらないよなぁ……。」



18で今の会社に入って既に10年。

祖父の古武術の稽古を幼少の頃から行っていたおかげで、体力だけは人並みよりも自信があった。

だからこそ新人の頃から上司の無茶な頼みを聞き続け、残業に休日出勤にとがむしゃらに働いて、その成果で昇進したようなものではあるけど、昇進に喜ぶ間も無い内に、更に休日が減り、残業時間は増え、酷いと帰れないで会社に泊まることもあるようになる程バカみたいな仕事を回されてしまった。

会社としての公休の設定はあっても、あってないようなものだし、他の職員が休めば代わりにフル出勤。大抵自分が出れば仕事上なんとかなるからと他の職員も休みまくる始末。

役職に就いたことで残業代も出なくなった立派な企業戦士、今風に言うなら社畜に成り下がっているのが現状。


流石にそろそろ転職を本気で検討するべきだよな……。


高校時代に付き合っていた彼女から別れを告げられたのが5年前。理由はシンプルに会えないから。分かりやすくてぐうの音も出ない理由で、その時は彼女と別れたくないが故に今の会社を辞めるつもりだった。

しかし、当時色々と会社がバタバタしていた状況もあり、引き留めや実際に回らなくなる現状に辞めることも出来ず、5年間を更に忙しく働いてしまっていた。……ちなみに昇進も辞める話が出てから進んだらしい。

だが、今度こそは辞めてみせる!

そう決意していた俺だが、結論から言えば転職をすることは叶わなかったようだ。


その日の深夜、翌日の休みの為に仕事のキリを良くしようと残業していると、急に激しい頭痛に襲われ、そのまま職場のデスクで意識を失った。

そして今、俺は動かなくなった自分の身体を上から眺めているといういまいち意味のわからない状態になっていた。



何度も身体を重ねてみても、目よ覚めろ!と念じてみても、変わらないこの現実を受け入れるしかないのはわかっているが、正直、何処か受け止めきれず、幽霊なっている事について考えていた俺は、この後死神とかが来て三途の川を渡るのかなぁ等と半分現実逃避気味に考えていた。


やっぱり死神って言ったら、鎌を持ってる骸骨みたいなやつなのかなぁ……。

それともリンゴが好きな某死神なのか、はたまた刀を持った人間みたい奴なのか……。

そんなことを意味もなく考えていた俺はふと自分の死に顔を見る。

眠っているように見える自分の顔は、何度か実家で見た死体と同じ様に土気色で血の気が全くない。



「死んだんだな……。呆気ないもんだな……俺の一生って……一体なんだったんだろう……。」



昔、身内の稼業の関係で何人か死体となって自宅に運ばれて来たのを見てはきたが、自分の死に顔を見るとは思っていなかった。

やっぱり、5年前の時点でさっさと退職して、早く転職していれば良かった。

後悔後先たたずと言うが死んでからの後悔じゃ遅いよなぁ。

次に生まれ変わったら、自由に生きていきたいなぁ。






そう考えていると突如視界に強い光が広がり、視界が真っ白になっていく。

俺はあまりの眩しさに目を閉じるとまるでその光に飲み込まれるようにそのまま意識を手放す事になった。











なんだろう……。まるで水中にいるかのような心地良い浮遊感に包まれ、さっきのような激しくて強烈な光では無く、暖かで、それでいて穏やかな優しい光が上から差し込まれている気がする。

俺は、その光に向かって意識を向け、上へ上へと昇り続けて……。


「はっ!?……ここは……?……天国なのか……?」


意識を取り戻して最初に目に入った光景は空も地面?(立てるのに見た目は雲海だった)も真っ白な光景だった。

現実離れした美しい光景は天国かと思えるような光景ではあったが、よくアニメやゲームで見る天国に比べて、花や川、天使とかの賑わいもなく、綺麗ではあるが何処か寂しさを感じる。そんな光景に思える場所だった。


