表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

泣きたくて泣いてるわけじゃない

作者: 時岡氷雨

笑顔でつたえる。

笑って、この言葉を。たったそれだけ。


昨日バカほど練習したのに。

なぜ僕は泣いているのだろう。

言葉は喉につっかかってなかなか出てきやしない。

言いたいことを全部含んだ便利な5文字は今の僕には役に立たなかった。


「あの、それで、」


ふたりぼっちの昇降口を夕暮れの金柑色が包み、辿々しい言葉を貴方は優しく受け止める。

貴方の持つ花束の香りとその笑顔が僕の心に染みる。

僕はまだ何も伝えられていない。

この不安も感謝もなにもかも。


「だから、その・・・」


唐突に花の香りが近づく。

次の瞬間、貴方の顔が肩の上にあった。

息の音、心臓の鼓動さえ感じ取れる近さ。

僕を包み込んだ君は僕があれほど練習した5文字を簡単に言った。


「 」


金柑色と花の香りが2人を包む。

伝わっていなくてももう良かった。

答えはもう貰ったから。


頬をつたう水滴さえ君は包み込んで、

僕はそんな君が、




[泣きたくて泣いてるわけじゃない]

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