「誰も……居ないのか。綺麗な白に囲まれているけど地獄だったら嫌だな……。」


『こんにちわ♪今回は君が選ばれたんだね♪』


誰も居ない事を確認したその直後、急に背後からとても楽しそうな声が響く。俺が振り替えるとそこには満面の笑みを浮かべた少年が宙に浮いていた。


『えっと、なになに?狭間結理28歳、死因は過労による脳出血での死亡かぁ……。なかなか大変だったみたいだね~♪でも君は幸運だよ♪何せ転生の権利が手に入ったんだからね♪』


「転生……?それって良くラノベやマンガにあるようなやつなのかな?というか君、誰?」


俺がそう聞くと少年は満面の笑みを浮かべたまま答えた。

曰く

1、世界は1つではなく色々な世界があること

2、極少数では有るがたまに各々の世界を渡らせて居ること

3、そういった転生者には適正にあった異能力(スキル)を持たせていること

4、この少年は所謂神様であること


『まぁ君の世界にも何人か居たでしょ?例えばキリストとか日本だと卑弥呼とかね♪歴史や宗教、伝説に名前が残るような人は大抵は転生者だよ♪僕以外にも神は居るから能力までは知らないけどね~♪』


「えっ?じゃあその人達みたいに俺もなるって事なのか?」


『なれるかもしれないし、なれないかもしれないね♪転生しないとどんなスキルが手に入るかわからないからね~♪それで転生するかな?しないかな?』


「ちなみにしない場合は……?」


『消滅かな♪この世界に来た時点で元の世界には帰れないし、転生しないならこの世界に吸収されて消えるしかないね♪』


そんなことを言われて転生しないとか有り得ないだろ……。

まぁ元々俺も漫画とかラノベとかの転生物も好きだし、ぶっちゃけ断るような理由は無いからな。

そう考えた俺は自称神様に転生したいと伝えた。


『OK♪さてさて君のスキルはさっきも言った通り、転生するまではわからないけど、代わりに異世界に行くにあたって1つだけ能力をあげるね♪』


自称神様を名乗る少年から与えられたのはステータスウインドウと呼ばれる能力だった。

なんでも今から行く異世界では、当たり前のデフォルト能力らしく、自分の能力やスキルを数値化、言語化したものを視ることが出来るらしい。

ちなみに現在は死人と表示され、全てのステータスが0、スキルも何もなかった。

ちなみにこのステータスウインドウは他人に見せることも可能らしい。


『じゃあ良い異世界ライフを楽しんでね~♪まったね~♪』


「えっ!?ちょっ……!?」


少年の声を聞くのと同時に急に光が俺の身体を包み込むように渦巻き、そのまま意識の奥まで真っ白な光に包まれて、俺はまた意識を失った。











今度は暗闇だ。まるで世界から明かりが全て無くなってしまったような……。

言い様の無い不安感に蝕まれていった。

辺りを見渡すも明かりも見えない。

寒くて……息苦しい。

そんな中、視界の端にぼんやりと光る白、緑、青、紫の光点が映り込み、無我夢中で光へと駆け出した。

足場がなにも見えず恐怖感はあるが、こんなところに居続けていたら気が狂ってしまう。







「…はっ!?……ここは……?」


再度目が覚めた時、最初に視界に広がったのは巨大な……いや、壮大な大樹だった。

雲に届くのではないかという程の高さと、50mは有るかという程の幹の大きさ。

振り返ると広大な森と草原が広がり、地平線の近くには小さく城が見えてる。

空を見上げれば恐竜?プテラノドンのような生き物が飛んでいる。ドラゴンか……?

明らかに現在社会では見ることのない、“違う”光景。


「これが……異世界……。つーか……こんなところでどうやって生きろと……?」


現代社会に生きていた人間が、いきなり大自然に放り込まれて、それどころか明らかに狂暴そうな見た目の生物までいる。

それが俺にとっての率直な感想だった。

てか……普通に考えて皆そうだろ?



どうやら転生しても平穏でのんびりとした暮らしは出来ないみたいだなぁ……。

神様『今度の転生者はどんな面白い物語を見せてくれるかな♪たっのしみ~♪』


女神『また娯楽を見つけたのですね?妾にも1枚噛ませなさいな。』

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